転職を決意した際は、退職の意思を会社に伝える必要があります。しかし、話をどう切り出すかや、どのような言葉で伝えるべきかに悩む人は少なくありません。
とくに、タイミングや伝え方によっては、その後の職場環境が悪化したり、円満退職が困難になったりするケースがあります。辞めるのは本人の自由とは言え、円満な退職をしたいものです。そのためには、適切な手順と配慮が欠かせません。
この記事では、退職の切り出し方について、具体的な例文や注意点を交えながら、詳しく解説します。最後まで読めば、切り出すタイミングや上司への伝え方など、円満に辞めるためのコツがわかるので、これから退職を考えている人はぜひ参考にしてください。
退職の切り出し方
退職の意思を会社に伝える際は、切り出し方がとても重要です。円満退職を実現するためには、適切な手順で進める必要があります。
ここでは、退職を切り出す際の基本的な流れと注意点について詳しく見ていきましょう。ポイントは以下の3つです。
直属の上司に伝える
退職の意思を最初に伝えるべき相手は、直属の上司です。規模の小さい会社や自分が役職者だと、直属の上司が社長の場合もありますが、そのときは直接社長に伝えても問題ありません。
また、上司の承諾を得る前に誰かに話すのはマナー違反となります。
同僚や先輩、他部署の人に伝えるのは、退職日が正式に決定し上司の許可が降りてからにしましょう。
他のメンバーへの影響も考慮して、上司が発表するタイミングを考えるからです。とくに役職者の退職は、周囲が混乱する可能性があるため気を遣うケースが少なくありません。
二人で話せるようにアポイントを取る
退職を切り出すときは、いきなり上司を呼び止めて伝えるのは失礼です。事前に上司の予定を確認して、必ずアポイントを取りましょう。
この時点では辞めることには触れず「お話ししたいことがあるので、ご都合の良いときに少しお時間をいただけませんか」という言い方にとどめておきます。
また、場所については会議室など、二人きりで落ち着いて話ができる環境を選びましょう。仕事に関わる話なので、冷静な判断ができる状況で伝える必要があります。したがって、食事やお酒の席は避けるべきです。
最低でも一か月前
法律上は、退職を申し入れてから2週間後には退職できます。しかし、後任への引き継ぎなどを考慮し、最低でも退職日の1ヶ月前までに伝えるのが一般的なマナーです。
自分が辞めた後は誰かがその業務を代わりにやらなければなりません。そのためには、少なくとも1ヶ月は必要です。
とくに次の仕事が決まっている場合は、転職先の入社日に間に合うよう、より早めの意思表示が必要です。
また、就業規則で何日前までに申し出が必要かが決まっている会社もあります。
仕事の引き継ぎ期間はもちろん、有給休暇の消化もあるでしょうから上司と退職日を相談しましょう。
退職の切り出し方:具体的な言い方
退職を切り出す際は、意思を明確にする必要があります。また、多くの場合、理由を聞かれるので、なぜ辞める決断をしたのかを答えられるようにしておきましょう。
この2つを明確に説明することが、円満な退職への第一歩です。次に、具体的な言い方についてそれぞれ解説します。
結論から「退職の意思」を明確に伝える
退職の意思表示は曖昧な表現を避け、話の冒頭に「辞める決意がある」と明確に伝えることが重要です。
「退職を考えています」「退職を検討中です」といった伝え方では、まだ迷っていると捉えられ、引き止められる可能性があります。
したがって「退職の意思をお伝えしたく、本日お時間をいただきました」と、意思の固さを伝えましょう。
また、突然言い出したことに対して「突然で申し訳ございません」とお詫びの言葉も添えてください。
理由の説明 退職に至った理由を説明
単に辞めることだけを伝えるのではなく、退職に至った理由も説明すると意思の固さが伝わります。また、説明する際は、具体的かつ簡潔に述べることが重要です。
たとえば「キャリアアップしたくなった」や「家庭の事情が発生した」など、経緯を明確にしましょう。この段階では細かい説明は不要です。上司からの質問があったら詳細を補足する形で構いません。
場合によっては詳しく理由を聞かれるかもしれませんが、退職日まで上司との良好な関係を続けるためにも、感情的にならず丁寧な言葉遣いを心がけてください。
退職日は相談する
退職日の決定は会社側との調整が不可欠です。たとえ次の職場の入社日が決まっている場合でも「〇月〇日で退職します」という一方的な伝え方は避けましょう。
「〇月〇日での退職を希望していますが、いかがでしょうか」といった相談ベースで伝えるのがポイントです。よほどのことがなければ、希望日に退職できるでしょう。
「もう少し遅らせられないか」と言われた際も、次の仕事が決まっていると伝えれば理解してもらえます。一方的な伝え方をすると、自分の都合しか考えていないと思われ、逆に拒まれるケースも少なくありません。
そのため、日程は相談に応じられる姿勢を見せる必要があります。
会社への不満や文句は言わない
退職理由が会社への不満であっても、正直に伝えることは控えましょう。会社への不満が理由だと「改善するから考え直して欲しい」と引き止められる可能性があります。また、今後もビジネス上の付き合いをする可能性がゼロではありません。
不満や文句を言って辞めると、その後の関係が円滑に進みにくくなります。そのため「英語力を活かした海外事業に携わりたい」や「法人向けの営業に挑戦したい」など、自己成長や新しいチャレンジを理由として挙げるとよいでしょう。
ただし、家庭の事情など、やむを得ない理由がある場合は、その旨を誠実に伝えて問題ありません。
退職を切り出すときの実例
実際に、どのように退職を切り出せばよいのかイメージできない人もいるでしょう。そのような人のために、パターン別の実例を紹介します。
一般的には口頭で伝えるケースがほとんどですが、書面やメールで伝えるケースもあるでしょう。それぞれのパターンを紹介するので、自分が伝える際の参考にしてみてください。
退職の意思を口頭で伝える際は、いきなり伝えるのは避け「〇〇部長、お時間をいただけますでしょうか。今後のことについてお話したいことがございます」と、事前にアポイントを取りましょう。
実際に話す段階で「突然のご相談で大変恐縮ですが、退職させていただきたく、本日お時間をいただきました」という形で切り出すのが望ましいです。その後、退職理由や希望する退職時期について具体的に説明します。
書面で伝える場合は「退職願」として意思表明する形です。書き方は「退職願」という表題の下に「私儀、一身上の都合により、〇年〇月〇日をもって退職致したく、ここにお願い申し上げます」と記載します。
日付、氏名、印鑑を忘れずに押印し、宛先には会社名と代表者名の明記が必要です。
ただし、いきなり退職願を渡すのはおすすめできません。
退職の意思を伝え終わった後、もしくは後日に渡さなければ、一方的だと捉えられる可能性があります。また、退職願は、会社によって指定の様式に記入しなければならない場合もあるので、事前に確認が必要です。
メールでの退職の意思表示は、以下のような形式で書きましょう。基本的には口頭で伝える場合と同じで、上司にアポイントを取ります。
件名:今後のキャリアに関するご相談
本文:
〇〇部長
お疲れ様です。
△△部の□□です。
今後のキャリアについてご相談がございます。
お忙しいところ大変恐縮ですが、30分程度お時間をいただくことは可能でしょうか。
以下の時間帯でしたら、私の予定を調整可能です。
・〇月〇日(月) 15:00~17:00
・〇月〇日(火) 13:00~16:00
ご検討のほど、よろしくお願いいたします。
また、ラインやチャットでも伝え方は同じです。ただし、面談のアポとりに使う分には構いませんが、メールのみで退職の意思を伝えることは避け、必ず対面での話し合う機会を設けましょう。
退職の切り出し方の注意点
円満な退職のためには職場への配慮も重要です。切り出す際に以下の点に注意を払うことで、スムーズに退職できます。
これらの項目に配慮して退職日を決めるとよいでしょう。注意点は以下の3つです。
引継ぎ期間の設定
退職する際は、後任者や同僚に負担をかけないために、業務の引継ぎが重要です。まず、現在担当している業務の棚卸しを行い、引継ぎに必要な期間を設定しましょう。
とくに長期で行っている案件や専門性の高い業務を担当している場合は、より細かい引継ぎが必要となります。
引継書の作成や後任者への説明時間の確保、取引先への挨拶回りなど、具体的なスケジュールを上司と相談しながら決定していきましょう。
また、想定外の業務が発生する可能性があるため、退職日の数日前までに完了するようにスケジュールを組むことをおすすめします。
有休消化についても相談
有給休暇の取得は労働者の権利ですが、突然の長期休暇は業務に支障をきたす恐れがあります。そのため、退職日が決まったら、有給休暇の消化方法についても上司に相談しましょう。
数回に分けて消化する、あるいは引継ぎ完了後に取得するなど、状況に応じて配慮する必要があります。
また、どうしても消化しきれない有給休暇については、買い取りができるかなど会社の規定を確認しておきましょう。
繁忙期・人員の配慮
退職のタイミングは、可能な限り繁忙期を避けることが望ましいです。年度末や決算期、新入社員の研修時期など、会社の繁忙期は上司が忙しくて時間が取れなかったり、引き継ぎが円滑に進まなかったりします。
また、場合によっては採用が必要になるケースや、業務のために退職日を変更しなければならない場合もあるでしょう。このような状況にならないためにも、転職活動を行う段階から人員の状況に配慮して、繁忙期などを避けた退職時期を検討すべきです。
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退職を切り出す時は配慮が必要
退職を切り出す際は、最低でも退職希望日の最低1ヶ月前までに上司にアポイントをとり、伝えるのがマナーです。退職理由は会社への不満は避け、前向きな理由で決断に至ったことを簡潔に伝える必要があります。
また、退職日の設定や有給休暇の消化については、一方的な希望ばかりを主張せず、会社の繁忙期や人員状況に配慮しながら相談が必要です。
さらに、後任者への業務引継ぎや取引先への挨拶などの計画も欠かせません。これらの点に留意しながら準備を進めることで、円満な退職が実現できるでしょう。