DTPオペレーターとはどんな職業?仕事内容や転職前に必要な準備などを解説

作成日:2022.10.14 更新日:2024.04.19

DTPオペレーターは、デジタル化が進行中の現代社会において欠かせない仕事の一つです。しかし、なかには「聞いたことはあるけど仕事内容がよくわからない」という人もいるのではないでしょうか。 そこで、本記事ではDTPオペレーターの仕事内容や求められるスキルや資格、未経験者が就職や転職前にやっておきたい適切な準備などについて解説します。 

DTPオペレーターとは?その概要と仕事内容を紹介

DTPとは、Desk Top Publishing(デスクトップ パブリッシング)の略語で、主に「パソコン上で印刷物をデータ化する作業」という意味で使われます。そのため、DTPオペレーターは、「DTPの操作(作業)をする人」という意味です。

DTPオペレーターの概要

DTPオペレーターは、グラフィックデザイナーやコピーライターがデザインした画像や文字に基づいて、印刷物(チラシ、ポスター、フリーペーパーなど)の制作に必要な刷板データを作成します。 また、画像や文字をレイアウトしたり、デザインの加工や修正をしたりすることも重要な仕事の一つです。加工や修正作業の際は、DTP専用のソフトを使用します。 主なソフトとしては、Illustrator(チラシなどのデザイン)、Photoshop(イラストや写真のデータ加工)、InDesign(ページ数が多いフリーペーパーなど)が一般的です。

DTPオペレーターの作業工程

DTPオペレーターは以下のような作業工程に従って仕事を進めていきます。
  • STEP1クライアントやグラフィックデザイナーなどとの打ち合わせ

    仕事の依頼主となるクライアントや、グラフィックデザイナーなどとの打ち合わせが、DTPオペレーターの仕事のスタートです。 本打ち合わせでは、クライアントの要望を聞き取ったうえで、グラフィックデザイナーやカメラマン、ライターなどがデザインと文章の大枠を提案して印刷物の構成などを決めていきます。 クライアントを交えた打ち合わせは、回数が限られているため、DTPオペレーターにとっても重要な時間です。そのため、グラフィックデザイナーなどに任せきりにすることなく、なるべく多くの質問をして要望を聞き取っておくことが推奨されます。

  • STEP2フォーマットの作成

    グラフィックデザイナーやコピーライターは、クライアントの要望に合わせて印刷物の全体的な図面を作成します。当設計図に沿ってDTPオペレーターが担当するのが、フォーマットの作成です。 DTPにおけるフォーマットとは、紙面のサイズやフォントの種類、サイズなど印刷物の基礎になる部分を指します。なお、一般的な傾向としてフォーマットの作成によく使われるソフトはInDesignです。

  • STEP3レイアウトと原稿のチェック

    決定されたフォーマットに沿って、グラフィックデザイナーやライターが作成した図面をレイアウトしていきます。 具体的には、印刷物の色調や濃度の調整とできあがり寸法の倍率の調整、文字組みなどです。その後、画像と文字を組み合わせて刷版データを作成すればレイアウト完了となります。 レイアウトを終えたあとは、原稿のチェックです。主なチェック項目には、以下のようなものがあります。

    ●解像度 ●サイズ ●彩度 ●色相 ●レイアウト崩れ●誤字や脱字 ●行間や字間など

    修正作業もDTPオペレーターの大切な仕事の一つです。なお、修正も通常の作業と同様に、Illustrator、Photoshop、InDesignなどの各種ソフトを用いて行います。

DTPオペレーターにはどんなスキルや資格が必要?

DTPオペレーターに就職や転職をするには、一定のスキルが必要になります。ただし、未経験者の場合も資格の取得によってスキルと同程度の評価を受けることは可能です。

必要なスキル

  • DTPに関する基本的な知識
    DTPには、文字の表示や組み方などに関する一定のルール(禁則)があります。 こういったルールに従って作業(禁則処理)が行える知識や、色の表現に関するルールも覚えておくことが必要です。紙媒体では、インクで色を表現するCMYKが使われます。 しかし、DTPで用いられるのは光で色を表現するRGBです。CMYKは4原色、RGBは3原色で構成されているため、CMYKで作成された原稿をデジタル化した際には、色のくすみが発生しやすくなります。 このような事態を避けるためにも、CMYKとRGBに関する知識が必要です。
  • 専用ソフトの知識と技術
    DTPオペレーターは、フォーマットの作成や画像と文字のレイアウトの際に専用ソフトを利用するため、当該ソフトに関する一定のスキルが必要です。 上述したようにDTPでは、Illustrator、InDesign、Photoshopという3つのソフトがよく使われるため、これら3つのソフトに関する知識や技術は身に付けておきましょう。

その他のスキル

DTPオペレーターは、グラフィックデザイナーおよびライターが作成した図面やテキストに従って、原稿をデジタル的にレイアウトする役割を担っています。 DTPオペレーターによってレイアウトされた原稿が印刷物となって納品されるため、当オペレーターには仕事の手を抜かない職人的なスキルが必要です。また、勤務先のよってはDTPオペレーターがデザインを任されることがあるため、クリエイティブなスキルも求められます。 なお、近年はDTPで作成したデータをウェブ媒体に流用することもあるため、DTPとウェブ媒体のルールの違いについて押さえておくとよいでしょう。

DTPオペレーターになるために取得しておきたい資格

DTPオペレーターになるためには、主に以下の3つの資格取得が有益とされています。
  • DTP検定
    DTP検定が認定するのは、DTPオペレーターの技術力とセンスです。当検定には、「DTPディレクション」「DTPビジネス」という2つの資格が用意されています。 より一層DTPオペレーター向きなのは、DTPディレクションです。DTPディレクションを学ぶことで、DTPオペレーターに必要な知識や技術が習得できます。 しかも、レイアウトの技術だけでなく、全工程を管理・監督するディレクターとしての技能も身に付くため、就職先や転職先の幅を広げることが可能です。
  • DTPエキスパート
    DTPエキスパートでは、DTPオペレーターに関する知識や技術だけでなく、情報システムやコミュニケーションに関する知識なども学べます。 当資格を取得すれば、DTPオペレーターだけでなく、デジタルコンテンツや営業に関する知識も身に付くため、セールスポイントを増やしたい人には最適です。
  • 色彩検定
    色彩検定では、色に関する幅広い知識が身に付きます。当検定で学べるのは、色の基礎知識や複数の色を組み合わせる配色技法などです。 DTPオペレーターにとって、色に関する知識は重要になるため、DTP検定やDTPエキスパートと一緒に取得しておくと役立ちます。

DTPオペレーターのやりがいと向いているのはどんな人?

DTPオペレーターには、具体的にどのようなやりがいがあるのでしょうか。また、どのような人に向いているのかも知っておきたいところです。

DTPオペレーターのやりがい

DTPオペレーターになると、自分がレイアウトした印刷物を世の中に流通させることができます。 自分が作成したチラシやポスターが不特定多数の人に見てもらえたときに得られるのは、「自分の仕事が誰かの役に立っている」という実感です。 また、内容によってはクライアントから感謝の言葉をもらえることも大きなやりがいの一つとなります。

DTPオペレーターに向いている人

DTPオペレーターは、丁寧な仕事が求められる職業です。そのため、職人気質で自分の仕事に妥協せず、単純作業でもコツコツと手を抜かずにやり遂げることができる人に向いています。 日進月歩の世界でもあるため、常に新しい情報を取り入れながらスキルアップを目指せる人にも向いている職業です。

DTPオペレーターになれば習得できるスキルとは

DTPオペレーターになると、さまざまなスキルを習得できます。業務を通してソフトウェアを使用するので、まずソフトウェアに関するスキルが身に付くでしょう。 PhotoshopやIllustratorといったソフトウェアはデザインの分野で幅広く使われているため、使い方に習熟しておけば転職活動の際のアピール材料となるはずです。 次に、DTPの専門スキルも当然身に付きます。文字サイズの選び方、狙った色の再現方法など、DTPのノウハウを身に付けることで他の職場でも活躍できるようになります。 最後に、デザイン感覚もDTPオペレーターの仕事を通して習得できるスキルの一つです。デザイナーの制作物を実際の印刷物にする業務の中で、多種多様なデザインに触れてデザイン感覚を磨くことができるでしょう。

DTPオペレーターの年収や将来性は?

DTPオペレーターを目指す前に、年収や将来性について押さえておくことをおすすめします。 DTPオペレーターの平均年収は約400万円です。PCスキルさえ備わっていれば未経験から始められることもあってか、他のクリエイティブ職種に比べるとやや低い傾向にあります。ただし、DTPオペレーターの平均年収は増加傾向にあり、今後の動向によってはさらに上がる可能性があります。 また、上位職へのキャリアアップで年収を上げられるのもDTPオペレーターの魅力の一つです。業務を通してデザインの感覚やスキルを磨けば、ウェブデザイナーやグラフィックデザイナーへの転身も狙えるでしょう。 さらに、DTPオペレーターのスキルを身に付けておけば、即戦力を求められる職場ですぐに活躍できます。

DTPオペレーターのキャリアパスはどうなっているの?

キャリアパス(Career Path)とは、「企業の中で社員が目標とするポストに就くまでにたどる道程」を意味する経営学用語です。 個人レベルでは、「自分が目指す職業に就くまでの道程の中で、どのように経験やスキルを身に付けるか」といった意味でも使われます。また、「ある職業に就いたうえで、身に付けたスキルを活かしてどのような他業種に転職できるか」という意味でも使用可能です。 このように、複数の意味があるキャリアパスですが、ここではDTPオペレーターのスキルを活かして転職できる職業について紹介します。

グラフィックデザイナー

グラフィックデザイナーの主な仕事は、画像やイラスト、文字などを駆使して広告やポスターといった印刷物の作成です。 DTPオペレーターは、グラフィックデザイナーが立案したコンセプトや、作成したデザインをもとにレイアウトするのが主な仕事となります。 ただし、両者の境界線はあいまいな部分もあるため、クリエイティブなセンスがあればグラフィックデザイナーへの転職も可能です。

ウェブデザイナー

ウェブデザイナーは、ウェブサイトが使いやすくなるように構築する役割を担っています。また、使いやすさとともに見た目の美しさを追求するのも重要な仕事です。 特別な資格は不要ですが、HTMLとCSSの基礎的な知識は必要になります。そのため、グラフィックデザイナーよりも転職のハードルは少し高めです。 ただし、DTPオペレーターに向いている人であれば、ウェブデザイナーの知識や技術を習得することもそれほど難しくありません。

DTPオペレーターを目指す前にやっておきたい適切な準備とは

未経験者がDTPオペレーターを目指して、いきなり就職活動や転職活動を行っても成功する可能性は高くありません。 一定のスキルは必要ですし、資格を求められる可能性もあります。そのため、未経験からDTPオペレーターを目指すためには以下4つのような準備が必要です。
  • 通信講座や専門学校で学ぶ
    DTPオペレーターの知識や技術は、通信教育や専門学校で学べます。もちろん、働きながら学ぶことも可能です。また、未経験からの就職や転職を目指す人のためのコースも用意されています。 なお、通信講座や専門学校ではDTPオペレーターに関する知識や技術だけでなく、ウェブデザインやプログラム言語などの習得も可能です。卒業後の就職先を紹介してくれる専門学校もあります。
  • 職業訓練校で学ぶ
    国や自治体が運営している職業訓練校でも、DTPオペレーターに関する知識や技術の習得が可能です。 公共職業訓練は、主に雇用保険の失業給付者が対象ですが、週に20時間以内であれば働いていても受講できます(ハローワークの審査あり)。受講料は無料で、必要なのはテキスト代だけです。 希望すれば資格取得だけでなく、卒業後の就職先も紹介してもらえます。
  • 未経験者歓迎の企業で経験を積む
    現場で経験を積みながらDTPオペレーターを目指すのであれば、「未経験者歓迎」という求人を出している企業を探すことも選択肢の一つです。 企業内のDTPオペレーターの業務を手伝いながら知識や技術が学べるため、もし見つけた場合は就職を検討してみましょう。ただし、その場合は仕事内容や給与などの各種条件に注意を払う必要があります。 就職してから後悔しないためにも、なるべく信頼できる求人サイトなどを活用することが大切です。

スキルを身に付けてDTPオペレーターを目指そう

DTPオペレーターは、コツコツと仕事を進められる職人気質の人に向いている職業です。 色彩検定などの資格を取得しておけば就業に有利ですが、未経験者歓迎の求人も多いので、とにかく始めてみるのも一つの方法です。 クリエイティブ職に興味がある人は、DTPオペレーターになってキャリアアップを目指すとよいでしょう。 マイナビジョブ20’sでは、20代の転職活動をサポートしています。まずは会員登録を済ませ、DTPオペレーターの求人を探してみてはいかがでしょうか。

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