プロボノ活動って何?スキルを活かした社会貢献で経験値を上げよう

作成日:2021.06.07 更新日:2024.02.14

プロボノ活動とは、本業で培った専門スキルを用いて無償の社会貢献を行うことです。 一般的なボランティアに比べて自分の強みを活かせるため、プロボノならばやりたいという人も少なくありません。 ただ、ちょっと聞き慣れない言葉のせいもあるでしょうが、実際のところ、どういった活動を行うのか分からない人もいるでしょう。 この記事では、プロボノの特徴や活動するメリット、求人の探し方などを詳しく解説していきます。

そもそもプロボノとはどんなもの?

そもそもプロボノにはどういった意味があり、どのような活動が含まれるのかを見ていきましょう。

プロボノとは?

プロボノとは、ラテン語の「pro bono publico」を語源とする言葉で、「公共善のために」という意味です。 会社で働き始めると、日々の業務の中で専門的な経験や知識が蓄積されていきます。職場によっては資格の取得を推奨しているところもあるでしょう。 そのようにして得た自分の専門スキルを使って、無償の社会貢献をするのがプロボノです。専門スキルを活かして活動できるところが、通常のボランティアとは異なります 社会の役に立つことはもちろんのこと、社外で自分の力を試せたり、同じような志の人たちと出会えたりするのがプロボノのメリットです。

プロボノ活動の先進国はアメリカやイギリス

プロボノは、もともとアメリカやイギリスなど社会貢献の意識が高い先進国で始まりました。 法律関連職の人たちが、自分たちの専門スキルを使って社会奉仕活動を行ったのです。現在でもその精神は受け継がれており、全米法曹協会は、弁護士が年間50時間以上のプロボノ活動を行うことを推奨しています。 多くの弁護士が自発的にプロボノ活動に従事していることに加えて、活動時間を決めて義務付けをしている州もあります。 金銭的な問題や権利保護の問題などを抱えている依頼人に、プロボノ活動を通して支援の手を差し伸べることが社会的に奨励されているのです。

日本におけるプロボノ活動

日本の法曹界においてもプロボノ活動は一般的となりました。弁護士法の第1条には、「弁護士は基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」とされており、公共善につながる活動への取り組みが推奨されています。 第一東京弁護士会では、2000年に所属弁護士が公益活動を行うことを義務化しました。2007年には、会則でプロボノ活動を公益活動に位置づけています。 その流れは他の弁護士会にも及び、公共の利益のために無償で活動する弁護士の数が増えています。 また、2010年は日本における「プロボノ元年」と呼ばれ、法曹界だけに留まらず、さまざまな分野で専門スキルを持った人材がプロボノ活動を始めました。 プロボノを始めとしたボランティア活動を積極的に受け入れているNPOにおいても、多様な人材を求めるようになってきています。例えば、インターネットが普及した現代では、ウェブサイトやSNSを活用した情報発信が重要です。 そうしたプロボノ求人においては、プロジェクトを統括するリーダーの他に、マーケッターやコピーライター、ウェブサイトを制作するクリエイティブディレクターなども求められます。 業務の改善や事業計画の立案などの依頼もあるため、専門スキルを持ったビジネスパーソンが参加できるプロボノ活動は多岐にわたっているのです。以前よりもプロボノを始めるハードルが下がっているといえます。  

プロボノ活動をすると報酬は得られるのか?

プロボノ活動は無償で行う奉仕活動なので、報酬を得ることはできません。自分の経験や知識、スキルを活かした社会貢献となります。無償で行うプロボノの歴史と、日本国内での広がりについて見ていきましょう。

無償で社会貢献をするというプロボノの伝統

プロボノ先進国であるアメリカでは、1993年に全米法曹協会とプロボノ協会においてプロボノ規範案が作成されました。 これによって年間で50時間のプロボノ活動が推奨されるに至ったわけです。その後、多くの法律事務所が「ローファーム・プロボノ・チャレンジ」に署名し、所属する弁護士にプロボノ活動への取り組みを促しています。ただし、通常の弁護士活動を無償で行っても、そのチャンレジを満たせるとは限りません。 なぜなら、プロボノのサービスを提供する対象が厳格に定められているからです。その対象となるのは、貧困者などを援助している団体や、公民権などの国民の権利を保護するための個人・団体、金銭的に弁護士報酬の支払いが難しい団体の3つの分類となります。 弁護士によるプロボノ活動を本当に求めている者へ、法的サービスが提供されるという効果的な試みといえるでしょう。

広がりを見せている日本のプロボノ活動

日本のプロボノ活動もアメリカと同様に法曹界から広がり、現在ではさまざまな分野の人材が求められるようになりました。 プロボノのサービスが提供されるのは、NPOや行政機関、公共施設などが多いです。自分のスキルを無償で提供してもいいという人と、そうした人の支援を受けたい個人・団体とのマッチングを行う団体も増えています。 プロボノに興味がある人は、そうしたマッチングサービスを利用することで、どういったスキルが求められているのかを知ることができます。必ずしも資格や免許といった、自分のスキルを証明するものが求められるわけではありません。 活動内容や日程、募集対象に自分が合致すると考えれば、プロジェクトの参加希望を出してみましょう。

プロボノはボランティアや本業・副業とはどう違うのか?

プロボノはボランティアと似ていますが、そこには大きな違いがあります。 また、自分のスキルを使って働いていても報酬は支払われません。無償の行為であることが、本業や副業と異なるところです。 ただし、プロボノ活動には、本業にもつながりそうな経験ができるという側面もあります。ここではそうしたプロボノの特徴を見ていきましょう。

プロボノとボランティアの違いとは?

プロボノは、ボランティアと違って、自分のスキルを活かした無償奉仕というところに特徴があります。 例えば、災害時のボランティアを考えてみると、食料を配ったり、がれきを撤去したりするボランティアは、過去に経験がある人もいるかもしれませんが、基本的には専門的なスキルを必要としません。 その一方で、被害状況の発信や支援の呼びかけを行うためにウェブサイトを作るという場合には、経験や知識が必要となります。どちらも無償で行うボランティアですが、後者には経験や知識が求められるためプロボノ活動と呼ばれるのです。

本業にも役立つ?会社が推奨するプロボノ活動

NECは他社に先駆けて2010年からプロボノ活動を始めています。「NEC社会起業塾ビジネスサポーター」と名付けられたそのプロジェクトは、NECグループの社員から公募して4~8名のメンバーを集め、NPOや社会起業家を対象に、ウェブサイト構築や顧客管理、営業戦略立案などの支援を行っていくというものです。 社員は週3時間まで、6カ月程度の無償奉仕を行うことになります。これは本業でもなければ副業でもない、無償で行う社会貢献活動ですが、社員が普段の業務では経験できないことにふれる機会でもあります。 会社としては、社員教育の面において大きなメリットになるでしょう。社員が社会の課題に向き合うことで刺激を受け、それが新たなサービスを生み出すための経験となることが期待できます。

プロボノの活動を行うことで得られるメリットとは?

プロボノ活動は無償で行うものですが、それによって得られる報酬以外のメリットがあります。一つずつ見ていきましょう。
  • 自分のスキルを活かしながら社会貢献ができる
    プロボノ活動は、自分のスキルを活かしながら社会貢献ができることが大きなメリットです。 ボランティアに参加して未経験なことに挑戦するのも十分な社会貢献といえますが、やはりスキルが活用できる仕事をまかされた方が、さらなる貢献ができるのは間違いありません。 より大きなやりがいを感じたいという人には、プロボノ活動が適しています。 また、NPO法人には人材や資金が不足しているところも多く、専門スキルを持った人を雇うのが難しいという状況があります。そこに高度な人材が無償で働きに来てくれれば、NPOが本来の仕事に集中するための貴重なサポートになるでしょう。
  • 社外で自分の力を試すことができる
    プロボノ活動は異なる専門スキルを持つ人がチームを作り、依頼された課題に取り組むのが一般的です。普段働いている会社内とは違い、新しい人たちと不慣れな環境で仕事を始めることになります。 そうした場所で自分の力を発揮するのが難しい人もいるでしょう。自分はきちんと役に立てるのかを、プロボノ活動によって試すことができます。 そこで課題が見つかれば、本業にフィードバックできますし、自分のこれまでの働き方を見つめ直すことにもつながるでしょう。
  • 新しい出会いを経験できる
    プロボノ活動でチームを組むのは、それぞれの分野のスキルを持っている人たちです。 年齢も仕事の経験も異なります。会社の外でそういった人たちと新たな関係を築けるのは、ビジネスと私生活の両面においてメリットといえるでしょう。 また、プロジェクトマネージャーとして参加した場合、背景の異なるメンバーをまとめながらプロジェクトを達成しなければなりません。 同じ会社で働いているわけではないため、日程を調整することも大変ということもあるでしょう。そうした環境に身を置くことは、得難い経験になるはずです。

プロボノの求人はどうやって探したらいいのか?

プロボノ活動を希望する人は、働いている会社がプロボノを推奨しているのか確認してみましょう。 会社をあげて取り組んでいるところもあるため、会社が推進しているプロジェクトに参加するのも一つの方法です。 その一方で、社外でプロボノの求人を見つけたい人は、マッチングサービスを利用してみましょう。プロジェクトや募集の内容を比べながら、自分の希望にそった求人を選ぶことができます。

社内で探す:SMBCグループのプロボノプロジェクト

三井住友銀行は、2011年からプロボノ活動を始めています。最初の取り組みでは、大阪における地域経済の活性化などを目指す3つのNPOへの協賛に加えて、プロジェクトチームに有志行員がボランティアで参加しました。

2013年からは、SMBCグループのプロジェクトとしてプロボノ活動が引き継がれています。 自分のスキルを十分に活かしたい人や、プロボノ活動で得た経験を本業にも活かしたいという人は、会社が取り組んでいるこうしたプロジェクトに参加するのも選択肢の一つです。

社外で探す:マッチングサービス

プロボノ希望者とNPOなどからの依頼をマッチングするサービスが普及したことで、プロボノの求人が以前よりも探しやすくなっています。サービスグラントは、そうしたマッチングサービスを提供している代表的なNPO法人です。

その特徴としては、2005年からサービスを継続して行っているという豊富な経験を用いて、プロジェクトごとにプロボノワーカーのチームを作り、問題解決にあたっていることでしょう。 これまでの実績については、公式サイトで閲覧することができます。また、単発の仕事や個人への求人を通してプロボノ活動を体験してみたいという人は、activoというマッチングサイトも見てみましょう。 活動場所や依頼の種類、活動テーマなどから検索ができ、多様な求人から自分に合ったものを探すことができます。

働き方を見つめ直したいならプロボノを試してみよう

プロボノ活動を行っても報酬は得られません。しかし、自分の専門スキルを試すことができ、新しい人脈が作れて、それが社会貢献につながるという大きなメリットがあります。 マッチングサービスを利用すれば、自分に合った求人を探すのも容易です。 自分の働き方を一度見つめ直したいと考えている人は、裾野を広げてプロボノ活動を試してみるのはどうでしょうか。

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