念書の意味とは?念書の書き方と覚書や契約書との違いを徹底解説

作成日:2021.10.29 更新日:2024.04.19

ビジネスシーンや日常生活において、「念書」を見聞きしたことがある人は多いのではないでしょうか。何か取り決めをするとき、きちんと念書を整えておくことは自分自身の権利を守るうえで大切なことです。 この記事ではミスなく念書を運用するためにはどうすればよいのか、念書の意味や書き方、契約書・覚書との違いについて解説します。 

念書の意味と必要となるケースとは?

 

念書の意味

念書は契約の一種で、約束したことを文書にした書面を意味します。約束をした当事者のうちどちらか一方(債務者)が、もう一方の当事者(債権者)に対して差し入れるのが一般的です。 念書は当事者一方だけが義務を負担するもので、署名や捺印を行うのは差し入れる側(債務者)のみになります。つまり、契約書と違って双方対等の書面ではないのです。 当事者の片方がもう片方に一方的に送りつけているだけの念書には、法的な効力は発生しません。つまり、相手に約束を守ってもらえなかったからといって、強制力を行使することはできないのです。 念書はあくまでも約束した内容を明らかにするためだけのものなのです。念書に書かれた約束事を履行されなかったからといって、裁判を起こすのは難しいといえるでしょう。 ただし、念書の内容に関してトラブルに発展し裁判になった場合、証拠資料として裁判所に念書を提出できるケースもあります。つまり、念書は裁判結果にも影響を与えることが可能なのです。そのため、きちんとした念書を作成しておくことが大切です。

必要となるケース

念書はビジネスシーンやプライベートなシーンに使われます。たとえば、退職者の誓約書代わりの念書、賃貸契約の念書、始末書代わりの念書などがあげられるでしょう。さらに、金銭借用の契約書代わりに使われることもあります。ただし、金銭借用に関する念書には注意が必要です。 決められた金額以上の場合は金額に応じた収入印紙を貼ったうえで消印をしなければならないことが、印紙税法によって定められています。念書の場合は、収入印紙がなくても効力が変わることはありません。しかし、印紙税法違反になるのです。 ちなみに、民法第587条にはお金の貸し借りは口約束でも成立すると定められています。つまり、念書などの差し入れは義務ではないのです。実際に親しい友人や親戚間でお金を貸し借りしても、わざわざ念書まで作成しないケースがほとんどでしょう。 しかし、お金の返済が滞った場合、トラブルになります。借りた相手が「お金を借りていない」と言い出すかもしれません。そうなると、「借りた」「借りていない」の水掛け論になってしまいます。こうしたトラブルを防ぐ意味でも、きちんと念書を作成しておくとよいでしょう。

念書と契約書・覚書の違いとは?

契約に関する書面には念書のほかに、「契約書」と「覚書」があります。契約書も覚書もどちらも契約の一種で、念書と混同しやすい書面です。同じように取り扱っていては、いざというとき、トラブルを起こしかねません。運用するときは、しっかりと違いを押さえておくようにしましょう。

「契約書」と「覚書」

まず、「契約書」とは当事者の一方が申し込み、相手がその内容を承諾することによって成立する書面のことです。成立には当事者全員の合意が必要です。署名と捺印も当事者全員が行います。次に、「覚書」も契約書と同じく当事者全員の合意・署名・捺印が必要です。 契約書と覚書にはこのような共通点がありますが、覚書は基本的に契約書を補完するような合意事項を取り決める場合に使うものです。契約書ありきで作成される書面のため、契約書がないのに覚書だけが作成されることはありません。

念書と契約書・覚書の違い

では、念書と契約書・覚書の違いは何なのでしょうか。念書は当事者のうち一方のみの意思を示したもので、署名と捺印も差し入れた一方しか行いません。そのため、一方の当事者にしか義務が生じないのです。 契約書と覚書は当事者全員の合意と署名と捺印が必要です。そのため、当事者全員に義務が生じます。つまり、契約書と念書の大きな違いは、片務契約(片方にだけ義務あり)なのか、双務契約(当事者全員に義務あり)なのかにあるのです。 そして、念書には法的な効力がありませんが、契約書と覚書には法的な効力が発揮されるのです。ちなみに、契約書と比べた場合、覚書は効力が低いのではないかと思われがちですが、そんなことはありません。効力は同等です。

念書に記載すべき項目と例文とは?

念書に記載すべき8つの内容

念書そのものには法的な強制力はありません。しかし、裁判になったときの証拠資料とするためにはきちんとした書式で作成する必要があります。 念書に記載すべき内容は8つです。念書を書く場合は次の項目が漏れていないか、確認するようにしましょう。逆に念書を差し入れられる立場になった場合も同様です。 1つ目は「差し入れる側の名前」です。差し入れる相手が個人であれば個人名、会社であれば会社名になります。2つ目は「書面のタイトル」です。一般的には「念書」と書きます。 3つ目は「履行する内容」です。この内容のなかに4つ目にあたる「履行する日」を明記します。1日間ではなく、2日間以上履行しなければならない場合は「〇年〇月〇日から×年×月×日まで」といった具合に期間が必要です。 5つ目は「履行する場所」です。賃貸物件に関する念書の場合は物件の所在地、会社の就業規則違反に関する念書の場合は所属する部署と会社の住所を書きましょう。それ以外の念書の場合は、一般的に念書を書く当事者の住所になります。 6つ目は「念書を作成した日付」7つ目は「念書を書いた当事者の氏名」8つ目は「念書を書いた人の捺印」です。

注意点は3つ

念書に盛り込む際の注意点は3つあります。
  • 履行する内容
    具体的に「履行する内容」を記載することです。始末書代わりの念書であれば、行った違反を明記したうえで、再び違反してしまった場合にどのように対処するのかを書きます。 金銭を借りた場合の念書であれば、借りた金額と支払い期日を書きます。家賃の支払いが遅れている場合の念書であれば、滞納している期間と金額、今後の支払い方法、期日を明記しましょう。
  • 念書を書いた人の署名
    「念書を書いた人の署名」についてです。履行する内容や日付などはパソコンで書いたものでかまいません。ただし、署名だけは手書きでサインする必要があります。
  • 収入印紙を貼る
    決められた金額以上の場合に関する念書の場合は収入印紙を貼るようにしましょう。収入印紙が貼っていない場合、印紙税法違反に問われます。
 

具体的な念書の例文

始末書代わりの念書

まず「差し入れる側」の会社名と役職・氏名、次に書面のタイトルである「念書」を記載します。 そして、違反した内容と再び違反した場合の約束事すなわち「履行する内容」を書きましょう。 最後に「念書を作成した日付」と「履行する場所(念書を書いた当事者が所属している部署と会社の住所)」「念書を書いた当事者の氏名」を書き、「捺印」します。 具体的な例文を挙げると、無断欠勤の場合は 「私(念書を書いた当事者の名前)は、〇年〇月〇日特段の事情もなく無断欠勤をいたしました。 今後、二度としないことをお約束します。もし再び無断欠勤をした場合は〇〇(処分される内容が入る)となっても不服申し立てすることはいたしません。以上」 となります。 就業違反の場合は 「私(念書を書いた当事者の名前)は〇年〇月〇日SNSへの社内情報の書き込みという就業規則違反をいたしました。今後はいかなる場合も就業規則を順守することをお約束いたします。 もし再び就業規則違反をした場合は〇〇(処分される内容が入る)の処分となっても不服申し立てすることはいたしません。以上」 となります。

退職する場合の念書

まず「差し入れる側」の会社名と役職・氏名、次にタイトルである「念書」を記載します。 そして、退職した後に「履行する内容」と「違反した場合の約束事」を書きましょう。 たとえば、 「私(念書を書いた当事者の名前)は、貴社を退職するに当たり、次の事項を遵守することをお約束します。在籍中に知り得た機密情報、従業員や顧客に関する個人情報は一切もらしません。 職務を遂行するうえで貴社または顧客から交付を受けた資料は一切保管いたしません。もしこれらの違反をした場合、貴社が被った損害を賠償いたします。以上」 といった内容です。 最後に「念書を作成した日付」と「履行する場所(所属している部署と会社の住所)」「念書を書いた当事者の氏名」を書き、「捺印」します。

金銭を借りたときの念書

まず「差し入れる側」、つまり金銭を借りた相手の名前が入ります。次に、タイトルである「念書」を記載します。そして、 「支払期日が過ぎているにもかかわらず、貴殿より借用いたしました〇万円の返済が滞ってしまい、申し訳ございませんでした。 〇年〇月〇日まで(支払い期日)には、元金〇万円と未払利息をお約束いたします。以上」 と「履行内容」を書きましょう。最後に「念書を作成した日付」と「履行する場所(自分の住所)」「念書を書いた当事者の氏名」を書き、「捺印」します。支払い金額が決められた金額以上の場合は収入印紙が必要です。

こ賃貸契約の念書

まず「差し入れる側」、つまり家主または管理会社の名前と所在地、次にタイトルである「念書」を記載します。そして、 「私(念書を書いた当事者の名前)は、貴殿所有の〇〇マンション〇号室の〇年〇月分から〇年〇月分までの家賃〇万円を滞納しています。 〇〇〇〇様(家主または管理会社の名前が入る)には、〇回に分けて毎月〇日(履行する日)に滞納分の家賃をお支払いすることをお約束いたします。以上」 と「履行内容」を具体的に書きましょう。最後に「念書を作成した日付」と「履行する場所(自分の住所)」「念書を書いた当事者の氏名」を書き、「捺印」します。

念書の意味を理解して運用しよう

念書は当事者の一方がもう一方に意思表示をするための書面です。履行義務が生じるのは片方のみです。また、契約書や覚書と違い、法的な効力もなければ当事者全員の合意も必要ありません。 こうした違いをきちんと理解していないと、いざというときに念書を活かすことかできないのです。念書ならではの特徴を理解して上手に運用するようにしましょう。

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