「天職」という言葉は、聞いたことがあっても明確に理解している人は少ないのではないでしょうか。
特に、「適職」との違いを説明できる人はあまりいません。本記事では、天職と適職の違いから、天職の条件、天職と出会うための方法などについて解説します。
自分のやりたいことがわからない人や、現在の仕事に疑問・不満を抱いている人は、自分の天職を見つけるための行動に出てみましょう。
天職の意味や定義を整理しよう
「天職」という言葉には、大きく2つの意味があります。
1つは、「神聖な職務」という意味です。これは、宗教的な意味合いが強く、特に教会などで働く神に仕える人たちのことを指します。
ここで深掘りする天職の意味とは異なりますが、社会人であれば、この言葉を使用する際には宗教的な意味があることも認識しておかなければいけません。
もう1つは、「自分自身に合った仕事」という意味です。多くの人は、こちらの意味をイメージするのではないでしょうか。
自分自身に合った仕事といっても、意味合いは非常に広く、少し抽象的であいまいに感じてしまうはずです。
別の表現を選べば、「自分が好きだと思える仕事」「一生懸命に打ち込める仕事」「大きなやりがいを感じられる仕事」などとなります。
心から楽しめる仕事であれば、それは天職といえますし、天職の定義にもなるでしょう。
天職と適職の違いは?
天職と適職の違いをご存じでしょうか。明確な線引きは難しいものの、適職はあくまでも「自分の能力に見合った職業」という意味合いしか持ちません。
つまり、単純に適した仕事であったり得意な仕事であったりする場合には、それは適職と表現されます。天職も自分の能力に見合っているケースはあるでしょう。
しかし、適職は天職のように仕事が好きかどうかや、やりがいを感じるかどうかは重要ではない点に大きな違いがあります。また、天職は必ずしも結果や成果が出るとも限りません。
例えば、特に好きではなくても成果を出すことができ高い給与を受け取っているのであれば、それはその人にとって適職といえます。
一方で、成果を出すことができず高い給与も受け取れないけれども、仕事が好きで打ち込むことができ、やりがいを感じられるのであれば、それはその人にとっての天職となります。
仕事が好きで打ち込んでいるうちに成果が出せるようになったケースであっても、それは立派な天職です。
能力に焦点を当て、それに見合っている職業が「適職」、心や生きがいなどに焦点を当て、それらにポジティブな感覚や感情が見出せる職業が「天職」と理解しておくとよいのではないでしょうか。
天職と判断するための条件とは
天職の概要は、なんとなくつかめたのではないでしょうか。では、仕事を天職と判断するための具体的な条件を見ていきましょう。
必ずしも、すべてに当てはまっている必要はありませんが、本当に天職と呼べるような仕事であれば、多くの条件に当てはまっているはずです。
仕事が苦にならない
もし、仕事をするうえで特に苦しみを感じないのであれば、それは天職といえるでしょう。
もちろん、働いていれば大変な局面はたくさん訪れるはずです。しかし、その壁やハードルを越えることすらやりがいに感じられるのであれば、その仕事は天職といえます。
就職した先で同期や先輩などよりもよい成績を出すことができるものの、「しんどい」など苦しみを感じるのであれば、それは天職ではなく適職のほうが近いのではないでしょうか。
自然と目標や意義を見出せる
先輩や上司から言われたことだけをやるわけではなく、自らやるべきことを見つけ目標設定などもできるのであれば、それは天職といえるでしょう。
同時に、働いている意義も自ら見出している人は、紛れもなく天職に就いている状態にあります。能力があれば目標設定まではできたとしても、働く意義まで見出すことは難しいのではないでしょうか。
働く意義を自ら自然と見出せることは、天職の重要な条件の一つです。
報酬や対価が最優先事項ではない
仕事は、業務に対しての報酬や対価が伴います。何よりも、その金額を重視する人も少なくはないでしょう。一方で、天職に就いている人は、報酬や対価を最優先事項と位置付けていません。
ただし「仕事に報酬や対価を求めてはいけない」という意味ではないため、注意しましょう。仕事をしたのであれば、それに見合う給与を受け取るのは当然です。
しかし、たとえ裕福な生活ができなかったり、日本人の平均年収よりも低い給与であったりしても、「この仕事が好きだからやっている」と胸を張って言えるのであれば、それはその人にとって天職となります。
とはいえ、これはあくまでも天職の一条件で、好きな仕事に就くことと大金を稼ぐことは両立が可能なのです。
生涯続けたいと感じる
「一生涯続けたい」と感じるかどうかも重要です。もし、続けたいと感じるのであれば、それは天職といえるでしょう。
逆に、「早く転職したい」「早期リタイアを目指している」などの感情を持っているのであれば、現在の仕事は天職とはいえません。
もちろん、続けたいと感じる仕事が、人生の途中で変わることも考えられます。社会人の経験が長くなればなるほど、興味のある業界や職業も変化して当然です。
そのようなケースでは、天職が変わったと判断することもできるのではないでしょうか。
周囲の目や声が気にならない
職業によっては、「その仕事だと、あまり稼げないのでは?」「その仕事、いつまで続けるの?」「その仕事、将来性がないのでは?」などと家族や友人などに言われることもあるでしょう。
そのような周囲の目や声がまったく気にならず打ち込めるのであれば、その仕事は天職といえます。心から好きな職業であり、高額な報酬や対価なども強く求めていないはずです。
自分自身の人生にとって不可欠な仕事となるため、仕事自体を楽しめている証拠でもあります。
仕事に対して疑問や不安を感じない
「なぜ、自分はこの仕事をしているのだろうか」といった疑問や、「この仕事を続けていてもよいのだろうか」といった不安を感じないことも、天職と判断する条件となるでしょう。
疑問や不安を感じている場合は、心からその仕事を楽しめておらず、天職の定義から外れてしまいます。
さまざまな状況下で、たとえ疑問や不安を感じたとしても、「好きだから続けよう」「それよりも楽しいから問題ない」と思えるようであれば、それは天職だといえるのではないでしょうか。
天職と出会う方法とは
現在の仕事が天職と思えない人が天職と出会うには、どのような行動に出ればよいのでしょうか。天職と出会う方法を考えてみましょう。
自己分析を徹底的に行う
天職とは、「自分が心から好きだと思える仕事」のことです。自分の好きなものがわからなければ、天職と出会うことも難しいでしょう。
天職と出会うためには、自己分析を徹底的に行う必要があります。例えば、以下のような内容を徹底的に洗い出してみましょう。
- ●好きなこと
- ●得意なこと
- ●熱中できること
- ●やっていて気持ちや気分が高まること
また、「お金も地位も、すべて手に入れて完全に自由の身になったらどうするか」を考え、自分の本心を探る方法もおすすめです。
損得勘定などとは距離をおき、本当にやりたいことや生きがいと感じられるものが見えてくるのではないでしょうか。
より多くの業種や職種を知る
自分の頭の中にある知識は、意外と多くはありません。世の中には、まだ知らない業界や職種があるはずです。
そのため、どのような仕事があるのかを徹底的に調べてみましょう。「これも仕事にできるのか」と知ったとき、自分のやりたいことや好きなことと合致する可能性があります。
天職と出会うためには、より世界を知ることも重要です。
将来や人生の目標・ビジョンを明確化する
現在に集中して生きることも重要ですが、天職と出会うためには将来や人生の目標・ビジョンを明確にすることも求められます。本当にやりたいことは、人生を少し俯瞰しなければ見つけられないでしょう。
自身のキャリアプランや人生設計を思い描き、それには何が必要なのかを改めて考えてみてください。目標やビジョンが鮮明になればなるほど、「これがやりたい」と思えることもみえてくるはずです。
多くの人と出会い人脈を築く
知識を増やすのと同時に、人脈を築くことも重要です。知識は、他者から得られるものも多く、人脈を広げることで出会える仕事の数や量も確実に増えていくでしょう。
その人脈を利用すれば、新しい仕事に就くチャンスや天職と出会う機会も広がります。特に、すでに天職に就いている人や、そのような人たちと多く接してきた人たちとの出会いを増やすことがおすすめです。
仕事との向き合い方、人生の過ごし方、やりがいの見出し方など、さまざまなことが学べるのではないでしょうか。
思い切って環境を変える
現在の環境を変えなければ、多くの人が天職と出会うことは難しいでしょう。なぜなら、視野が狭いままでは、出会いも限定されさまざまな経験や体験ができないからです。
天職と出会うためには、多くの経験を積むことも重要となります。環境を変えるなど、思い切った行動も欠かせません。「天職を見つけるため」などポジティブな目的の転職であれば、多くの企業にとってマイナス評価とはならないでしょう。
天職と出会いたいのであれば、転職を中心に副業や起業なども視野に入れながら環境を積極的に変えたり、新しい環境に飛び込んだりすることをおすすめします。
天職と出会うために必要なプロの声
天職と出会うための方法をいくつか紹介しましたが、自分の頭だけで考えていても限界があるでしょう。経験豊富な人や、多くの人の適性を判断してきた人など第三者に意見を求めることも重要です。
例えば、転職エージェントのアドバイザーなどが、それにあたります。転職エージェントのアドバイザーは、まさに人と仕事とを結びつけるプロフェッショナルです。
正しい自己分析の方法から、さまざまな業界・職種の提案、あるいは求人の紹介に関することまで相談にのってくれます。キャリアや人生に関するアドバイスもしてくれるため、天職を探している際に意見やアドバイスを求めるには最適な人たちといえるでしょう。
もし、現在の仕事に疑問や不安を抱き、心から楽しめる天職ともいえる仕事に出会いたいと考えているのであれば、転職エージェントへの相談をおすすめします。
個々人の要望や状況に合わせて現在の環境を変えるためのサポートをしてくれるため、転職に関する心配や不安を抱いている人でも安心して任せられるでしょう。
何よりも客観的なアドバイスや意見がもらえるため、これまでわからなかった自分の特徴や性質、適性なども的確に把握できるはずです。