「御中」と「様」の正しい使い分けを知っていますか?失礼にならない宛名の書き方
ここでは、知らないとうっかり失礼になってしまうビジネスレターの「御中」や「様」などの「敬称」について学んでいきましょう。
「御中」の正しい意味は?どのような場面でどう使われる?
- 「御中」の意味は?
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「御中(おんちゅう)」は、手紙やメールなどで、送りたい相手の宛名の後に添える「敬称(けいしょう)」の一つです。
それに対して、会社や団体、会社や団体の一部署(○○部、○○部○○課)、官公庁、学校、グループやチームなど、不特定多数の組織に対して手紙を送る場合も、会社や団体名の後に何も付けないのでは失礼に当たります。その際に付ける便利な敬称が「御中」です。
◆誤用に注意!「御中」の正しい使い方は?
たとえば、ある会社にセールスレターや問い合わせなど、何かしらの手紙を送る場合を考えてみましょう。相手の会社についてよく知らない、どのような部署があるのかもわからない、けれど会社の人に見てほしい、というような場合、会社に宛てて郵便物を出すときに使うのが「御中」です。「株式会社○○○○御中」「△△△△株式会社御中」などのように使います。
求人募集の応募などで担当部署が人事部採用課だった場合は、「株式会社○○○○人事部採用課御中」と書きます。また、経理部へ請求書を送る場合などは、「△△△△株式会社経理部御中」と書きます。
ここで気をつけたいのは、「株式会社○○○○御中人事部採用課御中」と、敬称を2カ所に使わないこと。御中は最後の部署宛てに添えるだけです。たとえば、会社の中の一個人に宛てて送る場合も「株式会社○○○○御中□□□□様」のように、御中と様を2カ所に使う必要はありません。この場合は、「株式会社○○○○□□□□様」となります。2カ所に敬称を使うのは誤りですので気をつけましょう。
◆返信用封筒やはがきに既に「行」がある場合
結婚式の招待状や同窓会の案内など、返信はがきに送り先の住所や氏名が既にあり、本来敬称を付ける位置に「○○○○行」となっているのを見たことがありませんか。他にも、何らかの書類を取り寄せてから返送するような場合も、「株式会社○○○○人事部行」「△△△△株式会社人事部□□□□行」と印刷された返送用封筒が同封されていることがあります。
宛先が書かれた返送用封筒やはがきは、相手に住所や名前などを書いてもらう手間を省き気軽に返信できるように、また、住所や宛名などの書き誤りを防ぎ確実に届くために同封します。自分に「様」や「御中」の敬称を付けることはしませんから、その代わりとして「行」を使うのです。そのため、返信するときはふさわしい敬称に書き換えて送るのがマナー。他にも「宛」を使ったり何も付いていなかったりすることもありますが、その際も失礼にならないように正しく敬称に書き換えたり付け加えたりします。
「行」や「宛」の字の上に斜めに二重線を引き、縦書きなら左に、横書きなら下に、消した文字と書き始めの位置を揃えて書くのが一般的です。「行」の字の上にわざわざ「御」の形になるように書き加える人がいますが、マナー違反とはならないまでも誤った方法です。
また、結婚披露宴の出欠の返信はがきに「行」を「寿」で消すことがあるようですが、ビジネス文書では使いませんので気をつけましょう。
「様」にも使用上のルールがある!間違えると失礼にあたるため要注意
◆特定の個人に送る場合は「様」を使う
会社宛に手紙を送るにしても相手の名前がわかっているときは、間違いなく相手に届けるために必ず氏名を記載します。名刺をもらった相手、送り先に個人名が示されている場合、担当者名がわかっている場合などでは、「○○○○株式会社△△部△△課□□□□様」とします。
役職名がわかるなら「○○○○株式会社△△部長□□□□様」と氏名の前に肩書である役職名を書くのが正式な書き方です。ただし、名前の後に「□□□□部長様」としてはいけません。フルネームがわからず苗字しかわからない場合でも、苗字の後に「様」を付けましょう。
- 役職はどこに書く?名前との順番は?
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宛名の書き方の決まりとして、会社名+部署名+名前の場合は、これらを一行に収めようとすると、名前の文字が小さくなってしまい失礼に当たります。必ず会社名とは行を変えて、名前の文字が大きくなるように書きましょう。
ただし、一部例外もあります。自治体などでは「様」を使うことを原則としながらも、役職の立場にある人への文書などに「○○町会長様」のように肩書である役職名の後に様を使う場合があります。同様に、会社と役職名はわかっているが、個人名がわからないというような場合も「株式会社○○○○営業本部長様」などのように使うことがあり、この場合はマナー違反や間違いには当たりません。
- 偉い人には「殿」を付けるの?
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「殿」は、通常社外宛てのビジネスレターで使われることはありません。
「殿」は、通常社外宛てのビジネスレターで使われることはありません。なぜなら、目上から目下の人向けにつける敬称が「殿」だからです。一般的には組織の長から部下へ向けた辞令や通達などで「殿」が使われます。それ以外の場面ではあまり使いませんし、取引先やお客様へ使うと大変失礼になるため気をつけましょう。
手紙ではなくメールの場合のルールは?
ただし、ある程度の関係性が築けてきた場合、手紙ではなくメール、Skype、ChatWorkなどのコミュニケーションツールを利用してやり取りする場合も多いものです。そのようなときは、会社名、部署名など全てを一から入力する必要はありません。特に短文のくだけたやり取りでは違和感があるため、相手の個人名に「様」を付けるだけでも良いでしょう。相手との関係性や内容により臨機応変に使い分けましょう。
- 「各位」はどのように使うもの?
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社内の一斉メールなどではよく「各位」が使われます。「社員各位」や「従業員各位」、「役員各位」や「営業部各位」のように使われることもありますが、「各位」だけの場合もあるでしょう。このように、広く複数名を対象とした案内や通達などで「各位」が使われます。
「各位」は他の「様」や「御中」などと同じ敬称の1つです。そのため、「各位様」や「御中各位」などのように敬称を重複して使うことはしません。ただし、これも特例で「お客様各位」として「様」と「各位」が重複して使われる場合もあります。厳密には敬称を二重に使っているため誤った使い方にはなりますが、マナー違反とは受け取られず違和感を持つ人もいないでしょう。
宛名に敬称をつける際の注意点
「行」を完璧に消す必要はない
「行」の痕跡を消すために修正ペンや修正テープを使い、その上から「御中」や「様」を書く人もいますが、それも不要です。訂正印を押す必要もありません。これは言わばビジネスメールの定型や様式美のようなもので基本的なマナーですから、これを機会に覚えておきましょう。
「御中」は担当者がわかっている場合は使わない
直接会って名刺交換した、会社のホームページに担当者名が記載されている、電話で名前を伺った、というような場合は、きちんと正しく名前を書き「様」を付けるべきです。会社宛てに「御中」で出してしまうと、小規模の会社ならまだしも、そうでない場合、他の誰かに開封され、下手をすると本人に届かない危険性があります。確実に見てほしい手紙の場合、これでは待てど暮らせど返事は返ってきません。
担当者名がわかっているときは、必ず個人名を記載して「様」を使いましょう。送る相手以外の人に開封してほしくないときは赤文字で「親展」と加えると良いでしょう。
ビジネス文書では敬称の付け方には特に気を配ろう!
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