新卒カードとは?無駄にしたときの効果的な対処法も解説
この記事では、新卒カードの具体的な意味合いや最強といわれる理由、無駄にしてしまったときの対処法や就活に成功するポイントなどについて解説します。
就活でいわれる新卒カードってどのようなもの?
新卒一括採用方式とは、大学などに在籍中の学生を対象に一定のスケジュールを組んで選考を行い、卒業と同時に大量の新卒生を採用する方式のことです。
同方式は、終身雇用や年功序列といった日本特有の人事制度との相性が良いこともあり、50年以上の長きにわたって行われています。新卒採用を重視し、中途採用はほとんど行っていない企業も珍しくありません。
また、学生を選考の対象としているため、採用にあたって新卒生が実務経験やスキルを求められることはなく、ポテンシャルや人柄などが評価の対象です。そのため、日本で就職するなら、新卒は断然有利となります。
新卒カードとは、いわばこの特異な状態を揶揄(やゆ)しているともいえるでしょう。就職市場で使われるスラングの一種であり、実際に何らかのカードが発行されるわけではありません。
新卒カードが使えるのは、大学を卒業するまでの期間のみです。卒業後に就職しなかった場合は「既卒」と呼ばれ、新卒としては扱われません。
また、入社して数年で転職を検討する場合は「第二新卒」と呼ばれます。第二新卒の明確な定義はないものの、新卒で入社して3年未満で転職する場合を指すことが一般的です。
新卒カードが最強といわれる理由とは
・採用にあたって実務経験もスキルも求められない
・新卒枠は入社後に丁寧な研修があり、育成に時間をかけてもらえることが多い
・中途採用ではハードルが高い大手企業や有名企業などに入社できるチャンスがある
情報が得やすく対策が立てやすい
中途採用と大きく異なる点の一つとして、就職に関する情報の得やすさがあります。
新卒採用は、周囲の学生と同時に就活をスタートさせて同じように選考が進んでいく状況です。
志望業界や志望企業による違いはあるものの、基本的な流れは同じなため、「就職のために何をすべきかまったくわからない」といったことがありません。
また、大学の就職課や友人に相談したり新卒向けの就活サイトや就職エージェントを活用したりでき、新卒対象の合同企業説明会などもよく開催されています。
そのため、中途採用に比べ就職情報の収集がしやすい傾向です。
採用にあたって実務経験もスキルも求められない
欧米で正社員として採用されるためには、卒業後にインターンや派遣で実務経験を積み、実績を上げる必要があります。一方、日本の場合、新卒には特に実績やスキルを求められません。
これは、「学生なのだから経験やスキルがなくても当然」と企業が考えているからです。代わりに、「どれだけのポテンシャルがあるか」で採用の可否判断をしています。
面接でよく聞かれる「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)」「入社後のビジョン」「志望動機」「自己PR」は、学生のポテンシャルや人柄を判断するための質問です。
熱意をもってうまく回答できれば、採用につながりやすくなります。
新卒生は入社後に丁寧な研修があり育成に時間をかけてもらえる
ことが多い
日本の大企業や有名企業では、入社後に一定の研修期間を設け、基本的なビジネスマナーやビジネススキルを教えることが一般的です。
そのため、研修期間で社会人としての基本的なスキルを身に付けることができます。即戦力が求められている中途採用では、手厚い研修などは期待できません。
中途採用ではハードルが高い大手企業や有名企業などに入社の
チャンスがある
大企業や有名企業は新卒を大量に採用しているため、丁寧に対策すれば入社のチャンスがあります。
中途採用となると、そもそもの募集人数が少なくなるうえ、採用されるためには高いスキルや経験、実績が必要です。そのため、新卒だと採用の難易度が低いこともあります。
新卒カードを無駄にすることによるデメリットと対処法
既卒は、いわば「新卒カードを無駄にしてしまった」状態です。新卒カードを無駄にすると、以下のようなデメリットがあります。
・新卒に比べ求人数が大幅に減る
・中途採用枠で応募すると実務経験がないため不利になる
・就職の情報が得にくい
新卒で就職しなかった合理的な理由が説明できないと就職で
不利になりやすい
既卒の面接では、「どうして新卒で就職しなかったのか」と聞かれることが多い傾向です。
「留学していて時期が合わなかった」「内定を得た企業が入社直前に倒産した」など、納得のいく理由や本人に非のない理由があれば、あまり問題はないでしょう。
しかし、実際に多いのは「就職活動はしたものの、どこからも内定を得られなかった」というものです。
これでは、面接官に「能力や人間性に問題があるのではないか」「仕事への意欲が低いのでは」などと思われる可能性が高く、高い評価を得ることは難しいでしょう。
対処法としては、就活の失敗から学び、それを活かそうとする前向きな姿勢を見せることが大切です。例えば、以下のような回答をすれば面接官に好印象を与えられる可能性が高まるでしょう。
「大手食品メーカーに絞りすぎたことが原因で、内定を得られませんでした。そこで、自分がやりたいこと考え直し、業界や企業研究も時間をかけてじっくり行いました。
視野が広がったことで○○の仕事に魅力を感じるようになり、御社の求人に募いたしました」
このように、ネガティブな理由で既卒になったとしても、前向きな姿勢を見せるよう心がけましょう。
新卒に比べ求人数が減る
多くの企業が新卒一括採用で必要な人員を賄っており、既卒の募集は多くありません。応募できる求人が大きく減少するため、新卒時よりも希望に合った仕事に出会う可能性が低くなります。
ただし、企業のなかには、卒業してから3年以内の既卒に限り新卒採用の募集に応募できるところもあるため、そのような企業を探して新卒採用を狙うことも選択肢の一つでしょう。
また、既卒で公務員を目指すことも可能です。ただし、公務員の応募は30代までなどの年齢制限が設けられていることが多いため、事前に確認する必要があります。
中途採用枠で応募すると実務経験がないため不利になる
新卒採用枠に応募できるケースもあるものの、既卒は中途採用枠に応募することが一般的です。
とはいえ、社会人経験がないまま、スキルや実績のあるほかの応募者と競うことになります。そのため、難易度はかなり高めです。
対処法としては、志望企業に対する熱意や仕事に対する熱意を伝えるようにしましょう。応募職種に関連するアルバイト経験があるなら、それをアピールすることもできます。
就職の情報が得にくい
既卒になると、周囲はすでに就職している状態です。新卒時のような就活セミナーや企業説明会の開催も多くないため、就活の情報を得にくく効果的な対策が立てづらくなるでしょう。
この場合は、転職サイトや転職エージェントを活用したり、志望企業の発信する情報に対して常にアンテナを張っておいたりするなどの対処が必要です。
既卒が就職活動を成功させるポイント
ここでは、既卒が就活を成功するために知っておきたいポイントについて解説します。
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- 自己分析をやり直す
- まずは、徹底した自己分析を行い、自分が仕事に望むことや自身の強み・弱みなどを明確にしておきましょう。自己分析は、自分を客観的に知るために行うもので、就職活動で成功するために欠かせません。
自身について深く知ることで、自分に合った業種や職種を選べるようになり、面接ではスムーズに自己アピールができるようになります。
新卒時に就職活動をせず既卒になった人はもちろん、自己分析をして就活したにもかかわらず内定を得られなかった人も、もう一度しっかりと行いましょう。
自己分析をしたにもかかわらず、就活に失敗した場合は、自己分析が不十分だった可能性が高いです。
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- 業界や企業研究をやり直す
- 業界研究や企業研究をやり直すことも大切です。よく知らない業種や職種では、応募しようという意欲も上がりません。
再度やり直すことで、今まで自分では合わないと思いこんでいた仕事が、実はかなりマッチしていることに気づける可能性があります。
視野を広げて選択肢を増やすためにも、さまざまな業界について研究するようにしましょう。
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- 既卒が採用されやすい時期を狙う
- 企業の採用ニーズが高まり、採用確率が上がる時期を狙って活動するのも一つの方法です。
一般的に、求人数が増えるのは年度の切り替えによって異動や退職者が出て後任を補充する必要が出る3~4月ごろと9~10月ごろとされています。
企業によっては、新規事業を始めるために人員が必要になるタイミングということもあるでしょう。9~10月に求人が増えるのは、夏の賞与をもらって辞める社員が出ることも要因の一つです。
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- 就職支援サービスを活用する
- 就職支援サービスを活用するのもおすすめです。特に、既卒や第二新卒に特化した就職・転職エージェントが良いでしょう。
就職・転職エージェントに登録すると専任のキャリアアドバイザーがつき、希望条件にマッチした求人の紹介が受けられます。
それだけでなく、応募書類の添削や志望企業に合わせた面接対策なども実施してもらえるため、効率的に就職活動を進めることが可能です。
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