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寸志とは?ボーナスとの違いや知っておくべきマナーについて

社会人になるとさまざまな場面でお金を渡したり受け取ったりすることがあります。寸志はそういったビジネス上で広く行われている習慣のひとつです。また、求人票の待遇に寸志という言葉を見かけたことがあるかもしれません。しかし、寸志という言葉はこれまで聞いたことがない、寸志が何かよくわからない、という人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は寸志とは何か、どういった場面で行われるのかについて詳しく解説します。

寸志とは?

寸志とはそもそもどのような意味なのでしょうか。

寸志の「寸」は本来は長さの単位を表す言葉です。たとえば、おとぎ話の主人公である一寸法師や「一寸先は闇」といった表現を思い浮かべる人も多いでしょう。一寸は一尺の10分の1の長さで、メートル法だと約3センチという短さです。そのことが転じて、寸は「ちょっとした」「少しの」「わずかな」といった意味として使われています。また、寸志の「志」は「思いやり」や「心遣い」「厚意」といった意味です。

つまり、寸志とは誰かに対して送る些細な心配りのようなもの、といえるでしょう。

寸志は多くの場合、お金を封筒に包み、表書きした状態で渡されます。しかし、お金の代わりに熨斗袋(のしぶくろ)で包んだ品物で渡されることも多いです。寸志を送る習慣は江戸時代にはすでにあったといわれています。

たとえば、江戸時代の武士たちの生活における心構えを述べた本である「葉隠」には「志は松の葉に包め」とあります。松の葉のように小さくてつまらないものでもよいからお世話になった人に感謝の気持ちを伝えなさい、という意味です。この言い伝えから、今でも寸志は「松の葉」とも表現されています。

寸志が使われるシチュエーション

寸志はさまざまな場面で使われます。一般的なものとして結婚式やお葬式のシーンを思い浮かべる人も多いでしょう。

たとえば、結婚式の際、新郎新婦が披露宴を手伝ってくれた人に対して寸志を渡すことがあります。この場合の寸志とは、手伝ってくれた人に対する「お礼」や「心づけ」といった意味です。手伝ってくれた人が遠方から来た場合、「御車代」の代わりとして寸志を渡すこともあります。

また、葬儀の場では喪主が霊柩車等の運転手・配膳人・火葬場係員等などに対して寸志を渡すことがあります。これは遺体を扱ってくれたことに対するお礼、親切に対する感謝の意味です。

◆ビジネスシーンで寸志が使われるケース

ビジネスシーンでは主に2つのケースで寸志が使われます。

  • 会合の場
    まず挙げられるのは、親睦会や懇親会といった会合の場です。

    そのような場で上司が幹事役に「会費の足しにしてくれ」といった意味で幹事役に寸志を渡すケースが多く見られます。また、入社や退社、異動などで歓迎会や送迎会を開いてもらった際、主賓が会を開いてくれたメンバーにお礼の気持ちとして寸志を渡すことも多いです。そのほか、懇親会や親睦会などでは会費の代わりとして参加者が寸志を渡すケースもあります。

    会合で寸志を渡す際にはタイミングが重要です。なぜなら、会の終了後や会の途中で渡すと幹事役や主催者側でのお金の管理が複雑になってしまうからです。そうした負担をかけないためにも、寸志を渡すのは会の始まる前にしましょう。また、渡す際にはなるだけ目立たないようにすることも大切です。
  • 会社から支給される寸志
    会合のようなことがなくても、会社から社員に寸志が渡されるケースもあります。

    この場合の寸志とは、本来の給料ではないけれどもボーナスほどの額でもない、といった意味です。特に新入社員の場合、最初のボーナス月にはボーナスの代わりに寸志が支給される会社が多いです。

    求人票などに待遇として寸志が記載されている場合、最初のボーナス月のボーナスが寸志になるか、あるいは年に2回ボーナスの代わりにそれよりも少額の寸志が支給される、ということを表している場合が多いです。パートやアルバイトの場合にはボーナスが支給されないことも多いですが、代わりに寸志を支給していることを表しています。

ボーナスや賞与との違い

寸志は一体ボーナスや賞与となにが違うのか、疑問に感じる人も多いでしょう。

会社から社員に対して寸志が支給される場合、寸志もボーナスも会社から社員に支給される一時的な特別報酬、という意味において同じです。ただし、寸志の方がボーナスよりもより広い範囲において使用されます。

また、金額において寸志はボーナスのように給料何カ月分といった金額であることはあまりないでしょう。労働法においては、寸志やボーナスについて特に定められているわけではありません。就業規則に必ず支払うと記載されているわけでないのであれば、寸志やボーナスが支払われないからといって労働法違反にはなりません。

ボーナスは「仕着せ」が由来

そもそもボーナスという言葉はローマ神話の神「Bonus Eventus(ボヌス・エヴェントス)」だといわれています。「Bonus」には「良い」という意味があり、そこから給与以外の場面で支払われる特別な賞与のことをボーナスと呼ぶようになりました。

また、日本におけるボーナスを渡す習慣は江戸時代の「仕着せ」が由来だといわれています。「仕着せ」は商家において行われていたもので、奉公人が盆と正月に実家へ帰る際、家主が着物を与えていました。明治時代に岩崎弥太郎が設立した三菱商会がこの習慣を取り入れ、毎年海運業で得た利益の一部を報奨金として社員に分配したといわれています。

このことが日本全国の会社に広がり、今では多くの会社が毎年夏と冬にボーナスを支給するようになった、というわけです。


会計上、寸志とボーナスは同じ

使い方や由来が異なる寸志とボーナスですが、会計上ではどちらも給与とは別に支払われる賞与として同じ扱いになります。そのため、寸志には源泉徴収が発生する、ということを忘れてはなりません。また、寸志もボーナスと同じように賞与であることから、会計上は110万円までは消費税の非課税取引となります。


寸志を交際費の項目に入れることもある

寸志を社員ではなく社外の取引先等に渡すこともあるでしょう。その場合、寸志として支払った金額は勘定科目上は接待交際費に分類されます。交際費の対象である接待・供応・慰安・贈答その他のうち、贈答に該当するためです。この場合も、金銭の譲渡をしたのであれば非課税取引となります。

ご厚志やご芳志との違い

寸志を受け取った際に気をつけるべきポイントは、寸志は「粗品」のような言葉と同じように、渡す側の「ほんの少ししかありませんが」とへりくだった表現である、ということです。そのため、受け取った側が「寸志」と表現するのは先方に対して失礼になります。

また、寸志はビジネスシーンにおいては目上の者が目下の者に対して送るものです。そういったことからも、受け取った側は「寸志」という言葉は使わないようにしましょう。

たとえば、懇親会の場などで目上の誰かから寸志をいただいた場合、そのことを会場にいる他の参加者に知らせるのがマナーです。しかし、「寸志をいただきました」と受け取った側が言うのは失礼にあたります。そこで、寸志をいただいたことを誰かに紹介するような場合には「○○様からご厚志をいただきました」や「部長からご芳志をいただきました」などと言い換えるようにします。

「厚志」や「芳志」にはそれぞれ「相手がしてくれた親切」といった意味があります。その言葉に「ご」をつけることで、親切にしてくれた相手を尊敬する言い回しになるわけです。そのほか、「お心遣い」「お志」のような表現でもかまいません。

知っておくべきマナー

寸志は特にビジネスシーンにおいて気をつけるべきマナーがあります。ここからは、寸志を贈ったり受け取ったりする際にどういったことに気をつけなければならないかを詳しく説明します。

◆寸志は目上の人から目下の人へ贈るもの

まず重要なことは、寸志は本来目上の人物が目下の人物に対して贈るものだ、ということです。そのため、部下が上司に「寸志」として金品を贈ることは無礼になります。

とはいっても、目下の人物が目上の人物に金品を贈ることそのものがいけないというわけではありません。そういう場面に遭遇した場合には寸志ではなく、「御礼」「ご挨拶」「松の葉」などの表現を使うようにしましょう。

どういった会合なのかやどういったメンバーが参加しているのかによって、誰が寸志を包むのかは異なります。分からない場合は会の幹事や同じ役職・立場の人にどうするか尋ねてみるとよいでしょう。

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相場はいくらくらいがベスト?
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寸志として誰かに金品を渡す場合、その相場がいくらくらいなのかは場面によります。
一般的に会合などの場で寸志を渡すのであれば、その相場は5000~1万円程度です。会費と同額か、あるいはすこし多いくらいの金額にするとよいでしょう。

金銭ではなく品物で贈る場合、相場はあまり気にされない傾向です。会社から社員に対してボーナスの代わりとして寸志が支払われる場合には、1万〜10万円程度の間の金額であることが多いです。

どちらにせよ、寸志は本来「心ばかりの親切」といった意味合いのものです。そのため、受け取る側もあまり大きな金額を期待するべきものではありません。渡す側もあまり大きな金額を渡すと相手を戸惑わせてしまうでしょう。

◆寸志は熨斗袋に入れて

寸志としてお金を渡す場合、結婚式のようなお祝いの場であれば熨斗袋に入れて渡します。表に筆ペンで「寸志」と記載し、その下に氏名を書きます。連名の場合は右側から役職、年齢の高い順に記載しましょう。

夫婦の場合は夫の名前を先に記入します。友人同士であれば五十音順でもかまいません。また、4人以上の場合は書ききれないので代表者名だけを記載し、その左隣に「外一同」と記載します。その場合には全員の名前を和紙などの別紙に記載して中に封入しましょう。そして、裏側に金額を書きます。

仕事関係では白封筒も可

結婚式などお祝いの席で寸志を渡す場合、熨斗袋は花結びか赤棒のものを使うのが一般的です。葬儀の際には白黒の香典袋を使用するとよいでしょう。

しかし、仕事関係の場で寸志を渡す場合には熨斗袋ではなく白封筒に寸志と表書きをするだけでも問題ありません。もちろん、ビジネスの場合でも手元に花結びや赤棒の熨斗袋があればそれを利用することもできます。

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