面接頻出の「フェルミ推定」とは?基礎知識とその対策

作成日:2023.09.12 更新日:2024.04.19

面接の際、数学的な技術を求められる機会は少ないかもしれません。ところが、思考力や問題解決力をチェックするために「フェルミ推定」という課題が出題されることが増えてきました。 この手法が面接において問われるときには、正確な答えを導き出すことよりも、アプローチの仕方が重視されます。本記事では、フェルミ推定の基本的な考え方やその重要性、対策方法について詳しく解説します。

フェルミ推定の基礎知識

フェルミ推定は、具体的なデータや情報が欠けている状況下でも、大まかな推計値を求めるための特殊な思考手法です。 この推定法の名前は、20世紀の著名な物理学者エンリコ・フェルミに由来します。彼は多くの物理的問題に対して、直感と基本的な情報のみを利用して、驚くほど正確な推定を行っていました。 特に有名なエピソードとして、原子爆弾の実験において、フェルミは爆発によって飛ばされた紙片の距離を単純な計算で推定した例があります。 彼に具体的なデータはありませんでしたが、彼の直感と基本知識を組み合わせて、その推定値は実際の結果と非常に近いものだったそうです。 このようなアプローチは、多くの場面で非常に有効です。例えば、ビジネスの場面で新しい市場の規模や、新製品の販売予測を行う際に、すべての情報が揃っていないことはよくあります。 そのような状況でフェルミ推定を利用すれば、限られた情報だけで合理的な答えを導けるのです。より具体的な例を挙げてみましょう。 ある企業が新しいコーヒーの販売を考えているとします。市場調査を行う前に、大まかな市場の規模を知りたいと思ったとき、フェルミ推定が活用できるのです。 まず、都市の人口を考慮し、その中でコーヒーを飲む人の割合を推定します。さらに、1人が1日に何杯のコーヒーを飲むかを考慮すると、大まかな1日のコーヒー消費量が求められるわけです。 この思考方法の魅力は、正確な回答を目指すのではなく、利用可能な情報と論理的思考を基に、大まかな答えを迅速に導き出す点にあります。 そのため、フェルミ推定は「最初の一歩」として非常に役立ち、その後の詳細な調査や分析の方向性を示す指針として活用することができます。 まとめると、フェルミ推定は、情報が不足している状況での決定や判断を支える強力なツールなのです。簡単な仮定や既知の情報を基に、答えを迅速に導き出せるこの方法は、多岐にわたるシチュエーションでの利用が期待されます。

フェルミ推定が出題される3つの理由

フェルミ推定の評価手法は、多くの企業の採用面接や教育機関で取り入れられるようになっています。 この手法は、単に知識を問うのではなく、応募者の思考プロセスや論理的思考能力、そして状況に応じて適切に情報を活用する能力を評価する目的で使用されるのです。フェルミ推定が出題される背景としては以下のような3つの理由があります。

思考力の評価

現代の業務環境では、未知の問題や新しい状況に対応する能力が求められることが増えてきました。そのため、単に知識を持っているだけでは不十分で、その知識を活用して問題を解決する思考力が重要となります。

例えば、新規事業の立ち上げを考えている企業が、その市場規模を大まかに知りたい場合を考えましょう。そこでは、具体的なデータが揃っていない中で、どれくらいの人々がその商品やサービスに興味を持つ可能性があるのかについて、推定する思考の力が求められるのです。

時間制約の中での判断能力

実際の業務や面接では、十分な時間が与えられないケースがほとんどでしょう。その中で迅速に合理的な判断を下す力は、高く評価されるビジネススキルの一つとなっています。

また、フェルミ推定を通じて限られた時間の中で情報を整理し、適切な仮定を立てる能力は、研究現場においても必須のスキルなのです。

情報の不足や不確実性への対応力

ビジネスの現場では、すべての情報が揃っていない、あるいは情報の信頼性が確認できない状況は一般的です。このような不確実性の中でも、最良の判断を下す対応力の養成は、被験者側としてはフェルミ推定の練習が効果的です。

逆に、出題者側としては、フェルミ推定を設問に入れれば、それらの能力を正しく評価できる可能性が高まります。
以上の点から、フェルミ推定に関する出題は、単に面接の一部として考えるだけでなく、現代の業務環境で求められるスキルの評価手法として非常に有効です。 フェルミ推定の活用で、未知の問題に対する対応力や、情報の整理・活用能力、そして時間制約下での判断力を持つ人材を採用することが求められています。

フェルミ推定を進める4つのステップ

フェルミ推定は、不完全な情報を基に合理的な推定を行う技法として知られています。以下、それぞれのステップに関して事例を交えて説明します。
  • STEP1 問題の定義

    まず、何を知りたいのかを具体的に定義する必要があります。この時点での明確さが、その後のステップをスムーズに進めるカギとなります。

    例えば、「日本でのピザの年間消費量はどれくらいか」という問題を考えた場合、消費量を「枚数」で知りたいのか、「重さ」で知りたいのかを明確にすることが重要です。
  • STEP2既知の情報の整理

    既に手に入る情報やデータを整理します。公に知られている情報や、一般的な知識などを基に、手元にある情報のリストアップを行いましょう。

    上述のピザの消費量に関する問題では、「日本の人口」「ピザを食べる頻度や機会」など、関連する既知の情報をまとめます。
  • STEP3仮定の立て方

    完全な情報が得られない部分については、合理的な仮定が必要になります。この仮定が、フェルミ推定のカギといえるでしょう。

    日本の成人が月に平均2回ピザを食べると仮定する場合、これを基に計算を行うのです。仮定は現実に近いものであるほど、結果も現実に近くなりますが、完璧な正確さは求められません。 大切なのはその仮定がどれだけ合理的であるかという点です。
  • STEP4計算と推定

    これまでのステップで得られた情報と仮定から、大まかな推定値を計算します。ここでは、計算の過程やロジックが重要です。

    上述の仮定を基に、日本の成人人口との積を計算し、ピザの消費枚数を推定します。さらに、この結果を用いて具体的な数値や範囲を絞り込むこともできるでしょう。
このようなフェルミ推定のステップを踏めば、未知の問題や情報に対しても合理的な推定が可能となり、その結果を元に具体的な行動や判断を下せるのです。 特に、情報が不足している状況や、初めての問題に直面したときに、この技法は有効となります。常日頃からフェルミ推定の練習を積んでいれば、さまざまな問題解決の場面でその力を発揮できるでしょう。

フェルミ推定を問うことで面接官がチェックする4つのポイント

フェルミ推定の問題は、一見するとシンプルであるように思えますが、その背後には深い意味が込められており、多くのスキルや能力が要求されます。 では、このような問題を通じて、面接官は何を評価しようとしているのでしょうか。以下に、具体的なチェックポイントについて事例を交えて考えてみましょう。
  • 思考プロセスの整合性と透明性
    フェルミ推定では、結果よりもその過程が重要となります。面接官は、応募者がどのように問題を分解し、どのような手順で解を導いたのかを詳しく知りたいと思っているのです。 「東京都内での自転車の総数はいくらか」という問題が出された場合、都内の人口や自転車の所有率、家庭の平均人数などを考慮して推定することが求められます。
  • 情報の整理能力
    既知の情報を効果的に整理し、それを基に推測を進める能力は、実務においても非常に重要です。整理された情報は、正確な判断を下すための土台となります。 「日本の年間紅茶の消費量はどのくらいか」という問題に対しては、その推論を進めるための情報の取捨選択能力が評価されます。この例では、日本人の1日の平均紅茶摂取量や日本の人口を選ぶ必要があるのです。
  • 合理的な仮定を立てる能力
    全ての情報が手に入るわけではありません。そのため、合理的な仮定を立てることで、不確実性を埋める能力が問われます。 「世界での毎日のチョコレートの消費量はいくらか」という問題で、特定の国のチョコレート消費量しかわからない場合、その国を基に世界全体の消費量を推測するための仮定が必要となります。
  • 論理的思考力
    フェルミ推定の問題を解く過程で、論理的に整合性を保ちながら答えを導き出す能力は、多くの職種の実務でも必要とされるスキルです。「日本のビーチで夏に使われる浮き輪の数はいくらか」という問題に取り組むとしましょう。 この場合は、ビーチの数や1つのビーチに来る人数、その中で浮き輪を使う人の割合などを考慮し、そのすべてを踏まえて答えを導出する必要があります。

フェルミ推定出題への5つの対策

フェルミ推定の問題は多様であり、具体的な正答を求めるものではないため、準備するにあたってのアプローチも独特です。以下、具体的な対策方法とそれに関連する事例を交えて説明します。

基本的な知識や情報の蓄積

フェルミ推定を効果的に行うには、一般的な知識や情報が必要です。

この情報は、日常的なニュースのチェックや読書を通じて蓄積されます。日本の人口、都道府県の数、一般的な家庭の構成など、基本的な情報を知っていると、多くのフェルミ推定の問題で有利に進められます。

実際のフェルミ問題を解く練習

実際にフェルミ推定に繰り返し取り組めば、思考の流れや必要な情報の整理方法を習得可能できます。

「日本で年間に食べられるラーメンの杯数はどのくらいか」という問題を解く際、1日の消費量やラーメンを食べる人の割合など、多くの要素を考慮するトレーニングができるでしょう。

仮定を立てる練習

情報が不足している場面では、合理的な仮定を立てる能力が試されます。仮定を立てる際のポイントやロジックを身につけることが重要です。

「地球上の全てのアリの重さの合計はいくらか」という問題に対して、1匹のアリの平均の重さやアリの総数など、多くの仮定を組み合わせて答えを導き出す必要があります。

複数の情報を組み合わせる練習

フェルミ推定では、さまざまな情報やデータを組み合わせるスキルが必須です。このスキルを十分に磨けば、より高度な問題にも対応できるようになります。

「日本のコンビニで年間に売れるおにぎりの数はいくらか」という問題に対して、1日の平均販売数、コンビニの店舗数、年間の営業日数など、多角的な情報を組み合わせて推測を行う必要があります。

答える際のプレゼンテーションの練習

フェルミ推定の答えを伝える際には、ロジックや考え方を明確に伝えることが重要です。効果的なプレゼンテーションスキルも磨いておくと良いでしょう。

問題の答えを導く過程をステップバイステップで説明すれば、面接官に自分の思考プロセスを伝えやすくなります。
対策をしっかりと行えば、フェルミ推定の問題にも自信を持って取り組むことができるようになるでしょう。日常生活の中での好奇心を大切にし、常に情報を収集・整理する習慣を身につけることが、最終的にはフェルミ推定のスキルアップにつながります。

Service

サービスについて

マイナビジョブ20'sは、マイナビグループ唯一の20代専門転職サービスです。面接対策・書類添削・求人紹介・適性診断など、充実した体制で皆さまの転職活動をフルサポートいたします。

Seminar

セミナー案内

Seminar

セミナー

開催予定のセミナーはありません

no data

20代・第二新卒・既卒向けの転職支援なら

マイナビジョブ20'sは、20代・第二新卒・既卒向けの転職エージェントです。

マイナビグループだからできる、良質な求人情報と人材紹介会社ならではのプロのキャリアアドバイザーが、

個別キャリアカウンセリングや面接対策であなたに最適なお仕事をご紹介。

求人企業様から依頼を受けている求人も全て「20代の若手社会人」を必要としている求人となります。お気軽にご相談ください。