企業の安全性は「自己資本比率」でチェック!計算方法や安全性の目安は?

作成日:2021.03.11 更新日:2024.04.19

企業経営の安全性を示す、重要な指標となる「自己資本比率」。就職・転職活動をする際、自己資本比率を参考に応募企業を選ぶという人もいるのではないでしょうか。 ただ、自己資本比率の詳しい概要について、実は正しく知らないというケースも少なくありません。 そこで今回は、自己資本比率の基礎知識を踏まえ、計算方法や安全性の目安、改善方法など気になる情報を解説します。
 

会社設立時の資本金とは?

資本金とは、事業を行ううえで元手となるお金のことです。 会社を設立した後、事業を円滑に進めるために、株主が出資した金額の合計が資本金となります。ただし、何の実績もない状態で株主からの出資を募るのは難しいため、多くの場合、資本金には創業者の自己資金が充てられます。 資本金は負債と異なり、返済の義務がなく企業が自由に使えるお金です。資本金は企業を創業した際の運転資金となり、多ければ多いほど銀行などに頼らずに事業を行うことができます。 企業設立時における資本金の平均は約300万円といわれています。設立直後は資本金がそのまま企業の運転資金となるため、利益が出なくても3カ月程度は事業を続けられるだけの資本金を用意する必要があるでしょう。 資本金の金額は会社の規模を表すと同時に、与信調査の結果を左右します。 初めての取引では与信調査をされる場合が多いため、資本金があまりに少ないと他企業からの信頼を得られず、そもそも取引をしてもらえないリスクがあります。企業設立前に、仕入れ先や競合他社の規模および資本金などを調べておきましょう。 また、銀行からの借入限度額についても資本金が目安となります。銀行から融資してもらえる金額は、資本金の2倍程度までが相場となっているため、融資を受けて事業を急速に成長させたいと考えている場合は相応の資本金を用意する必要があります。 なお、資本金は新しい株式を発行するなどの方法で開業後に増資・減資することも可能です。

安全性を示す「自己資本比率」とは?

自己資本比率とは

自己資本比率とは、企業の総資本のうち「自己資本」が占める割合のことです。総資本は企業が経営活動を行う上で必要になる元手のようなもので、「自己資本」と「他人資本」で構成されています。 自己資本はその名の通り企業自身が持つお金であり、返済する必要のない純粋な資産のことです。これに対し、他人資本はほかの企業や金融機関などから借りたお金、つまり負債を意味します。 たとえば、財布に10万円が入っているものの、自分がもともと持っていたお金は3万円のみで、残り7万円は友人から借りたお金だとします。この場合、一時的に10万円を自由に使えることに変わりはありませんが、友人から借りた7万円は後日返済しなければなりません。 このように、企業も自分の資本だけでなく、他人から借りた資本を合わせて経営を行っています。いかに総資本が多くても、他人資本の割合が多ければ安全な経営だとは言えません。負債が多いと返済できないリスクが高まるため、金融機関からの融資も受けにくくなってしまいます。 やがて資金調達に行き詰まり、倒産してしまうことも少なくありません。また、他人資本が経営に大きな影響を与え、独立性が保てない可能性もあります。このため、他人資本の割合が多い=自己資本比率が低い企業を就職・転職先にする場合は、十分に注意したほうが良いでしょう。 逆に自己資本比率が高い企業であれば、負債が少なく、返済の必要がない純粋な資産を多く持っている「倒産しにくい企業」と判断できます。このように、自己資本比率はその企業の安定性を客観的に示す、重要な指標となるのです。

自己資本比率だけを重視するのはやめよう

自己資本比率は、企業経営の安全性を示す重要な指標です。しかし、自己資本比率だけを基準にして企業の価値を判断するのはやめましょう。 積極的な事業展開を行っている企業の場合、設備投資など一時的に多額の借り入れが必要になり、自己資本比率が低くなるケースもあるためです。 たとえば、IT業界の大手企業として知られる「楽天」。買収や新規事業への参入などを積極的に行っていることもあり、2020年12月期の自己資本比率はわずか4.9%しかありませんでした。2019年12月期は8.0%、2018年12月期は10.5%であり、自己資本比率は年々低下しています。 しかし、だからと言って楽天を「倒産しそうな企業だ」と敬遠する人は少ないでしょう。プロ野球球団を持っている、携帯電話の第4の大手キャリアとして参入したなどの実績を見て、むしろ体力と勢いがある企業だと高い価値を感じやすいのではないでしょうか。 このように、たとえ自己資本比率が低くても、一定の利益を稼いで順調に負債を返済し、大きな問題なく経営を続けている企業もあるのです。 積極的な事業展開の結果が利益として返ってくれば、やがて純資産が増加し、将来的に自己資本比率が改善していく可能性もあるでしょう。 自己資本比率が高いほうが経営の安全性も高いのは確かですが、それだけを重視すると魅力的な企業を見落としてしまうかもしれません。 このため、就職・転職先の企業を探す際は、自己資本比率と一緒に事業展開などもチェックしてみることをおすすめします。 なお、積極的な投資を行っていないのに自己資本比率が低い企業の場合、それは本当に体力がなく安全性に欠ける恐れがあるので注意が必要です。 (出典:財務データ|楽天株式会社

自己資本比率を計算する方法

自己資本比率は、「自己資本÷総資本(自己資本+他人資本)×100」で計算できます。このため、まずは企業の財務状況を示した「貸借対照表」を利用し、自己資本と他人資本の金額を把握しなければなりません。 貸借対照表の左側には「資産の部」、右側上部には「負債の部」、右側下部には「純資産の部」があり、科目ごとにさまざまな金額が記載されています。自己資本は資本金や利益剰余金などを記載した「純資産の部」、他人資本は買掛金や借入金などを記載した「負債の部」のことです。 「純資産の部」と「負債の部」に記載された金額をそれぞれ合計し、計算式に当てはめれば自己資本比率がわかるので計算してみましょう。
たとえば、資本金が400万円と利益剰余金が200万円、買掛金が100万円と借入金が300万円あったとします。 この場合、自己資本が600万円、他人資本が400万円となり、自己資本比率は600万円÷(600万円+400万円)×100=60%になるというわけです。
貸借対照表は基本的に公開されているので、一般の人が調べることもできます。就職・転職先として検討している企業が自己資本比率を公表していない場合、貸借対照表を確認して自分で計算してみると良いでしょう。計算が面倒な場合は、最新版の『会社四季報』やインターネットなどで調べることもできます。 なお、計算の結果、自己資本比率がマイナスになるケースもあります。この場合、資産をすべて売却しても負債を返済できない債務超過の状態に陥っており、経営の安全性が非常に低いことを意味するため注意しましょう。

安全性が高い自己資本比率はどれくらい?

自己資本比率は高いほど良い?

自己資本比率が高いと、負債が少なく安全性の高い経営ができていることを意味します。ただし、高ければ高いほど良いというわけでもありません。 仮に自己資本比率が100%だった場合、その企業は自社以外からの資金調達をまったく行っていないことになります。 一見すると良いことのように思えますが、実は金融機関から融資を断られていたという可能性もあるため注意が必要です。 一般的に、金融機関は相手がきちんと返済できるかどうかを審査した上で融資を行います。資金繰りが悪いなど信用の低い企業の場合、返済できないリスクを警戒して融資を断ることも珍しくありません。 つまり、本当は融資が必要なのに、審査で断られたためにやむなく自己資本比率100%を維持しているという企業もあるのです。 このような場合、自己資本が尽きてしまえば途端に資金調達に困り、倒産してしまう可能性もあります。自己資本比率100%の企業を見つけたら素直に安心するのではなく、金融機関との取引実績があるかどうかも調べてみましょう。 過去に融資を受けていたり、融資以外で取引を行ったりしていれば、金融機関からの信頼を受けている安定した企業の可能性が高くなります。

望ましい自己資本比率は「40%」

中小企業庁が公開した「令和元年中小企業実態基本調査速報」によると、平成30年度における中小企業の自己資本比率は平均40.92%でした。 このため、自己資本比率が40%以上あれば比較的安全性の高い企業だと考えて良いでしょう。これよりも明らかに低すぎる場合、借入など外部からの資金調達に依存した経営を行っていることになります。 借入は返済しなければならないため、利益が出ても金利負担などで経営を圧迫しかねません。そのままの状態が続くと金融機関からの信用も得にくくなり、さらに資金繰りが苦しくなるという悪循環に陥る恐れもあるので注意しましょう。 ただし、自己資本比率は業種によって平均が大きく異なるため、一概に40%が目安と言えない場合もあります。 たとえば、形のないサービスを主に取り扱う情報通信業の場合、借入の必要があまりないため自己資本比率は高くなりがちです。 「令和元年中小企業実態基本調査速報」に掲載された負債及び純資産の額から計算すると、情報通信業の自己資本比率は平均で約54%ありました。これに対し、売掛金や在庫などを現金化するまで負債が増えてしまう小売業は約31%、設備投資に多大な費用がかかる宿泊業・飲食サービス業は約15%と、自己資本比率はかなり低めです。 このように、各業種により自己資本比率の平均は変わるため、一律40%を目安にするのではなく同業他社と比較した上で判断すると良いでしょう。 なお、大企業の場合は利益が大きく、内部留保も確保しやすいことから外部の資金調達に頼らず経営できるケースが多く、中小企業よりも自己資本比率が高い傾向にあります。 また、これまでの実績やネームバリューがある分、いざというときの資金調達もしやすいため、自己資本比率が低いからと言ってすぐに倒産するわけではありません。 上述したように、自己資本比率4.9%でありながら順調な経営を続ける楽天のような例も多いので、大企業の場合は自己資本比率だけで判断するのはやめましょう。

自己資本比率の業種別の基準とは?

前述のとおり、自己資本比率の平均は業種によって大きく異なるため、自社の業種における平均を知って基準を見極めることが重要です。 例えば、情報通信業なら60%、製造業なら45%、建設業なら40%程度が安全性の高い自己資本比率の目安となります。その他、運輸業や小売業なら35%、不動産業なら30%、宿泊業や飲食サービス業なら15%が目安です。 一般に、情報通信業などの設備投資が少ない業界ほど自己資本比率が高くなりやすいことが知られています。

自己資本比率は改善できる?

自己資本比率は「自己資本÷総資本(自己資本+他人資本)×100」という計算式で成り立っており、「他人資本(負債)を減らす」または「自己資本(純資産)を増やす」ことで改善できます。 このため、仮に自己資本比率が低くても、すぐに就職・転職先企業の候補から外す必要はありません。企業の事業展開や努力次第で、数年後には問題ない水準にまで回復する可能性もあるのです。 たとえば、毎期しっかりと利益を出して利益余剰金を蓄積したり、増資で資本金を増やしたりする方法。自己資本には利益剰余金や資本金が含まれるため、これらを増やせば時間はかかるかもしれませんが着実に自己資本が増えていきます。 ただし、自己資本を増やすと総資本も一緒に増えてしまうため、効率的な改善にはなりません。自己資本比率改善には、自己資本を増やすと同時に他人資本(負債)を減らす必要があるのです。 他人資本は「借入金の返済」「不要な固定資産の売却」「投資目的で保有していた株式の処分」「棚卸資産を売却して不良在庫を防ぐ」などの方法で減らすことができます。実際にどのような方法をとるかは企業次第ですが、自己資本比率の改善自体は可能であると覚えておきましょう。 自己資本比率は金融機関が融資の審査で参考にすることも多く、改善に努める企業も珍しくありません。今は自己資本比率が低くても、将来的に安定した企業に成長する可能性もあるので、広い視野で就職・転職先企業を選ぶことが大切です。

自己資本比率を参考に理想の企業を見つけよう!

自己資本比率は企業の安全性を示す重要な指標ですが、中には自己資本比率が低くても優良な企業もあるため、それだけを重視するのはおすすめできません。 どの企業が安心なのか、どう転職活動するべきかわからないなどの場合は、転職支援サービスを利用してプロのキャリアアドバイザーに相談するのもおすすめです。 自分に合う隠れ優良企業を紹介してくれるなど手厚いサポートを受けられるので、安心して転職活動を行えるでしょう。

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