「IQ」という言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。一般的には、頭の良さを示す指標として使われることの多い言葉です。
そのため、「ビジネスで成功するにはIQが高くなければならない」そう考えている人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、そもそもIQとは何か、IQが高い人はどのような職業が向いているのか、高めるにはどうすればよいか、といったことなどについて詳しく解説します。
そもそもIQとは?EQと何が違うの?
IQ(Intelligence Quotient)とは、知能指数を意味する言葉です。IQは、一般的に知能テストによって測定され、数値で表されます。
知能テストの結果は、その人が同年齢の人々と比べてどの程度の知能水準を持っているかを示す指標として用いられます。
ただし、IQは人間の知能を全面的に測定するものではありませんし、人間の知能の多様性や複雑さを完全にカバーするものでもありません。
とはいうものの、IQは認知機能や問題解決能力、論理的思考力などを測定する指標であり、これらの能力はビジネスにおいても重要です。
IQが高い人は、複雑な問題を迅速かつ正確に解決できるため、マネージャーやアナリストなどの役職に向いているといえます。
また、新しいアイデアや戦略を開発する際にも論理的思考力が必要とされるため、IQが高い人はそのような業務にも適しているでしょう。
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IQの歴史
IQの歴史は、フランスの心理学者アルフレッド・ビネーによって始まりました。彼は、1904年に知的遅れを持つ子どもたちの教育を支援するために、認知機能を測定するテストを開発しました。
彼のテストは、後にビネー・スケールとして知られるようになり、知能検査の基礎となりました。
その後、ビネー・スケールを改良したアメリカの心理学者ルイス・ターマンが、1916年にスタンフォード・ビネー知能検査(Stanford-Binet Intelligence Scale)を開発しました。
このテストはアメリカで広く使用され、現代のIQテストの基礎となりました。その後も数多くの心理学者たちが独自のIQテストを開発してきました。
例えば、ドイツの心理学者デイビッド・ヴェクスラーが1939年に16歳以上の成人向けに開発したウェクスラー・ベルビュー知能検査や、その改訂版として1955年に開発されたウェクスラー成人知能検査は、現在でも広く使用されています。
このように、現在ではIQテストには多数のバージョンが存在し、多様な用途に使用されています。
一方、IQテストに対しては批判も多くあり、知能を測定する上での限界や偏りなどが指摘されています。
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IQとEQの違い
IQとよく似た言葉にEQがあります。EQは「Emotional Quotient(感情指数)」の略称で、感情の認識や理解、管理、他者との関係性構築などを測定する指標です。IQとEQは両方とも人間の能力を測定する指標ですが、異なる概念を表します。
IQ(知能指数)は、人間の認知能力を測定するための指標です。
IQテストは、論理的思考、言語能力、空間認知能力、数学的能力などを評価することで、個人の知能水準を示します。
そのため、IQの高さは、論理的思考能力や問題解決能力などに優れていることを示すことがあります。
一方、EQ(感情指数)は、人間の感情や社交的なスキルを評価するための指標です。EQは、自己意識、自己制御、同情、共感などの要素に基づいて評価されます。
EQの高さは、人間関係の構築やコミュニケーション能力の高さを示すことがあります。IQとEQは、両方とも人間の能力を測定するための指標であり、どちらも重要です。
しかし、IQは知的能力を評価する指標であり、EQは感情や社交スキルを評価する指標であるため、比較することはできません。
個人が持つ能力や価値は、IQとEQだけでなく、さまざまな要素によって形成されます。
IQはどうやって測定するの?
それでは、IQはどのようにして測定されるのでしょうか。IQを測定するための一般的な方法は、IQテストを実施することです。
IQテスト |
IQテストは、数学的な問題、言語理解、空間認知、論理的思考、記憶力など、さまざまな認知的な能力を測定するために作成されたテストです。
IQテストは専門家によって作成され、標準化されており、一般的には筆記試験やコンピュータによるテストなどが用いられます。
IQテストは、さまざまなタイプがありますが、最も一般的なタイプは「Universal Nonverbal Intelligence」です。このテストは、人種や文化の違いに関係なく、誰にでも平等に適用されます。
数学的な問題、言語能力、空間認知、論理的思考、記憶力などの認知的な能力を測定するために作成されたテストです。
そのほかのIQテストの例としては、Wechsler Adult Intelligence Scale(WAIS)やStanford-Binet Intelligence Scale、Differential Ability Scales、Peabody Individual Achievement Testなどがあります。
これらのテストでは、標準得点またはパーセンテージでスコアを計算し、個人のIQを評価します。一般的に、IQの平均値は100であり、標準偏差は15です。
したがって、IQが100より高い人は、平均よりも優れた知的能力を持っていることになります。 |
代表的なIQの検査方法として
「ウェクスラー式知能検査」と
「田中ビネー知能検査」の2つが挙げられます。ここでは、それぞれの特徴をみていきましょう。
「ウェクスラー式知能検査」は幼児用、児童用、成人用の3種類に分けられ、臨床心理士などの専門家と受検者のマンツーマンで検査を行います。
児童用の検査においては、10の基本検査と5の補助検査が実施されます。
その結果を受けて、全体の得点と、「言語理解」「知覚推理」「ワーキングメモリー」「処理速度」という4つの指標における得点が合計されてIQが算出されるのです。
このように指標ごとに得点を出すことで、知的発達の様子を多面的に把握する効果が期待されます。
「田中ビネー知能検査」は、日本人のパーソナリティ特性や生活様式に即した内容の課題を用いて行うIQ検査です。
日本人の検査への抵抗感をなくすことで、本来の能力を発揮できるようにする狙いがあります。受検者の発達状況などに応じて検査の内容が変わるのも特徴の一つです。
IQが高い人にはどのような特徴があるの?
IQが高い人とそうでない人には、どこか違いがあるのでしょうか。まず挙げられるのは、IQが高い人の特徴として、
高い認知能力です。
IQが高い人は、一般的に論理的思考や空間認知能力などの認知能力が高いため、複雑な問題を解決する能力が優れています。
また、
高い学習能力も特徴のひとつとして挙げられます。一般的に、IQが高い人は新しいことを学ぶ速度が速く、応用力も高いです。
そのため、彼らは新しい情報を受け入れ、理解するために必要なスキルを持っています。
言語能力が高い、という特徴も挙げられるでしょう。
IQが高い人の多くは言語能力が高く、豊富な語彙を持っています。そのため、彼らは複雑な文章を理解し、正確に表現できます。
そのほか、
集中力がある、という特徴もあります。IQが高い人は、長時間集中することができ、物事に没頭しやすい傾向があるからです。
彼らはタスクを完了するための持続的なエネルギーを持っているといえるでしょう。
創造性の高い人も多いです。
IQが高い人は、独自のアイデアやアプローチを持っています。彼らは問題に対して新しい視点を持っており、創造的な問題解決に優れています。
この両者の特徴を合わせ、優れた問題解決能力があるといえるでしょう。
IQが高い人は、
問題に辛抱強く取り組み、新たな視点から問題に対する解決策を見つける能力に優れています。
それは、彼らが複雑な問題に対してロジカルにアプローチできるからです。さらに、知識欲の高さも特徴として挙げられます。
IQが高い人は、興味を持った分野に対して深く掘り下げる知識欲が高い傾向があります。知的好奇心を持ち、学習に情熱を注ぐ人が多いです。
IQが低いことで困る場合もある?
IQが低いことで、生活上の困難にぶつかるケースもあります。IQが低いことで起こる可能性のある困りごととしては、学習能力がなかなか身に付かない、柔軟に物事を考えるのが難しいといったものが挙げられます。
その他、自分の行動をうまくコントロールできない、円滑なコミュニケーションを図るのが難しいといった問題が起こる場合もあるでしょう。
気を付けなければならないのは、IQが低いからといって、全員が同じ困りごとを抱えているとは限らない点です。勝手な思い込みでサポートの手を差し伸べようとしても、かえって当事者を困惑させる結果につながるかもしれません。
「あの人はIQが低いから困っている」と決めつけるのではなく、各自の個性を尊重することが大切です。
IQが高い人はどんな仕事が向いている?
それでは、IQが高い人はどのような職業に向いているのでしょうか。共通していえることは、
論理的思考や問題解決能力が必要な仕事ということです。
例えば、技術者や科学者がその主なものとして挙げられるでしょう。IQが高い人は、科学や技術分野での研究や開発に興味を持ち、高い能力を発揮することが多いです。
また、金融関係の仕事で能力を発揮する人も多くいます。IQが高い人は数学や統計学の理解力に優れていることが多いからです。
そのため、複雑な数値処理や分析が行えます。投資やファイナンスの分野で活躍できるでしょう。弁護士やコンサルタントも、IQが高い人に向いています。
IQが高い人は論理的思考能力や問題解決能力に優れているためです。
その他の仕事としては、
IT関係の仕事が挙げられます。
IQが高い人は、プログラミングやシステム開発に興味を持つことが多いです。これらの分野は論理的な問題解決能力が重要になるからです。
そのため、IT分野で高い能力を発揮することが多いです。また、教育関係の仕事も向いています。
IQが高い人は知的好奇心が旺盛なため、
知識や学習に関する仕事に興味を持つことが多いです。そのため、研究や教育プログラムの開発などで高い能力を発揮するでしょう。
ただし、IQが高いからといって、必ずしもこれらの仕事にしか向かないわけではありません。また、IQが高くないからといって、これらの仕事に向いていないわけでもありません。
仕事で成果を上げられるかどうかは、論理的な問題解決能力だけでなく、人間関係や環境などにもよります。また、IQ以外にも、個人の興味や適性、経験などが、仕事に向いているかどうかの重要な要素となるからです。
特に、ビジネスにおいて成功するためには、IQの高さだけでなくEQの高さやソフトスキルも重要です。
EQは、感情の認識や管理、他者との関係性構築などを測定する指標であり、ビジネスにおいては、チームワークやリーダーシップなどに必要とされます。
また、人とのコミュニケーション能力や交渉力、プレゼンテーション能力などのソフトスキルも重要です。つまり、ビジネスにおいては、IQはあくまでもひとつの指標にすぎないということです。
たとえIQが高くても、人とのコミュニケーションが苦手だったり、感情を制御できなかったりすると、ビジネスにおいて成功することは難しいでしょう。
IQは大人になってからでも高くできる?
ビジネスにおいてはIQがすべてではないというものの、もしもIQを高くできるなら高くしたい、と考える人も多いのではないでしょうか。
大人になってからでも、IQを高める方法はいくつかあるといわれています。まずは、
読書や学習です。
IQを高めるには、新しい知識を学び、知識を蓄積することが重要です。課外活動や趣味として読書をしたり、オンライン学習やワークショップ、研究に積極的に参加したりしましょう。
また、
パズルや論理問題を解くのもひとつの方法です。IQは論理的思考能力や問題解決能力に関連しているため、パズルや論理問題を解いて訓練するとよいでしょう。
数独やクロスワードパズル、チェス、囲碁などのゲームが効果的だといわれています。
そのほか、運動も重要です。
運動は健康的な体を作るだけでなく、脳機能を向上させるためにも役立ちます。さらに、運動はストレスを軽減し、血液や酸素を脳に送ることで脳細胞を活性化させます。
勉強ばかりするのではなく、適度な運動も心がけましょう。食生活も大切です。
健康的な食生活は脳の機能を向上させるために必要だからです。脳に必要な栄養素を含む野菜や果物、ナッツ、魚などを積極的に摂るとよいでしょう。
これらの方法を取り入れることで、脳の機能を改善し、より効率的に問題を解決する能力を向上させることができるでしょう。
ただし、IQは遺伝要因も大きいという説があることも留意しておく必要があります。そのため、誰でも確実にこれらの方法によってIQを効果的に高められるというわけではありません。
IQの高さがビジネススキルに直結するわけではない
IQが高い人には、論理的思考力や問題解決能力に優れているという特徴があります。そのため、習慣的な読書や運動でIQを高めようと努力するのもよいでしょう。
しかし、IQの数値がビジネススキルの高さに直結するわけではありません。IQばかりを気にするのではなく、自分の個性や強みにあらためてスポットを当ててみてはいかがでしょうか。
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