スキームとは何か?ビジネス用語としての意味や使い方と類似の言葉との違い

作成日:2021.08.17 更新日:2024.04.19

ビジネス用語の中に「スキーム」という言葉があります。スキームはビジネスシーンでよく使われる言葉の1つであるため、その意味や使い方を正しく理解しておくことが必要です。 また、スキームには混同されがちな言葉がいくつかあります。そのため、そういった言葉との違いを認識しておくことも大切です。 この記事では、ビジネス用語としてのスキームの正しい意味や使い方とともに、似たような言葉との違いを解説します。

ビジネス用語としての「スキーム」の意味とは

スキーム(scheme)には、計画・案・図式・枠組み・体系といった意味があります。ただし、これらはスキームという英語の一般的な訳語です。 ビジネス用語としてのスキームは、「事業スキーム」や「販売スキーム」といったように2つの意味を組み合わせた形で、主に「計画性を伴う枠組み」や「計画性を伴う仕組み」といった意味で使用されています。 「構想を実現するための作戦計画」と言い換えてもいいかもしれません。つまり、漠然としたビジネスモデルを計画したり、枠組みや仕組みを作成したりするだけではスキームとは言えません。 「事業における目的を達成するための具体的な計画性を持ちながら、その過程に必要な枠組みや仕組みを設計する」ことをビジネスシーンではスキームと呼んでいるのです。 なお、ビジネスシーンでスキームという言葉を使用する際には、「こちらの案件について1週間でスキームを作成してください」「社長から新規事業のスキームを構築するようにとの通達がありました」といったような使われ方になります。 また、ビジネスシーンにおけるスキームでは、次の2点に気をつける必要があります。まず、スキームには上記に挙げた意味の他にも「陰謀」「策略」「悪巧み」といったネガティブな意味も含まれているということです。 スキームは海外のビジネスシーンでも使用されているビジネス用語ですが、アメリカではネガティブな意味として捉えられる傾向が少なからずあります。そのため、アメリカ企業の社員などとやり取りする場合は、相手からビジネス用語としてのスキームという言葉が発されない限り、こちらから使用するのは避けておいたほうが無難です。 もう1つは、スキームとよく似た言葉である「スキーマ」との混同です。スキーマという言葉は、一般的に「物事に対してそれぞれの人が無意識に判断したり行ったりする、決まりきったものの考え方や見方」といった意味で使われます。 IT用語としても使われていて、データベースを構築する際に必要な言語である「xml」や、「oracle」などにスキーマを付けて使われることが一般的です。 また、スキームと混同されがちな理由としては、スキーマが上記の2つ以外にも「概要」「図解」「図式」といった意味でも使用されていることが挙げられます。スキームと同じか類似の意味が含まれているため、間違った使い方をしてしまうのです。 一度言葉を間違えて頭にインプットしてしまうと、更新されないまま過ごしてしまうことが少なくありません。もし、そのまま就職や転職をしてしまった場合、ビジネスシーンでのミスに繋がったり恥をかいたりする可能性があります。 そのため、この機会に「スキーム」と「スキーマ」の違いを理解しておくことは、まったく意味がないことではありません。

ビジネスシーンにおけるスキームの使い方事例7

ビジネスシーンではスキームという言葉を単体で使用するだけでなく、別の単語と組み合わせて使用する場合があります。 どちらかといえば、後者の方が主流です。ここでは、別の単語と組み合わせて使用される場合のスキームの使い方を、具体的な7つの事例で紹介します。
  • 事業スキーム
    事業スキームとは、事業の具体的な計画や構想に基づいた仕組みや枠組みのことです。具体的には、組織として継続的に行う新規事業などを立案する際の、仕入れ・生産・営業などに関する具体的な計画を指して使われる言葉です。 また、事業スキームでは策定された計画をスキーム図と呼ばれる図面に表しますが、そうすることで第三者にも理解してもらいやすくなります。
  • 資金調達スキーム
    資金調達スキームは、新規事業に必要な資金を金融機関などから調達するための具体的な計画や仕組み・枠組みのことです。 資金調達の方法には、融資・借り入れ・ファクタリングなどがありますが、いずれにしても資金調達の際には事業計画書を提出する必要があります。 この事業計画書が資金調達スキームを構築するうえで最も重要です。そのため、事業スキームと同様に、できる限り継続的に行う事業の計画や構想を、第三者にも理解しやすいように数字やグラフなどを用いて、より具体的に表すことが要求されます。
  • 返済スキーム
    借入を行う際に具体的な返済計画を策定しておくことで、将来的に返済を滞らせたり返済に頭を悩ませたりする可能性を小さくできます。 そこで、返済スキームでは借入金の効率的な返済のために具体的な計画を策定し、将来の返済に困ることがないようにしっかりした枠組みや仕組みを構築しておくのです。 そうすることで、借入金によって自社の経営が圧迫されることがない効率的で無理のない返済が実現できます。
  • M&Aスキーム
    M&Aスキームとは、企業の買収や合併を意味するM&Aで用いられる手法や一連の流れのことです。主なM&Aスキームには、株式譲渡や事業譲渡があります。 株式譲渡は、保有している自社株を売却することで会社を他社に譲渡する手法です。 株式譲渡を成立させるためには、売却先との間で株式譲渡契約を締結する必要があります。その契約内容に基づいて売却元に代金が支払われ、株式が売却先に渡るというのが株式譲渡の一連の流れです。 一方の事業譲渡は、自社の事業の全部か一部を他社に売却することです。事業譲渡は直接または仲介者を通じて企業間で交渉し、トップ面談などを挟んで基本合意書(MOU)を締結します。 その後、取締役会などを経て事業締結契約書を締結することで事業譲渡が成立します。
  • 販売スキーム
    販売スキームは、自社の商品やサービスの販路を拡大・開拓するために立てた計画を再検討する枠組みや仕組みのことです。具体的には、顧客データや口コミなどに基づいた顧客満足度などを分析し、販売や会員数における問題点や課題点を浮き彫りにしていきます。 販売スキームを用いて自社の現状を分析することで、販売数や会員数を向上させたり落ち込みを抑え込んだりすることが可能になります。
  • 運用スキーム
    運用スキームは主に金融業界で使用されているスキームのことで、図表などを使用して資産運用の手法をわかりやすく提示します。主な運用スキームの提示先は顧客です。 運用スキームを用いて一定期間における運用資産の増減などの状況を説明することで、顧客の理解度を向上させることに繋がります。また、運用スキームを用いて投資資産の運用状況をグラフ化することで、顧客の投資判断に役立てることができます。 なお、運用スキームには将来的なリスクや、新たに選択できる投資方法などを組み入れることも可能です。
  • 投資スキーム
    同じように金融業界で採用されているスキームに投資スキームがあります。こちらは、複数の金融商品の中からどの商品を選んで、どのような配分で投資すれば利益に繋がるかを表すための枠組みや仕組みのことです。 また、投資スキームには集団投資スキームも用意されています。これは、複数の人々に投資を募って資金を集めるREIT(不動産投資信託)のような商品に対して用いられるスキームです。

スキームと「フロー」「ロジック」「プラン」の違いとは

ビジネスシーンで使用されるスキームは、「フロー」「ロジック」「プラン」といった言葉と混同されることが少なくありません。 3つの言葉の中には同じような意味合いを持つ言葉もあるため、混同してしまうのは仕方のないことでもあります。 ただ、ビジネスシーンで使用する言葉には、常に高い正確性が求められるのも事実です。そのため、スキームとこれら3つの言葉との違いを知っておくことは、ビジネスマンに必要な基礎知識の1つであるといえます。

フローとの違い

フロー(flow)とは、「流れ」という意味の英語です。ビジネスシーンで「フロー」と言えば「ワークフロー」のことで、「仕事の流れ」という意味になります。 具体的には、複数で行う仕事の始まりから途中経過を経て集結させるまでの流れのことです。 また、その流れを図式化した図面を指すこともあります。このように、ビジネスシーンでのフローは、仕事の経過や携わるものの役割などを意味することから、スキームとはまったく異なる言葉であるということになります。

ロジックとの違い

ロジック(logic)とは、「論理」「論法」という意味の英語で「思考の道筋」などと解されることもあります。 また、一般的に知られる言葉に「ロジカルシンキング」がありますが、これは「論理的思考」という意味です。 ビジネスシーンでロジックが使用される場合には、「売上を伸ばすためのロジックを探す」や「プレゼンには誰もが納得するロジックが必要」といった使い方が考えられます。 このように、ロジックはあくまで「論理」や「論法」といった方法論であって、スキームのように具体的な計画性と枠組みや仕組みを構築する手法ではありません。この点が、スキームとロジックの違いです。

プランとの違い

プラン(plan)とは、英語の「計画」のことです。プランはビジネスを含めたさまざまなシーンで使用される言葉で、フローやロジックと比較して最もポピュラーな言葉であるといえます。 使い方としては、「夏休みの旅行プランを立てる」「老後の生活プランを考える」などというように、一般的に使用される英語の1つです。 ビジネスシーンでも「計画」の意味で用いられていて、「インターネットを活用した商品の販売プランを考える」「将来的にチェーン店化するためのプランを構想する」といったような、漠然とした計画を表現する際に使用されることが多い言葉です。 このように、プランという言葉にはどことなく具体性に欠ける印象があります。この点が、具体的な計画性と枠組みや仕組みを重視するスキームとの大きな違いということになります。

スキームを自分で作成してみることも大切

就職先や転職先ではスキームの作成を迫られる可能性があります。そのような際に困らないためにも、ここに挙げたものの中から自分が気になったスキームを選んで、何枚か作成してみるといいかもしれません。 その完成度が高ければ面接の際に提出することも可能です。就職や転職を成功させるためには、1つでも多くのスキルを身に付けることが大切です。

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