無料で学べる職業訓練校!習得できるスキルやメリットは?
この記事では、職業訓練校とはそもそも何か、受講することで習得できるスキルやメリットなどについて紹介していきます。
職業訓練校とはなにか?
職業訓練校とは
ハロートレーニングとも呼ばれるもので、厚生労働省が支援している訓練校のことです。目的に応じたスキルを短期間で身につけることが可能で、転職に必要な資格取得を目指したい人に適しています。
職業訓練校の窓口はハローワークですが、実際に学ぶ場所はハローワークではありません。受講が決まったら、職業能力開発校や民間が運営する専門学校やカルチャースクール、職業能力開発促進センターなどに通うのが一般的です。
学べるコースにはさまざまなものがあり、期間は3〜6ヶ月間が通常ですが中には1年以上にも及ぶ長期のコースも存在します。受講している間は講師に仕事についての疑問や転職相談などもすることができ、働くうえで抱えがちな悩みの解決に役立つでしょう。
職業訓練校で学ぶメリットとデメリット
◆職業訓練校を利用するメリット
- ● 受講料は原則として無料
- ● 転職に必要なスキルを習得
- ● 職業訓練受講給付金や各種手当を受けながら受講することも可能
自分で民間の専門学校やスクールに通えばすべて自己負担になりますが、受講料を出す予算がなくても転職に必要なスキルを習得できます。資格の受験も可能なため、訓練の修了に合わせて資格取得も視野に入れることができます。さらに、一定の条件を満たしていれば、職業訓練受講給付金や各種手当を受けながら受講することも可能です。
◆職業訓練校を利用するデメリット
- ● まとまった期間が必要になる
- ● 受講中は収入を得られない可能性がある
ただし、生活費を捻出する必要がある人は、あらかじめ職業訓練受講給付金を希望しておく方法もあります。職業訓練受講給付金は受給できる条件と上限が決められているため生活費をすべてまかなうことは難しいですが、アルバイトなどをすることなく受講を続けることは可能です。
職業訓練校で学べるコースは?
事務系
事務系のコースは、OA事務と医療事務の2つに分けることができます。
OA事務は簿記検定、表計算検定、ワープロ検定、計算実務検定、そして社会人常識マナー検定などです。簿記検定や表計算検定、計算実務検定などは経理業務を行ううえで外すことはできません。転職にも有利といえますし、自分で起業する際も受講しておくと役立つコースです。
医療事務には、医療事務認定実務者試験と表計算検定、ワープロ検定などがあります。医療事務認定実務者試験に合格しておけば、医療機関への転職を目指すことも可能です。
IT系
IT系には「組込みソフトウェア科」と「スマート情報システム科」、「ICTエンジニア科」などがあります。 ITパスポートや基本情報技術者としてのスキルに、WEBデザインやCAD操作、プログラミング、LPICレベル1、LinuCレベル1、CCNAなども習得可能です。WEBデザインは技能検定も受けられるため、転職の際には有利にはたらくかもしれません。IT系は受講者も増えており、人気の高いコースです。
介護系
介護系には介護職員初任者研修、介護事務管理⼠、介護福祉士実務者研修などのコースがあります。介護職員初任者研修とは身体介護ができる資格のことで、介護関係の仕事に就くための初心者向けといった位置づけがされています。もちろん、研修を受けた後に試験に合格することが前提ですが、介護ヘルパーなどの仕事を目指しているときは受けておきたいコースです。
介護事務管理⼠の主な業務は介護報酬請求業務で、介護に関する報酬を計算し、請求書の作成を行います。他には、介護に関わるスタッフのシフト作成なども介護事務管理⼠の業務の一つで、ケアマネージャーのサポート的な立場です。介護福祉士実務者研修を修了しておくと、訪問介護計画作成や指定訪問介護の利用申込に係る調整などの業務を行うことができます。
介護福祉士実務者研修はサービス提供責任者になれる資格で、3年の実務経験を積めば将来的に介護福祉士の資格をとることも可能です。
資格系
資格系では、電気設備技術科と生産設備メンテナンス科、工場管理技術科の3つがあります。
電気設備技術科で受講できるのは第二種電気工事士、第一種電気工事士、消防設備士などです。生産設備メンテナンス科では、電気職種の技能検定と第二種電気工事士などが受講できます。そして、工場管理技術科で受講できるのは第二種電気工事士、消防設備士、品質管理検定、中小企業診断士などです。これらの資格は、いずれも転職を考える際に有利といえるでしょう。
その他
実際にどのようなコースを受講できるかは、管轄のハローワークによって異なります。地域によっては、農業実習を受講できる場合もあります。農業実習では野菜作りや酪農などを実践しながら学ぶことができ、農業に興味を持つ人に適したコースです。
他にはビジネスマナーなどのコースが受講できることがあります。これから企業への転職を図りたい人に向いているコースといえるでしょう。WordやExcelといったビジネスで欠かすことができないスキルや、ビジネスマナーなどを習得できます。
職業訓練校の受講要件
- ● 働く意欲があること
- ● 1年以内に公共職業訓練に該当するものを一切受講していないこと
- ● ハローワーク所長から受講の指示もしくは受講の推薦を受けられる人
仕事を探すつもりがなく、単なる習いごととして考えている人は受講対象にはなりません。現状では働いていないものの仕事があれば働きたいという意欲のある人が対象であり、ハローワークに求職の申し込みをしていることが前提です。つまり、就職を見据えて新たなスキルを身につけたい人であれば、職業訓練校の受講要件を満たしていることになります。
もう一つの要件は、1年以内に公共職業訓練に該当するものを一切受講していないことです。
この要件は離職者訓練のみに該当します。
そして、もう一つはハローワーク所長から受講の指示もしくは受講の推薦を受けられる人で、こちらも離職者訓練のみとなっています。
離職者訓練については後で詳しく説明しますが、職業訓練校は基本的に雇用保険受給者だけが対象というわけではありません。雇用保険を受給できない人も対象です。また、雇用保険を受給中の場合は、基本手当を受給できる日数が所定給付日数の3分の2以上残っている必要があります。
職業訓練には種類がある
公共職業訓練・・・雇用保険受給者が対象
求職者支援訓練・・・雇用保険を受給していない人が対象
公共職業訓練はさらに3種類に分けることができます。ここでは、その3種類についてそれぞれどのような違いがあるのか見ていきましょう。
◆離職者訓練
離職者訓練とは一般的な公共職業訓練のことで、失業保険を受給している求職者が対象です。受講に必要なテキスト代や資格取得のための受験料などは自己負担ですが、基本的に受講料は無料となっています。さらに、一定の要件を満たすことができれば失業保険の受給期間を延長することも可能です。交通費の支援も受けられる場合があります。◆在職者訓練
在職者訓練とはキャリアアップ学習とも呼ばれるもので、主な対象者は中小企業の在職者です。働いている人が対象となっているため、訓練は平日の夜や土日に行われます。受講自体は有料ですが、1回につき数百〜数千円と手ごろです。テキスト代など、受講に必要なものも基本的に自己負担となっています。訓練期間が短いのが特徴で、せいぜい2〜5日程度といったところでしょう。在職者訓練は、国が主体になっている「ものづくりの知識や技術」と、都道府県が主体になっている「地域に根ざした訓練」の2種類に分かれます。
◆学卒者訓練
学卒者訓練とは、中学または高校卒業者を対象とした訓練です。訓練期間は普通課程で1〜2年、専門課程と応用課程は2年とされています。どの課程になるかは受講内容の専門性で分けられており、いずれも入学金として数十万円と年間の授業料が必要です。申し込みから入校までの流れ
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ハローワークで求職の申し込みや職業相談
気になる職業訓練校を見つけたらそのまま申し込んでもかまいませんが、説明会や見学に参加することも可能です。ただし、説明会や見学については職業訓練校によって異なるため、詳しくは管轄のハローワークに確認してみましょう。
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入校の申し込み
自分の希望に沿っている、ぜひ受講してみたいと判断できたら、入校の申し込みをします。ここで注意しておきたいのは、申し込みをすれば必ず入校できるわけではないということです。
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試験
入校の申し込みをした後は試験が行われます。さらに、試験の後は職業訓練校での面接が実施されます。
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入校の手続き
試験に合格できたら入校の手続きへと進みます。その後、必要なテキストなどを購入し、職業訓練校での受講が開始されます。