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リカレント教育とは?注目される背景から課題やメリット

リカレント教育が日本でも次第に注目を集めるようになってきています。確かに、日本の現状を考えると、それも納得だといえるかもしれません。しかし、一方で、「リカレント教育」という言葉を聞いてもピンとこない人も多いのではないでしょうか。

そこで、本記事ではリカレント教育がどのようなものなのかを解説しつつ、それがもたらすメリットや今後の課題などについて紹介していきます。

リカレント教育とは

リカレント(recurrent)は反復や循環を意味する言葉です。したがって、リカレント教育を直訳すると、「反復教育」や「循環教育」などといった表現になります。

具体的にいうと、これは教育を一通り終えて社会に出た人たちが必要だと感じたタイミングで改めて学び直しをすることを指します。つまり、リカレント教育とは、もともと少年期や青年期といった人生の初期段階に集中していた教育を生涯にわたって行っていこうという考え方なのです。

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ちなみに、リカレント教育の概念が誕生したのは1969年のことです。スウェーデンの経済学者であるゴスタ・レーンがヨーロッパ文部大臣会議で「急速に変化する現代社会に適応するには生涯教育が欠かせない」と提唱したのがその始まりだといわれています。

このときレーンは同時に、生涯教育を実行するための条件として、労働と教育を交互に行える環境作りの重要性についても言及しています。要するに、リカレント教育の理想の形は労働と教育が常に循環している状態なのです。それを実現するには、単に教育制度や教育機関の整備だけでは十分ではなく、労働環境や社会制度を見直したり、社会的な認識を改めたりする必要があります。

この考え方は1970年代に経済協力開発機構(OECD)における教育政策会議で取り上げられたことにより、国際的に広く知られるようになっていきます。そして、それ以降、リカレント教育は欧米を中心に研究が進められてきました。現在では、世界各国でリカレント教育に関する制度や施設などの整備が進められています。

たとえば、日本においては夜間制社会人大学院や放送大学などがリカレント教育の施設に相当します。その他にも、ボランティア活動や企業内教育などを通して知識や技術などを蓄えていくことも広い意味ではリカレント教育だといえなくもありません。

注目される背景

リカレント教育が日本で大きな注目を集めるようになったのにはそれなりの理由があります。

理由1:

  • 急激な市場の変化により、スキルのアップデートや新しい知識の習得が必要不可欠となった。
現代社会ではAIやIoTに代表されるように、技術革新が急速に進んでいます。それに伴って市場も日々変化しており、以前と同じように仕事をしていたのでは通用しなかったり、少し前までとは全く異なるスキルが求められたりといったことが当たり前のように起きています。

そうした状況の中で仕事をこなしていくにはスキルのアップデートや新しい知識の習得が必要不可欠です。そして、それを実現する手段としてリカレント教育が注目されるようになってきているのです。

理由2:

  • 労働者不足を補うため、今まで雇用の対象にはなりにくかった人たちも雇う必要性が生じてきた。
雇用の多様化といった要素も見逃せません。少子高齢化に伴い、日本の労働者不足は深刻化しており、それを補うために今まで雇用の対象にはなりにくかった人たちも雇う必要性が生じてきたのです。一例としては、子育て中の親や介護が必要な親を抱えた子ども、あるいは定年退職後の高齢者などといった人たちが挙げられます。

とはいえ、そういった人たちが即戦力として通用するかというと、なかなか厳しいものがあります。一方で、リカレント教育の制度を浸透させれば、スキルアップを目指しながらキャリアプランを組み直していくことで、どんな年代のどんな立場の人でも働き手として活躍の場を得ることが可能になるはずです。

理由3:

  • 平均寿命が延び、働く期間が長くなった。
平均寿命の延びもリカレント教育が注目される要因の一つとなっています。一昔前までは人生80年といわれてきましたが、今や寿命を100歳と考えて人生設計を立てなければならない時代がやってこようとしています。

実際、厚生労働省は人生100年時代を見据え、いかに新しい経済社会システムを創り上げるかについての「人生100年時代構想会議」を行っているほどです。そして、人生が長くなるという事実は必然的に働く期間も長くなることを意味しています。そのなかで、時代の変化に対応しながら働くためにはやはりリカレント教育が欠かせないというわけです。

国内でのリカレント教育

文部科学省は2020年度予算の概算要求にてリカレント教育についての総合施策を打ち出しています。一言でいえば、リカレント教育を普及・浸透させるための新規事業を立ち上げていこうというもので、以下の3分野について言及しています。

  • 社会人向け実践プログラムの開発
  • 支援人材の育成
  • 学習基盤の整備
その中でも、特に予算規模が大きいのが、社会人向け実践プログラムの開発における「出口一体型地方創生人材養成システム構築事業」です。これは地方大学などの教育機関と自治体や産業界が連携体制を組み、地域のニーズを踏まえた実践的な人材育成を行うためのプログラムを開発しようというものです。

その事業内容は「大学等を活用した出口一体型人材養成プログラム」と「住民参画による地域運営をコーディネートする人材養成プログラム」の2つにわかれています。

■大学等を活用した出口一体型人材養成プログラム・・・社会人を含めた幅広い年齢層を対象に就職や起業などを支援することにより、地方の労働力不足の解消につなげるという狙いがあります。

■住民参画による地域運営をコーディネートする人材養成プログラム・・・地域づくりに関心のある住民を対象に大学での学修や地域運営組織・地域学校協働活動・公民館などで実習を行って地域運営組織のコーディネーターとして活躍できる人材を養成し、それを通じて住民主体の地域運営を推進していこうというものです。
他にも、文部科学省の掲げるリカレント教育の施策としては「教育免許状を持つ就職氷河期世代の転職支援講習」「女性のキャリアアップ・キャリアチェンジに向けた一体支援」「リカレント教育の運営をリードする人材の育成」などがあります。さらに、それらに加えて、リカレント教育を望む社会人の受け入れを推進している大学を援助し、同時に、職業実践的な教育を行う「専門職大学」などの設置も実施していくとしています。

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ちなみに、日本の場合は長い間、就職後の終身雇用が当たり前になっていたために、社会人になったのちにもう一度教育機関に戻って学習するという本来の意味でのリカレント教育は馴染みにくい状況にありました。そのため、企業内教育もリカレント教育に含めるなど、広義に解釈される傾向にあったのです。

それに対して、欧米では本来のリカレント教育の取り組みが進んでいます。なぜなら、欧米の労働市場はもともと流動性が高く、キャリアアップのために社会人になってから教育機関で学習を積むことに対して抵抗が少なかったからです。

また、多くの国では政府も、キャリアアップのための教育が必要となった場合は長期間にわたって正規の学生として就学することを推奨しています。特に、スウェーデン、フランス、イタリア、ベルギーなどではそのための有給教育制度が充実していますし、アメリカの場合は誰でも気軽に通える2年制大学のコミュニティ・カレッジがリカレント教育の場を提供しています。その結果、スキルや知識を向上させるために、フルタイムの就学及び就労を交互に繰り返すことが、比較的容易にできるようになっているのです。

リカレント教育によるメリット

メリット1:年収のアップ

文部科学省の行ったアンケート調査によると、リカレント教育を受けた人たちの年収は学習開始から1年後の時点では大きな変化はなかったものの、2年で平均9.9万円、3年で15.7万円アップするという結果が出ています。これを見ると、学習の効果はすぐには出にくいものの、長期的には大きな成果となって現れることがわかります。

しかも、年収がアップし続けていけば、就業に対するモチベーションの向上にもつながる可能性が高いという点も見逃せません。

メリット2:キャリアアップ

いくら真面目に働いていてもそれだけではキャリアアップをし続けていくことはできません。なぜなら、キャリアアップに必要なスキルや知識の中には職場で働いていただけでは得られないものが数多くあるからです。

そこで、リカレント教育を行えば、キャリアアップに必要なスキルや知識が習得できるというわけです。特に、自分の進みたい分野を勉強し続ければ、さらなるステップアップを果たし、理想のキャリアプランの実現に近づいていくことができるでしょう。

メリット3:人脈形成

一見、両者は何の関係もないように見えるかもしれません。しかし、忘れてはならないのが、リカレント教育の現場にはその分野のスキルや知識を深めようとしている人材が集まっているという事実です。つまり、そうした人たちと学習の場で交流を深めていけば、仕事上の人脈を広げることにもつながっていくというわけです。

リカレント教育を受ける上での課題

リカレント教育を受ける上で、以下のような課題があります。

  • 本業に支障をきたす
  • 時間の確保が難しい
  • 仕事とリカレント教育を両立できるようなシステム作りが遅れている
  • 本業に支障をきたす
    日本では終身雇用制度が長い間定着していたために、会社一筋で働くことを求める風潮が強くなっています。そのため、多くの企業は本業に支障をきたすという理由により、社員がリカレント教育を受けることに対して否定的な見解を示しています。

    したがって、個人的に大学などの教育機関で学び直しをしようと思っても、企業の理解を得られずに断念せざるをえないといったことになりがちです。欧米に比べ、リカレント教育が遅れているのはこのことが大きく関係しているといわれています。
  • 時間の確保が難しい
    たとえば、大学での学び直しや職業訓練などを行うには最低でも月48時間は必要だといわれていますが、長時間労働が社会問題となっている日本では、働きながらこれだけの時間を確保するのは容易ではありません。
  • 仕事とリカレント教育を両立できるようなシステム作りが遅れている
    欧米などと比べると、仕事とリカレント教育を両立できるようなシステム作りも遅れています。それに、もし時間的な余裕があったとしても、カリキュラムが体系化されていないために、本当に必要としている教育を受けられるとは限りません。欧米ではさまざまなビジネススクールが質量ともに充実していますが、日本ではまだまだその域には達していないのです。
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以上のように、「職場の理解」「時間の確保」「カリキュラムの体系化」の3つの問題がリカレント教育を受けるうえでの大きな障害となっています。これらの課題を政府や企業などの取り組みにより、今後どの程度解消されていくのかが注目されるところです。

では

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