内定をもらった企業から、オファー面談を設定されることがあります。聞き慣れない名前のため「どのような面談なのだろう?」などの疑問をいだいている人もいるでしょう。
結論から述べると、オファー面談は企業と内定者が認識のズレを防ぐために行われる面談です。この記事では、オファー面談の概要やオファー面談で確認しておきたいポイントなどを解説しています。
オファー面談とは?まずは概要を理解
オファー面談とは、企業が内定者に対して労働条件のすり合わせなどを行うために実施する面談です。
企業によっては、「内定者面談」「条件面談」「処遇面談」などと呼ぶこともあります。名称は異なりますが内容は同じです。
面談の対象
面談の対象は、基本的に内定通知を受け取った入社予定者です。このことからわかる通り、選考過程の一部として実施されるわけではありません。
したがって、面談の内容で不合格になるなどは心配しなくてよいでしょう。すでに入社意思を固めている人は、安心して面談に望むことができます。
面談を含む採用活動の基本的な流れ
面談はどのようなタイミングで実施されるのでしょうか。面談後の基本的な流れとあわせて解説します。
面談が実施されるのは、基本的に内定通知後です。労働条件を提示するタイミングは企業で異なります。具体的には、内定後に労働条件通知書を送付する企業と面談で労働条件通知書を提示する企業に分かれます。
労働条件通知書とは、企業が労働者と雇用契約を結ぶときに交付する「労働契約の期間」「就業場所」「従事すべき業務」「賃金の決定、計算および支払いの方法」など、労働条件をまとめた書類です。
いずれにせよ、労働条件などに問題がなければ、内定者は企業へ入社承諾書を提出します。これにより、当該企業に対する就職活動・転職活動は終了です。以降、入社手続きへと進みます。
面談は必ず実施されるわけではない
面談は、すべての企業が実施しているわけではありません。法的に義務づけられているものではないからです。
一方で、労働条件通知書の交付は、労働基準法で企業(使用者)に義務づけられています。したがって、労働条件通知書を送付するだけで面談を行わないところもあります。
内定通知後に面談が設定されなくても焦る必要はないでしょう。一方で、労働条件通知書が交付されない場合は確認が必要です。
また、面談が実施されず労働条件通知書が交付された場合も、採用活動中に約束した労働条件が記載されていることを確認しなければなりません。
オファー面談の主な目的は採用ミスマッチの解消
オファー面談は選考過程の一部ではないため、結果により落ちることはありません。
内定通知を受けた人のなかには「面談を行う目的がわからない」と感じている人もいるでしょう。ここでは、面談の目的を紹介します。
労働条件のすり合わせ
多くの企業は、内定者と労働条件をすり合わせるために面談を実施しています。
入社後に、思っていた労働条件と違うなどの理由で早期離職してしまうことを防ぐためです。早期離職が発生すると、採用活動をやり直さなければなりません。
厚生労働省が発表している
「職業紹介事業に関するアンケート調査結果の概要」によると、紹介会社を使ったときにかかる1件あたりの採用コストは51.8万円、インターネット求人情報を使ったときにかかる1件あたりの採用コストは29.6万円です。
採用活動をやり直すと、これらのコストが再び発生してしまいます。このようなトラブルを無くすため、多くの企業は面談を実施しているのです。
従事する業務を伝える
企業によっては、労働条件のすり合わせだけでなく従事する業務の内容や職場の雰囲気などを伝えるため面談を実施しているところもあります。
具体的な方法は企業で異なりますが、先輩社員が面談に同席して具体的な業務内容、職場の雰囲気などを教えてくれるケースなどが考えられます。
入社前にこれらの情報を伝える理由は、思っていた業務・職場の雰囲気と違うなどで早期離職してしまうことを防ぐためです。多くの企業は、採用ミスマッチを可能な限り防ぐため面談を実施しています。
内定者の疑問や不安を解消するため
内定者が抱いている疑問や不安を解消するため、労働条件通知書の送付ではなく面談を実施している企業もあります。面談にすることで、内定者が質問や交渉を行えるからです。
たとえば、就業場所や賃金が想定と異なる場合、人事担当者にその場で確認できます。確認から一歩進んで、交渉を行うことも可能です。
面談は、基本的に労働条件を調整する最後の機会と考えられます。疑問や不安などは、この機会にできるだけ解消しておきましょう。
繰り返しになりますが、選考過程の一部ではないため落ちることを心配する必要はありません。企業の大きな目的は採用ミスマッチを防ぐことです。
質問を歓迎してくれること、交渉に応じてくれることが考えられます。
内定承諾率を高めるため
面談は、内定承諾率を高めるため行われている面もあります。内定承諾率は、内定をだした人に対する内定を承諾した人の割合です。
企業は、内定者と良好な関係を維持することで内定承諾率を高めたいと考えています。したがって、面談で内定者との接点を増やすとともに内定者の疑問や不安を解消しているのです。
オファー面談の前に準備すべきこと
オファー面談に臨む際は、ある程度の準備をしておくことをおすすめします。
まず、質問リストを作成しておくことが大切です。何の準備もせずにオファー面談を受けても、確認したいポイントなどがあいまいなまま終わってしまいます。
せっかく設けてもらったオファー面談の場を有効活用するためにも、企業担当者に聞いておきたい項目をリストアップし、質問を用意しておくとよいでしょう。入社前に疑問点を確かめておくことで、すっきりした気持ちで働き始めることができます。
次に、誰が面談を担当するのか確認しておくことも重要です。オファー面談は基本的に企業の人事担当者が行いますが、受け入れ先の上司などが担当する場合もあります。相手によって適切な質問も変わってくるので、事前に確かめておくことをおすすめします。
オファー面談で確認するべき5のポイント
オファー面談は、企業から労働条件の提示を受けるとともに内定者が抱いている疑問や不安を解消する面談です。わからない点などは積極的に質問しましょう。
ここでは、面談で内定者が質問したいポイントを紹介します。
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- 入社日
- 最初に確認したいのが入社日です。この点が明らかにならないと、入社までのスケジュールを立てられません。
とくに、在職中に転職活動を行っている人にとっては重要と言えるでしょう。入社日に合わせて退職を申し出るタイミング、退職日を決めなければならないからです。
ケースによっては、勤務している企業から後任者を見つけるまで退職を延ばしてほしいなどとお願いされることもあります。このようなトラブルを避けるため、面談で入社日を確認しましょう。
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- 年収
- 年収も確認しておきたいポイントとして挙げられます。求人票に記載されている給与は、月給〇〇~□□円などのように、幅をもたせていることが多いからです。
具体的な給与は、スキル・経験などで異なるケースが少なくありません。したがって、面談で確認しておくほうがよいでしょう。
同様に、賞与も確認しておきたいポイントとして挙げられます。基本給の何カ月分か、支給実績はどれくらいか、などの質問が考えられます。
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- 評価制度
- 評価制度についても確認が必要です。評価の仕組みがわからないと、入社後の努力の方向性がわかりません。
がんばっているのに昇給しないなどのトラブルに発展するおそれがあります。あるいは、何かしらのアクションを起こしたいときに、マイナス評価が心配になることも考えられます。
安心して働けるように、面談で評価制度についても確認しておきましょう。
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- 労働時間・休日
- 労働時間や休日も、面談で確認しておきたいポイントと言えます。実際に働くうえで問題になりやすいのが、残業や休日出勤などです。
したがって、平均的な残業時間や平均的な残業頻度、繁忙期・閑散期、休日出勤の有無、有給取得率などを確認しておくと安心して働きやすくなります。
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- 福利厚生・社内制度
- 以上のほかでは、福利厚生や社内制度も確認しておくとよいでしょう。求人票や労働条件通知書には、詳細を記載していない企業があるからです。
産前休業・産後休業・育児休業・介護休業などを取得する可能性がある場合は、取得率を確認しておくと働きやすさを評価できます。
オファー面談の条件交渉を成功させるポイント
オファー面談の条件交渉を有利に進めることで、より納得のいく形で入社することができます。
オファー面談で条件交渉に臨む際は、根拠に基づいた主張をするよう心がけましょう。労働条件通知書の内容が募集要項の内容と異なるなど、明確な根拠を提示することで説得力のある主張を展開できます。
面接の際に聞いた給与より提示金額が少ない場合なども、「より高い収入を得るために転職活動を始めたので、その金額では納得できない」など、なるべく主張の根拠を示すようにしてください。
次に、転職の軸を整理し、優先順位をつけることも条件交渉のポイントの一つです。条件交渉ですべての希望を通すのは難しいため、各項目について優先順位をつけ、絶対に譲れないポイントと妥協できるポイントを区別しておきましょう。
最後に、条件交渉は常識の範囲内で行うことが大切です。給与の大幅なアップを提案するなど、過剰な希望はトラブルの種となるので避けるのが賢明です。
オファー面談後の連絡のポイント
オファー面談が終わった後の連絡方法についても、いくつかの注意点があります。
まず、内定を辞退する場合はなるべく早めに連絡しましょう。企業側は入社することを前提に話を進めている可能性があり、場合によっては採用活動も停止しています。
連絡が遅くなればそれだけ企業に迷惑をかけることになるため、労働条件に納得できないなどの理由で内定を辞退する場合は早めに連絡することが大切です。
次に、内定承諾の回答期限は必ず守るようにしてください。内定承諾の回答期限は、オファー面談から1週間程度に設定されている場合が多いです。
即日の返事は避けるとしても、回答期限を過ぎてしまわないように注意が必要です。
期限までに返答を用意できないときは、上司に引き留められているなど、期日前に理由を添えて担当者へ連絡を入れておきましょう。期限を過ぎてしまうと、最悪の場合は不採用となってしまうことがあります。
最後に、内定辞退や内定承諾の連絡は、メールではなく電話で行うのが社会人としてのマナーです。
オファー面談でよくある質問
ここからは、オファー面談でよくある質問に回答していきます。
転職活動を継続したい場合はキャリアドバイザーに相談
オファー面談の結果、内定を辞退したいと考える人は少なくありません。労働条件などに解消できないズレがある場合は、安易に入社承諾書を提出しないほうがよいケースもあります。
早期離職は、企業だけでなく本人にとっても望ましくない結果だからです。労働条件などに納得できない場合は、転職活動を継続するとよいでしょう。
転職エージェントのキャリアアドバイザーに相談すれば、希望する労働条件などを実現できないか採用企業に交渉してくれます。
自分で交渉を行わなくてよいため、精神的な負担を減らせます。労働条件にこだわりたい人は、転職エージェントを活用してみてはいかがでしょうか。