「捺印」と「押印」とはどう違う?印鑑にまつわる類語の違いと使い方を解説

ビジネスの現場では「はんこレス」が進められているところも少なくありません。2020年の新型コロナウイルス感染拡大を受け、その機運も高まりつつあります。

ただ日本国内ではまだまだ捺印や押印が欠かせないことも多く、ビジネスマナーとして「捺印」や「押印」など、印鑑にまつわる常識を知っておかなければなりません。

この記事では捺印と押印の違いはもちろん、使い方も含めて詳しく紹介します。

捺印と押印はなにが違うの?署名と記名の違いについても解説

捺印と押印は、どちらも「印鑑を押す」という点においては同じです。しかし、実際には両者に明確な違いがあり、使われるシチュエーションや法的効力という意味において同じものとはいえません。

残念なことに、ビジネスの現場では混同して使われているケースも散在していますが、社会人として仕事をしていくうえで正しい意味を把握しておくことは大切です。この段落では両者の違いについて詳しく説明しますので、確認しておきましょう。

捺印とは

捺印は「署名捺印」がもともとの言葉で、それが省略されて捺印と呼ばれるようになりました。署名と捺印という2つの言葉が入っているように、署名をするとともに印鑑も押すことを意味します。

「署名」はその名前の本人が手書きで書いたものを指し、サインも同じような意味です。ビジネス以外の日常生活で署名という言葉を耳にする例として、署名活動で名前を書くというシチュエーションが挙げられます。サインの場合はクレジットカードで買い物をする際に、「サインをお願いします」といわれる状況があるでしょう。

字の書き方には人によってそれぞれ癖があり、たとえ同じ文字を書いたとしても全く同じようにはなりません。別の人が似せて書いても細かい書き方の癖や筆圧などを完全に真似はできないため、詳しく筆跡鑑定をすれば別人の書いたものだとわかります。つまり、署名やサインは本人が自らの意思を持って書いたものであるという証明です。

契約書などの重要書類においては、特に本人が直筆で書いた署名の存在が大切です。本人が自らの意思で書いた署名とともに印鑑が押された(署名捺印)ものだけが有効とされます。

契約書をはじめとした重要書類では、一般的に署名捺印が採用されています。捺印のための印鑑は必ずしも実印である必要はありません。

ただし、特に契約時に印鑑証明書が必要な取引などでは書類の偽造を防止し、より信頼性を高める意味で署名捺印が必須とされ、実印が使われるケースが多くなっています。

押印とは

押印は「記名押印」を略した呼び名です。署名捺印と同様に、こちらも名前を書く記名と印鑑を押す押印の両方を行うことを指しています。異なるのは名前を書くのが本人の自筆でなくてもいいという点です。

パソコンなどで入力した文章を印刷した書類でもかまいませんし、あらかじめ自分の名前で作成したゴム印などを押してもかまいません。本人以外の人が代理で書いても成り立ちます。

記名押印がよく使われる書類としては、見積書や請求書、領収書などが具体例です。社内では休暇や有給取得の申請書類、勤怠管理の書類、決裁書や稟議書などがあります。

ビジネスの現場ではパソコンであらかじめ名前(社名)入りの書面を作成し、印鑑を押して会社や取引先などに渡すことが多くなっています。

最も法的効力を持つのは捺印された書類

民法上は書面で契約書を取り交わしていない口約束であっても、契約自体が成り立ちます。しかし、実際には口約束では後々トラブルに発展することも珍しくなく、通常は書面で契約書を作成します。契約書以外でも、大事な書類は信頼性を高めておくことが大事です。

書類に当事者の名前(社名)を書いたり印鑑を押したりする際、「捺印(署名捺印)」と「署名のみ」、「押印(記名押印)」、「記名のみ」の4パターンが考えられます。

この4パターンのなかで最も法的効力を持つのは捺印です。その次に効力が高いのは署名のみ、その次が押印となり、最も効力が低いものが記名のみです。

本人の直筆である署名に加えて印鑑が押されていれば、法的にも効力が高いとされます。実印が使われていれば間違いなく本人が契約したものであるという証明になるため、重要な契約書類などでは実印が多く使われます。

筆跡が人によって異なることから、署名のみでも効力は高いとされ、ハンコ文化のない欧米諸国などでは署名だけで契約書類が作成されます。

本人の筆跡が残らない記名のみの場合は証拠能力としてはあまりなく、正式には法的な効力は認められません。記名に押印を加えることで、直筆の署名に近い証拠能力を持たせることができます。

相手方に「捺印」を依頼するときはどう書けばいい?例文を紹介!

ビジネスではさまざまな場面で捺印をお願いする状況が発生します。

相手に捺印してもらわなければなりませんから、丁寧な言い回しを用いなければならないことには違いありません。ただし、社内の単なる連絡事項なのか、上司に対してお願いするのか、取引先に依頼するのかなど、状況によって多少異なります。

同じ社内の人が相手であっても、関係性によってそれほどあらたまって書く必要がないこともあります。

社内の気心が知れた間柄の相手なら、「こちらの欄にご捺印お願いします」、「有給休暇を取得したいので、こちらに署名捺印をお願いします」と簡単に書いても問題ないでしょう。

決裁書や稟議書、契約書などについても「こちらの書類をご確認のうえ、捺印お願い致します」と記載するなど、通常の丁寧語や敬語が使えれば問題ありません。「お忙しいところ申し訳ありませんが」、「お手数をおかけしますが」などの言葉を最初に入れれば、より丁寧になります。
取引先や顧客に対して捺印を依頼する際は、適切な尊敬語や謙譲語などを使うようにしましょう。

「書類をご確認いただき、1枚目と2枚目にご署名ご捺印のうえ、ご返送くださいますようお願い申し上げます」、「お忙しいところ大変恐縮ですが、同封致しました契約書を一読いただき、問題がなければご捺印お願い申し上げます」などのように書きます。

印鑑にまつわる類語「調印」「割印」「捨印」はどんなもの?

捺印と押印以外にも「調印」や「割印」、「捨印」など、印鑑を押す際に使用される言葉があります。

ビジネスや日常生活のなかでどのように使い分けされているのか、それぞれの意味と使われるシチュエーションを確認しておきましょう。

調印とは

日常生活や一般的なビジネスの場で、あまり調印という言葉が使われることはありません。ただ企業のM&A、自治体や団体などが協定を結ぶような場面では使われることがあります。

ほかにも国同士の取り決めや条約の締結などの際に使われるなど、一般的なビジネスよりも大きな規模のプロジェクトなどで用いられる言葉です。

調印式でトップ同士が書類にサインし、握手をする様子などがニュースで映し出される場面を目にしたことがある人もいるのではないでしょうか。身近なところでは、市町村合併や友好都市提携などでも調印式が行われています。

割印とは

書類が2つ以上ある場合、それらが関連していることがわかるよう、書類にまたがって押されるものが割印です。

2つの書類を少しずらした状態で両方にまたがるようにして印鑑を押すことで、書類を離すと印影が半分ずつになります。2つの書類の印影を合わせて合致すれば、両者が同時に作成された関連のある書類だということの証明になります。不正な改ざんなどがされないようにすることが目的です。

割印が押される場面としては、契約書の「原本」と「写し」を作成する場合や、契約書を2部作成して両者でそれぞれ保管する場合などがあります。

契約書とそれに関連する内容を記載した覚書に割印を押すこともあります。控えが切り離せる領収書などで、相手に渡す部分と控えの部分の間に割印を押すのも具体例のひとつです。

なお、割印に使用する印鑑は署名捺印で使用したものと同じでなくてもかまいません。

捨印とは

捨印は文書の余白部分にあらかじめ印鑑を押しておき、もし文書内に間違いがあった場合に訂正印としての役割を持たせるものです。通常は間違いが見つかればその都度、間違った箇所に二重線を引き、その線の上か近くに訂正印を押します。

しかし書類を渡してしまってから間違いに気づいた場合、あらためて訂正印をもらうのが大変なこともあります。捨印が使われる具体的な例としては、口座振替の手続きで銀行に提出する書類や委任状などです。

あらかじめ印鑑を押しておくといったように、書面を作成した時点ではまだなんの効力もありません。実際になにか訂正の必要な箇所が出てきた際、訂正されてはじめて「訂正しました」という意味を持ちます。

どのページで訂正が必要な箇所が出てくるかわかりませんから、書類が複数ある場合はすべてのページに捨印が必要です。

また、だれか1人が勝手に訂正したことにならないよう、契約者が複数の場合は人数分の捨印を押さなければなりません。

書類に誤りがあった際の訂正印としての役目を負うことになるため、使用するのは契約書類に押したものと同じ印鑑を使います。

捨印は契約書類に間違いなどがあった場合、自分に代わって代理の者に訂正をゆだねることができる方法です。細かい文字の違いなどの場合は捨印があれば手間がかからないメリットがあるものの、契約の根本にかかわる契約金額などを意図せず勝手に変更されてしまうなどのリスクがないわけではありません。

重要な書類に捨印を押すときは、リスクも認識したうえで押すようにしましょう。

ほかにもある知っておきたい印鑑の押し方

契約書が2枚以上になる場合、そのページがつながったひとつの契約書であることを示すために両ページに渡って押されるものが「契印」です。

途中のページを抜いたり、差し替えられたりすることがないよう、印鑑を押すことで連続していることを示すことができます。製本されている契約書の場合は、表紙か裏表紙と製本テープにまたがるように印鑑を押せば大丈夫です。

切手や収入印紙とそれを貼った書面にまたがって押されるものは「消印」と呼ばれています。消印は切手や収入印紙がすでに使用されたものであることを示すものです。

不動産売買や請負の契約書、手形、領収書などの金額が記載された書面は課税対象となり、金額に応じた収入印紙を貼らなければなりません。

収入印紙と書面にまたがるように印鑑を押しますが、特に契約の際に使用したものである必要がなく、認印やシャチハタ、ボールペンなどの消えない筆記用具を使って署名しても大丈夫です。

捺印と押印の違いを知り、正しく使えるようにしましょう!

捺印と押印はどちらも印鑑を押すことに違いありませんが、捺印は直筆で署名をするものであるのに対し、押印では印刷やゴム印、代筆であってもかまいません。厳密には全く違うものであり、法的な効力も違います。

ビジネスに携わる者として、その違いを把握しておくことは大切です。間違った使い方をすればビジネスマナーを理解していないと思われかねません。捺印と押印の違いを知ったうえで正しく使えるようになりましょう。

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