高度情報化社会において、ITに長けたエンジニアは重宝されています。Webやデータベース、ネットワークなど、ジャンルごとに業務の内容はさまざまです。
いずれも専門的な知識を要しますが、他の職種から転職することは不可能ではありません。そこで今回は、未経験者がエンジニアを目指すにあたり、知っておいたほうが良いコツなどを紹介していきます。
エンジニアは多種多様!どれを目指すのか考えよう
一口にエンジニアといっても、その種類は多岐にわたります。キャリアチェンジを希望するなら、どれを目指すのか早い段階で明確にすることが大事です。
以下に代表的なものを挙げるので、それぞれの特徴をチェックしておきましょう。
Webエンジニア
ホームページに組み込むシステムやオンラインで使用するアプリをはじめとして、WebエンジニアはWeb関連の開発を幅広く行います。
プログラミングだけでなく、仕様を決める設計段階から完成後の保守まで一貫して手がけるケースが多いです。
また、担当する領域によって、Webエンジニアをフロントエンジニアとバッグエンドエンジニアの2つに分ける企業も少なくありません。この場合、ユーザーが接するインタフェースを前者が担当し、ユーザーから見えないモジュールを後者が担当します。
データベースエンジニア
顧客の属性や過去の売上など、企業は活動していくうえで多様なデータを扱います。その管理に必要なデータベースを開発する技術者がデータベースエンジニアです。
データの量や種類は変化していくため、実情に合わせて運用や拡張といった作業も実施します。IoTの発展も後押しとなり、膨大な情報を収集する企業が増えてきました。
それらを活かすには、単純に保存するだけでなく、スムーズな検索や抽出を行える仕組みも欠かせません。具体的な活用方法を想定し、使い勝手の良いデータベースを提供します。
ネットワークエンジニア
ネットワークエンジニアは、文字どおりネットワークの構築や運用に特化した技術者です。モデムやルーターの設定といった基本的な業務も多い一方で、企業グループのイントラネット整備のような大規模な業務も担当します。
どのネットワークを手がける場合でも、安心して快適に使用できる状態に仕上げることが重要です。そのためには、高速な通信環境を実現する必要があり、クラッキングなどを防げる高度なセキュリティも要求されます。
最新の通信規格をいち早く把握し、サイバー攻撃への対策を的確に実施しなければなりません。
システムエンジニア
クライアントのニーズを理解し、それを叶えられるシステムの開発や改善に携わります。開発で主に担当するのは、ヒアリングや設計といった上流工程です。
プログラミングに関してはプログラマーに任せることも多く、その場合はテストや導入のサポートといった補助的な役割も担います。
一方、メンテナンスや現場からの連絡により、システムの課題が発覚したら改善に取り組むことも必要です。現状を分析したうえで、修正に向けた要件定義を行い、アップデート用のプログラムを用意します。
どの知識が必要?エンジニアごとに異なる開発言語
エンジニアとして働くにあたり、開発に使用するプログラミング言語は不可欠な要素です。とはいえ、業務の内容ごとに必要な種類は異なるため、やみくもに学習するのは良くありません。
ここでは有名な4つのプログラミング言語を挙げ、どのようなエンジニアに活用されているのか解説していきます。
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- Java
- Javaで作ったプログラムは、あらゆるプラットフォームで実行が可能です。プラットフォーム上に共通のJava仮想マシンを設けるので、それぞれの特性に縛られることがありません。
パソコンやスマートフォンなど、OSが異なる環境でも同一のプロセスで作動するため、企業とユーザーの双方に大きなメリットがあります。
企業は開発のリソースを減らせますし、ユーザーは複数の端末を同じ感覚で操作できるのです。それゆえ、クラウド用のアプリを手掛けるWebエンジニアなどに重宝されています。
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- C言語
- C言語は長い歴史を持つプログラミング言語であり、C++やC#といった拡張版も生み出されました。コンパイルという変換作業を要しますが、その分だけ速い実行スピードを誇ります。
情報端末にインストールして使うソフトだけでなく、ハードを制御する組み込み系のソフトに使用されることも多いです。企業の基幹システムにもよく使われるため、システムエンジニアにとっては基本的なプログラミング言語といえます。
高速なインターネットの処理にも適しており、Webエンジニアやネットワークエンジニアが用いることも珍しくありません。
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- Visual Basic
- Visual Basicとは、Basicというプログラミング言語をマイクロソフト社が独自にアレンジしたものです。x豊富なライブラリが用意されており、Windows上でさまざまなツールを手軽に開発できます。
社内向けのツールを提供する際、効率よく実施するために利用するエンジニアも少なくありません。たとえば、データベースエンジニアもそうであり、データベースを実用化する作業などに有効です。
データ格納用のホストはSQLという専用言語で構築しますが、各パソコンから接続するクラアイントツールはVisual Basicでも作れます。
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- Python
- Pythonは人工知能を開発しやすいプログラミング言語です。機械学習やそのフィードバックを実装する仕組みがとても優れています。
産業用ロボットをはじめとして、家電製品やWebサイトなど、多くのジャンルで人工知能は欠かせないものになりました。
人工知能の普及に伴い、各業界で他のプログラミング言語を使っていたエンジニアも、Pythonを習得するケースが多く見受けられます。科学技術計算にも使えるため、学術的な分野でもニーズが高いです。
計画的に取り組もう!未経験者に有効な自主学習とは
上記のようなプログラミング言語の知識が必要だと分かると、自分はエンジニアになれないと思う人もいるでしょう。
しかし、未経験者を歓迎してくれる企業もあるので諦める必要はありません。エンジニアになりたいなら、積極的に応募してみる価値は十分にあります。
とはいえ、経験不足をカバーするために努力することも重要です。自主学習として取り組める内容やコツを以下に紹介します。
プログラムの作成
自分でプログラムを作ってみることが大事です。そのための準備として、どのプログラミング言語が良いのか考えましょう。習得したいプログラミング言語が決まっていても、難易度が高いなら最初は簡単なものから着手しなければなりません。
変数の定義をはじめとして、繰り返しや分岐といった基本的な概念は、どれを選択しても共通しています。それによってプログラムの一般常識を学んでから、ステップアップしていくことがセオリーです。
構造体やポインタなど、初心者が理解しにくい事柄も、段階的に学ぶと挫折のリスクが小さくなります。なお、Pythonは文法がシンプルで扱いやすく、Javaもハードを気にしない直感的なコーディングが可能です。
ノウハウの学習
プログラミングに必要な知識は参考書や学習サイトで勉強できます。しかし、実際に働くことを想定するなら、他に必要なノウハウも身につけておくのが望ましいです。
目標とするエンジニアに関連する資格を取得すれば、業務に役立つ知識を合格までの過程で補充できます。たとえば、システムエンジニアとして活躍したいなら、情報処理全般のノウハウを持っているほうが有利です。
基本情報技術者試験の勉強を通して基礎を学べますし、応用情報技術者試験に合格すれば、企業への十分なアピールになります。ネットワークスペシャリストやデータベーススペシャリストといった難関の試験も意識し、少しずつでも学習していく意欲を持ちましょう。
実践的なトレーニング
エンジニアの業務で時間がかかりやすいのはテストとデバッグです。プロトタイプの開発までスムーズに進んでも、この2つの工程で足止めされることがよくあります。
ユーザーがどのような使い方をするのか想定し、あらゆるケースでエラーが出ないように仕上げなければなりません。エラーを発見したら、デバッグによって不具合を直すことも重要です。
それらを踏まえて、自分で作ったプログラムをテストしながら、ブラッシュアップする練習をしておきましょう。この自主学習では、Visual Basic用のVisual Studioのように、デバッグの機能が充実している開発環境を使うのが得策です。個人向けに無料で提供されているバージョンもあります。
採用されても油断大敵!入社の際に注意を要するポイント
転職活動の結果、エンジニアとして採用されても安心してはいけません。
未経験であることがデメリットになりにくいように、入社にあたって多くの面で注意する必要があります。たとえば、コミュニケーションを頻繁にとることもポイントの一つです。
案件の規模にもよりますが、基本的にエンジニアはチームで仕事を進めていきます。コツコツと1人で取り組むイメージを持たれがちですが、実際には1つのプログラムでも機能やモジュールごとに分担するのが一般的です。
自主学習ではその練習が不可能なので、連携する能力を高めるのは入社後になってしまいます。よって、他のエンジニアと積極的に会話し、チームになじむための努力をすることが重要です。
また、先を見据えて仕事に取り組むスタンスもポイントになります。ITの分野は常に進歩しており、従来の技術が通用しなくなることも多いです。
たとえば、昔は主流だったプログラミング言語でも、もうあまり出番がないものも存在します。自主学習の内容はエンジニアの基盤として役立ちますが、これだけに頼っていると第一線で活躍するのは難しくなります。
入社はゴールではなく、エンジニア人生のスタート地点にすぎません。その後の成長は自分のやる気次第なので、どのように貢献したいのかよく考えましょう。
ITの最先端をチェックし、自分の知識やスキルを更新していく意欲が求められます。将来の明確なビジョンを入社と同時に持つことが大切です。
適切な準備をしてエンジニアになる目標を実現!
エンジニアに効率よく転職する条件は、事前に情報をしっかり収集しておくことです。
どのような種類があるのかチェックし、基礎的なプログラミング言語の知識なども身につける必要があります。それらは自主学習でも十分に対応できるので心配しなくても大丈夫です。
新しいキャリアをイメージして、転職の準備をポジティブに進めることが欠かせません。入社する際の注意点も把握して、採用後は名実ともに未経験エンジニアから早く脱却できるように努めましょう。