スタートアップとは?ベンチャーとの違いやビジネスモデルについて解説

作成日:2022.04.14 更新日:2024.02.14

IT業界を中心に使われることが増えてきた「スタートアップ」という言葉を知っていますか。 転職先としても注目を集めるようになりつつあります。しかし、なじみのない職種の人からすると、どのようなタイプの企業なのかが分かりにくいものです。 この記事では、転職活動に活かせるよう、スタートアップの意味やビジネスモデルなどについて紹介します。 

スタートアップの特徴とメリット

スタートアップは、急激に成長している企業を表す言葉です。例えば、数十年で世界を大きく変えるような事業をしている企業や、数年間で数千億円の価値評価のつく企業が該当します。 つまり、急激に成長していれば、企業の規模や設立年数は関係なくスタートアップに当てはまるのです。スタートという言葉が入っていることで、設立してから間もない企業という意味で捉えられる場合がありますが間違っています。 スタートアップの多くは急激に変化したり、ハイリスクを負ったりしない事業を行っており、技術系のビジネスが多い傾向です。スタートアップには、いくつかの特徴があり、見分ける際に役立ちます。
  • イノベーションの担い手
    スタートアップ最大の特徴は、イノベーションです。 イノベーションとは、技術を革新するだけでなく、モノ・コト・仕組みなどにより、今までの常識が大きく変わるような新しい価値を創り出すことです。 短期間で急激な成長をするには、イノベーションを起こし、顧客の課題を十分にクリアする製品の提供と、適切な市場からの受け入れが必要不可欠です。 例えば、IT業界ではIoTやAI、ロボット工学、SNSなどに関する技術の新規開拓により、ライフスタイルを大きく変えてきた企業がスタートアップに当てはまります。 このように、イノベーションの担い手となっている企業がスタートアップといえます。
  • 即戦力の集まり
    スタートアップは、短期間での急激な成長を目指すため、即戦力となる人材を集めて組織を編成する必要があります。 つまり、入社後すぐに知識や経験、スキルを使って組織や事業の成功に向けて自走できる人材が求められるということです。 同時に、ボトムアップの文化を導入することで、従業員が事業に対して責任感や当事者意識をもてるようにしている企業も少なくありません。 事業の急成長という目的をクリアした後は、組織を離れて新たなスタートアップに転職したり、創業者が企業や事業を売却したりする場合もあります。
  • 社会貢献が主軸
    スタートアップをしている企業は、儲かるというよりも社会貢献を主軸に置いて事業を行っています。 例えば、女性の社会参加やサステナビリティ、フードロスなど社会で問題意識をもたれていることに対し、解決策を提案するスタイルの事業が多い傾向です。 なぜなら、賛同してくれる消費者や投資家を集めやすいうえ、アピール力もあるからです。
このようなスタートアップに転職すると、次のようなメリットがあります。

マーケティングスキルUP

どんなに素晴らしい商品やサービスを生み出しても、世間にうまく売り込まなければ意味がありません。そのため、どうすれば世の認知度を高められるかについて考えるマーケティングスキルが必要となってきます。 企画して世に出し、反響を考察して新たな企画に活かすという過程を繰り返す中で、あらゆるマーケティング法や効果測定の方法を学び、伸ばせるのはスタートアップに転職する大きなメリットといえるでしょう。 0から1にしていく過程はスタートアップで働かなければなかなか経験できないことです。

仕事のゴールが明確

スタートアップは、〇〇というサービスを1年後にバイアウトするといった具体的なゴールを設定して事業が進んでいきます。 1つの製品やサービスを作って世の中に出すという、シンプルな過程が特徴なので、あらゆる方面に手を出す必要がありません。そのため、具体的で明確なゴール設定が可能なのです。

ワークライフバランスの充実

経営者にもよりますが多くの場合、朝はゆっくり始まり、20時には全員退社しているというスタートアップ企業も少なくありません。 新しい会社なので意思決定が早く、新たな取り組みや業務効率化がどんどん導入されているため、短い労働時間でも成果を挙げることができるのです。 結果さえ出せば、ワークライフバランスの充実は難しくなく、家族と過ごす時間や自己研鑽の時間が増え、その相乗効果としてアイディアや創造性が埋まれるというメリットもあります。

スタートアップとベンチャーの違い

スタートアップはベンチャーとよく似ているものとして捉えられますが、いくつかの違いがあります。

新しいサービスを作り出す方法

スタートアップとベンチャーの大きな違いは、革新性の有無です。ベンチャーは持続的な革新がマストのため、今あるビジネスモデルを基盤に、オリジナルの変化や工夫を加えることで新しいサービスを生み出します。 一方、スタートアップは破壊的革新という考え方です。既存の常識を壊し、新しい価値観を創り出すことで、今までにはない新たなビジネスを展開していきます。 どんな企業も取り組んでいなかった革新的なアイディアから新しいサービスを生み出すため、需要も認知もない状態からのスタートとなります。

資金調達法

ベンチャーは、最初から一定の収益が見込めるため信頼性が高く、銀行から融資や助成金を受けやすいです。 しかし、一からビジネスモデルを作り出す必要があるスタートアップは、知名度が低いうえ失敗のリスクが高いので、収益が見込めず信頼性が低いです。そのため、銀行からの融資は難しいでしょう。 代わりに、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルといった将来性を重視している投資家からの資金調達がメインとなります。

成長のスピード

ベンチャーは、これまでのビジネスモデルを活用するため、初期段階からある程度の収益を生み出すことが可能です。そこから、利益をだしつつなるべくリスクの少ない経営を行い、長期的にゆっくり成長していきます。 スタートアップは、ゼロから価値観を作り出して新しいサービスを作り出すため、サービスや製品が完成するまでの収益はほぼ期待できません。つまり、設立から数年は赤字を覚悟する必要があるのです。 そのため、目標達成までの時間を短期間に設定し、急激に成長していかなくてはなりません。 場合によっては、目標達成後すぐに企業や事業を売却するというところまでをプランに入れ、短期間で取り組むことがあります。

出口戦略の方法と到達までの期間

出口戦略とは、始めた事業を他の人に譲渡することです。つまり、出資者が出資した資金を回収するということです。 ベンチャーは、長期的に現在のビジネスモデルを拡大していくスタイルなので、出口戦略に到達するまで時間がかかります。 また、上場して株式を外部に譲渡することで資金回収することが多いため、上場してからも経営陣はそのままというケースが多い傾向です。 一方、スタートアップは起業段階から出口戦略を見据えて事業拡大を行うので、短期間での利益回収を目指します。さらに、企業を売却して得た資金から出資者が資金回収を行う出口戦略を選択する企業が増えています。

スタートアップとベンチャーを選ぶときのポイント

スタートアップとベンチャーを選ぶときは、見るべきポイントを押さえておくと他社と比較しやすくなります。 まず、必ず確認しておきたいのが業績です。業績がよい企業は待遇や社内の雰囲気もよい傾向にあるため、転職先を検討するうえで重要なポイントだといえます。 なお、スタートアップやベンチャーの場合は単純な業績だけでなく、伸び率も確かめておく必要があります。業績自体はそれほどでない場合も、前年に比べて大幅に業績が伸びているのであれば、将来性のある企業だと判断できるでしょう。 次に、経営陣のバックグラウンドもチェックしておきたいポイントの一つです。優秀な人材が在籍しているか、どの分野が専門なのかといった点を確かめておきましょう。 経営陣のバックグラウンドを公開していない企業は信用性に乏しいので避けるのが賢明です。 続いて、募集要項を読む際は、自分の強みが活かせるかどうか、ビジョンに共感できるかどうかを確かめてください。相性がよい企業であれば成果を上げやすく、キャリアアップにもつながる可能性が高いです。 その他、公的な表彰制度で何らかの賞を受賞しているか、資金力は十分かといったポイントも重要なので、確認しておきましょう。

スタートアップに向いている人の特徴

スタートアップには通常の企業と異なる風土があり、人によって向き不向きに差があるのが特徴です。事前に適性を確かめ、スタートアップで活躍できるかどうかを知っておくとよいでしょう。 まず、変化を楽しめる人はスタートアップに向いています。スタートアップでは事業戦略や経営方針が頻繁に変わるので、そうした変化を受け入れて前向きに取り組める人は活躍できるはずです。 次に、主体的に行動できる人にもスタートアップがおすすめです。スタートアップは少数精鋭である場合が多く、若手でも大きな裁量を持って仕事ができるため、主体的に行動できる人は歓迎されます。 好奇心旺盛な人も、スタートアップでの就業を検討してみるとよいでしょう。未開拓の分野に挑戦することが多いスタートアップでは、知らない分野でも積極的に情報収集できる人が求められます。 そして、従来の習慣では考えられないような、新しいことに挑戦しようとするスタートアップでは、逆境に立ち向かえる精神力も重要な能力です。

スタートアップで働く方法

スタートアップで働きたい人は、就業先の見つけ方を知っておくとよいでしょう。 まず、スタートアップの主催するイベントに参加する方法が挙げられます。イベントで経営陣などと対話することができれば、一緒に働くための近道となるでしょう。 SNSなどで気になっている企業の経営者に直接コンタクトを取る方法もあります。ビジョンに共感でき、話が弾めばオフィスに訪問する機会も得られるかもしれません。 また、スタートアップのインターンシップに参加するのもよいでしょう。 次に、スタートアップへの投資をしているベンチャーキャピタルに紹介してもらう方法もあります。ベンチャーキャピタルのホームページには投資先のスタートアップが掲載されているため、気になる企業があれば連絡してみることをおすすめします。 最後に、転職サイトを活用するのも一つの方法です。転職サイトではスタートアップの社風や経営方針、業界の動向などを紹介しているので、転職先選びの参考にしてみてください。

スタートアップに成功したビジネスモデル事例

ビジネスモデルは、「Who(顧客は誰?)」「What(何を提供する?)」「How(どうやって価値を提供する?)」「Why(なぜ利益が生まれる?)」という4つの要素で構成します。 これを踏まえたうえで、いくつかのビジネスモデルの事例をみていきましょう。
  • ◯事例1. Microsoft

    マイクロソフトは、同業種であるAmazonやFacebook、Appleなどに押され、日本では実績が落ちていました。 しかし、サービスや製品自体はそのままで、ビジネスモデルを変革したことで2019年には時価総額1兆ドルを達成できたのです。では、どのような変革をしたのでしょうか。 実は、これまでパッケージ売りをしてきたOfficeシリーズを、月額課金のサブスクリプションに変更したのです。このサブスクリプション型のビジネスモデルは、Amazonやネットフリックス、Googleなども採用しています。

  • ◯事例2. ミクシィ

    ミクシィはIT系求人サイトからスタートした企業です。人材紹介で収益を確保し、オークションサイト運営やプレスリリース配信代行などに事業を拡大していきました。 そして、2004年に運営を開始したSNSサイトが人気を博し、2005年にはユーザー数が100万人にまで増えました。そして、2006年に上場を果たします。 しかし、海外の競合他社が2008年に日本に進出してくると、SNS事業が停滞し、2013年にはついて赤字になってしまったのです。そこで、ビジネスモデルを転換し、携帯電話向けゲームに進出します。 その結果、スマホゲームアプリが大ヒットとなり、急激に業績を回復していったのです。SNS事業から携帯電話向けゲームにビジネスモデルを変えたことで成功した事例といえます。

  • ◯事例3. DeNA

    DeNAは、ネットオークションサイトの運営会社としてスタートした企業です。2004年にはケータイオークションサイトを、2005年にはキャリア向けのオークションを開始し、上場を果たします。 しかし、ネットオークション市場は、Yahoo!の一人勝ち状態が続いていました。そこで、2006年になると携帯電話向けゲームサイトの運営を開始します。 このゲームサイトの人気に火が付き、2008年には会員数1000万人を突破するという快挙を達成したのです。 このように、ネットオークションから携帯電話向けのゲームにビジネスモデルを転換したことで成功した事例といえます。

これまでの成功事例やビジネスモデルの要素をもとに、ビジネスモデルを考えることで、事業に対する理解が深まるというメリットがあります。 考える過程で自社の分析を重ねるため、自社への理解が進んで事業内容に詳しくなるからです。さらに、ビジネス上の課題が見つかりやすくなるというメリットもあります。 価値を収益につなげるにはどうすればよいかを設計することで、今の収益構造はどこに課題があるのかを把握したうえで対処できるようになるからです。 継続性と模倣困難性があり、提供価値の高いサービスや製品を生み出せるよう、各企業の実態に応じたビジネスモデルが設定されています。

スタートアップならではの経験はキャリアアップにつながる

スタートアップでは、一般企業では体験できない業務や働き方を経験できます。また、これまで培ってきた知識や技能を入社後すぐに活かせるというメリットもあります。 自分の力を試したり、新しいことにチャレンジしたりしたい人にとっては、魅力的な転職先といえるのではないでしょうか。スタートアップのビジネスモデルは企業によってさまざまです。 自分のやり方や考えと比較し、ぴったりだと思える会社を選ぶとよいでしょう。ぜひこの記事を、転職活動の参考にしてみてください。

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