20代で転職を考えている方や第二新卒・既卒の方は、「会社から7日以上連続勤務を指示された場合、違法ではないのか?」と不安になることがあります。
特に面接や入社後に労働条件を確認する際には、休日や勤務日数のルールを理解しておくことが重要です。
そこで今回は、労働基準法に基づく連続勤務日数の上限、違法な勤務指示を受けた場合の正しい対処法、さらに例外的なケースについて詳しく解説します。採用担当者の視点や具体例も交えながら、安心して働くための知識を身につけましょう。
結論から言うと、7連勤は違法ではありません。なぜなら、労働基準法では最大12日間まで連続勤務が可能とされているからです。
根拠は労働基準法第35条第1項で、「使用者(会社)は、労働者に対して毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」と規定されています。ただし「毎週」は7日間と同義ではなく、企業が起算日を設定できるため、休日の配置次第で12連勤が可能になります。
例えば、1週目の休日を日曜日、次週の休日を土曜日に設定すると、月~土+日~金で12連勤が成立します。ただし、週に1日も休日がない場合は違法です。また、有給休暇は休日に含まれません。
さらに、労働時間の上限は1日8時間・週40時間(労働基準法第32条)であり、これを超えると違法となります。
連続勤務が12日を超えても違法にならない例外は3つあります。
「変形休日制を採用している場合」は、最大24日間まで連続勤務が可能となっています。これは、変形休日制の場合は、4週28日のうち4日の休日があればよいためです。
そのため、24日間が連続勤務日数の上限とされています。そのうえ、一定期間を平均して週の法定労働時間を超えない限り、特定の週において40時間以上、または特定の日において8時間以上連続勤務させても違法にはなりません。
このことは、労働基準法の第35条第2項で、前項の規定は4週間を通じて4日以上の休日を与える使用者については適用しないとして規定されています。
ただし、変形休日制を実施できる会社には条件があります。それは、労働者が10人以上の場合なら、就業規則に4週間の起算日を記載することです。
このことは、労働基準法施行規則第12条に規定されています。なお、労働者が10人以下の場合は、就業規則への記載義務は不要です。しかし、変形休日制を採用する旨を従業員に周知させる義務が生じます。
「36協定を締結している範囲内の場合」は、週に1日の法定休日に労働させたり、1日8時間・週40時間の法定労働時間を超えて労働させたりしても違法になりません。これは、「36協定の免罰的効力」といわれます。
ちなみに、36協定とは、労働者と会社の間における時間外・休日労働に関する協定のことです。とはいえ、時間的な限度は制限されています。法定労働時間を超えて働かせることの可能な時間は、1カ月につき45時間、1年なら360時間です。
「管理職が管理監督者である場合」も、連続勤務日数12日を超えても労働基準法の違反になりません。管理監督者とは、労働条件やそのほかの労務管理について、経営者と一体的な立場にある者のことです。
管理監督者に該当すると、労働基準法の休日や労働時間の規定が適用されません。しかし、管理監督者のための条件は非常に厳しく、管理職イコール管理監督者ではないのです。
管理監督者になるには、「経営者との一体性があること」「労働時間の裁量権を持っていること」「対価の正当性があること」にあてはまっている必要があります。
「経営者との一体性があること」とは、会社の経営上の決定に参画していることを指しています。つまり、管理職であっても、経営方針への影響力が低い場合には管理監督者とは認められないのです。
具体的には、採用・解雇・人事考課の人事権限・部下の勤務割の決定権限など、労務管理上の指揮監督権を持っている必要があります。
たとえば、単に採用面接を担当したり、人事上の意見を述べたりするだけの場合は、管理監督者とは認められないのです。
「労働時間の裁量権を持っていること」とは、労働時間に関してどれだけの裁量権を持っているかを指しています。
たとえば、本人にタイムカードへの打刻や勤怠への入力の必要がある場合や、遅刻や欠勤に対して賃金の控除が行われている場合、それに、始業時刻や終業時刻を守らないと反省文や始末書を書く必要がある場合は、管理監督者とは認められません。
さらに、事前にスケジュールを会社に伝えなければいけない立場の場合や、業務終了後に日報などで業務内容を報告しなければならない立場の場合も同様です。上司の許可がなければ、持ち帰って業務を行うことができないような場合もあてはまります。
「対価の正当性」とは、基本給やそのほかの手当において、その地位にふさわしい待遇を受けているかどうかということです。同時に、賞与などの一時金の支給率やその算定基礎において、一般労働者に比べて優遇されていることも必要になります。
たとえば、働いている時間に対して最低賃金に近い手当しか支払われていない場合や、管理職になったら残業代が支給されなくなって年収が大幅に下がったような場合は、管理監督者とは認められません。
連続勤務日数の上限に違反した場合は、労働基準法により罰則を受けることになります。具体的には、労働基準法の第119号第1項により、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処されるのです。
連続勤務に違反していると思われる場合、労働基準監督署は、従業員やその家族から勤務状況について聞き取りを行います。従業員側から労働基準監督署に相談するケースもあるでしょう。その後、労働基準監督署は事実関係を調査し、事実である場合は会社に対して改善などの勧告を行うのです。
しかし、勧告をしても改善しないなど悪質な場合、使用者は書類送検されて懲役や罰金が課されることになります。なお、使用者とは、事業主のために行為をするすべての人を表します。
つまり、会社の代表者だけではなく、仕事の指示をする管理職も含めて罰則を受けることになります。このことは、労働基準法第10条の、事業主または事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項に規定されているのです。
なお、労働基準法は、労働者の基本的な権利を守るための法律である労働三法の1つです。その中でも、労働基準法は、1947年に憲法第27条第2項の条文に基づいて制定され、労働者が会社で働く際の最低条件について定めています。
労働三法のほかの2つは、「労働組合法」と「労働関係調整法」です。労働組合法は、労働組合と会社との関係について規定している法律であり、労働関係調整法は、労働者と会社との労使紛争を解決することを目的としている法律です。
会社からの指示が労働基準法に違反している場合は、その指示に従う必要はありません。というのも、指示に従った場合、長時間、または休日なしの労働により、労働者の心身が害される場合があるためです。
このことは、行政通達(1226号通達)の中に、連続勤務の結果の適応障害やうつ病が発症するリスクとして示されています。この通達では、2週間(12日)以上にわたっての連続勤務の場合は、心理的負荷の程度が「中」、1カ月以上にわたっての連続勤務の場合は、心理的負荷の程度が「強」とされているのです。
それに、労働基準法に違反している指示に従った場合、心身が害される以外にも、連続勤務に耐えられずに退職に追い込まれる場合もあり得ます。
会社からの指示が労働基準法に違反していると感じた場合の対処法を紹介します。まずは、会社の就業規則を確認しましょう。
就業規則の労働に関する事項から、休日の日数やその設定方法を確認してください。その後、やはり違法だと感じたら、労働相談窓口に相談しましょう。
労働相談窓口は、各都道府県の労働基準監督署や労働局の労働相談コーナーにあります。そのときに、会社の就業規則、勤怠が確認できる出勤簿やタイムカードのコピー、そして給与明細などを用意しておくのがよいでしょう。
指示が違法だと判断された場合は、会社に対して労働基準監督署が改善を要求します。
会社が改善を求められているにもかかわらず、違法な出勤指示によってケガを負ったり体調不良になったりする場合があります。そのときは、弁護士に相談しましょう。
これは、個人が直接会社に交渉しても、何かと理由をつけて対応しない場合が多いことが理由です。それに、連続勤務とケガや体調不良の因果関係を証明することは、個人では困難なこともあります。弁護士に相談すれば、法的な観点から正しく判断して交渉してくれるのです。
それに、連続勤務によって休日割増賃金が発生している場合は、請求時から過去2年にさかのぼって支払いを求めることが可能です。
これも、弁護士に任せれば安心でしょう。もし会社が正当な損害賠償請求に応じない場合は、民事事件としての裁判も可能です。
連続勤務日数の上限を超えて、違法で働かされているのではないかと思っていては良い気持ちはしませんし、仕事にも身が入らないでしょう。気持ちよく働くためにも、指示された連続勤務日数が違法でないかどうかを理解するのは効果があるといえます。
また、今回は、会社から違法な連続勤務の指示を受けた場合の対処法も紹介しました。自分の身を守るためにも、違法な指示を受けた場合には正しく対処することが望まれます。連続勤務日数を理解して、気持ち良く安心して働けるようにしましょう。
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