「SPI」は多くの企業が採用!転職で受検する可能性があるその内容と対策とは

作成日:2021.04.12 更新日:2024.04.19

自分にとっての天職を見つけるために、今の仕事とは別の職業に挑戦することを考えている人もいるのではないでしょうか。働きたいと希望をする企業によっては競争率も高く、その中で採用されるためにできる準備はしておくほうが安心です。多くの企業では、採用試験の一環として「SPI」を行っています。そこで、この記事ではSPIの詳細とその対策方法について紹介します。

採用や転職でよく聞く「SPI」とは?

「SPI」とは、リクルートマネジメントソリューションズが開発した適性検査です。「Synthetic Personality Inventory(総合適性検査)」の略で、1974年に開発されて以来、多くの企業に採用されています。 2020年に行われた調査では、87.8%の企業が適性検査もしくは筆記試験を行っていることがわかりました。適性検査を行っている企業の多くにSPIが採用されており、2018年度の調査によると、年間利用社数は1万3600社(受検者数は204万人)です。 SPIは、基本的な知的能力や性格の特性などを知ることが可能です。企業側は、結果を面接の応募者について知るための参考情報として活用しています。 日本では少子化による人口減少が原因で、企業は常に人材不足に悩まされています。自社に合ったタイプの人材以外にも、今後教育を行うことで成長する人材も必要なのです。 SPIは、中途採用や人材の多様化にマッチした適性検査であることから好評となっています。 SPIの報告書は「非常に品質が良い」「わかりやすい」「実践的である」という点が評価され、選ばれている理由となっています。 開発されて以来、40年間でSPIの見直しを何度も行い、検査をより良いものにするために改善し続けているのです。見直しを主にするのは信頼性や妥当性、標準性です。 例をあげると、能力検査は各自のレベルに合わせて出題を変え、性格検査では嘘の回答をした場合、「自分をよく見せる傾向」が検出されます。 また、SPIの結果と入社後の評価を比較し、適性検査が妥当であったかどうかを確認も行っています。さらに、受検者数万人分の結果をランダムに集め、標準化してデータ収集も行っているのです。

SPIの気になる内容をチェック!

SPIの構成

能力検査

能力検査は「言語」「非言語」の2種類の問題に回答し、そこから知的能力を調べるものです。仕事に必要なコミュニケーション能力や思考力、新しい知識や技能を習得する際の基本能力がわかります。 そのため、この能力が高いほど仕事をするうえでの吸収力が高く、成長が速いといえるのです。能力検査は新卒向け、中途採用向け、事務職向けなど、採用をする人材によって内容を合わせることもできます。

性格検査

性格検査は、人柄や仕事への適応力を調べる検査です。質問を300問ほど行い、回答によってその人材を4つの側面(18種類)に分けることができます。 結果は一般水準と比較し、その人物の思考や行動を探ります。SPIの性格検査はその人材の基本的特徴や仕事面における特徴がわかるため、立体的な人物像をイメージできるようになるのです。

SPIの受検方法

テストセンター

こちらは専用会場でPCによる受検をするタイプです。指定期間の中で都合が良い日、場所の会場を予約したうえで受検します。予約や変更は当日の1時間前まで可能となっており、会場も全国に用意されているので安心です。

WEBテスティング

指定された期間内に自宅や学校など都合が良い場所からPCで接続して受検する方法です。インターネット環境があったとしても、受検可能なのはあくまでもPCであり、スマホからは許可されていないので注意しましょう。

ペーパーテスティング

こちらは、紙に記載された質問にマークシート形式で回答していくタイプです。応募した企業が用意した会場で受検します。

インハウスCBT

応募先の企業内で、その企業にあるPCから受検をするタイプです。
インハウスCBT以外は受検後すぐに結果をダウンロードすることができます。インハウスCBTに関しても、受検から3時間後には結果を知ることが可能です。

企業の多くがSPIをスクリーニングに使用

SPIは適性検査であり、結果がでるものです。結果次第では、応募した企業から採用を断られてしまうケースも少なくありません。

SPIを採用している企業の目的

スクリーニング

多くの企業がSPIをスクリーニングするための1つの方法として活用しています。特に、応募者が多い大手の企業では、人材の見極めを効率化するために必要な検査として利用されている傾向があります。 大勢いる応募者の中から自社に必要な人材を見つけるため、優先順位をつけるのです。SPIの結果のみで採用結果をだす企業は稀とはいえ、重要であることには間違いありません。 SPIは点数ではなく、20~80までの偏差値で評価されます。さらに、言語と非言語それぞれが偏差値から7段階に分けられ、その合計によって合否が判断されるのです。 ただし、合格ラインは企業によって違うため、どのレベルがあれば合格できると断言することはできません。しかし、一般的には、大手や有名企業などに採用されるためにはSPIの偏差値が50~60程度は必要だといわれています。

面接で応募者のことをより理解しやすくするため

面接では、直接応募者の言動を見て採用の合否を決めなければなりません。しかし、面接でやりとりをする時間は短く、その時間内で正確に応募者のことを知るのは困難です。 そのため、SPIが面接の補助として採用されています。

内定者の自己理解や相互理解のため

内定者のなかには採用されても今後のことを想像し、不安を感じる人が少なくありません。SPIは、自己理解を深めるための受検者本人用報告書も用意しています。 それを確認することで自分自身についての理解を深めたり、内定者同士で見せ合って相互理解を深めたりすることができます。

採用後の配属先を決める際の参考に

応募者を分析したSPIの結果を参考に「入社後にどちらの部署へ配属するのが良いか」を判断する企業もあります。 各部署ならではの空気感があり、仕事内容も違います。入社後の慣れていない時期はストレスも溜まりやすく、合っていない部署に配属されてしまうとモチベーションが保持できなくなる可能性もないとはいえません。 SPIの結果は本人に合っている部署を割り出しやすくなるのです。

SPIのおすすめ対策方法

SPIは、事前に対策をすることも可能です。こちらでは、どのような方法があるのか紹介します。

とにかく問題集を多く解く

SPIに出題される傾向がある内容が載せられている問題集を購入し、1問でも多く解いて問題に慣れることが重要です。問題集はスマホアプリで場所を問わずできるものや書籍タイプなどがあります。 書籍タイプは種類もさまざまあるため、レビューや実際に手にとって内容を参考に、自分に合ったものを見つけるのがポイントです。無料で入手できるものもあるので、多くの問題を解くためにそういったサイトを利用するのも良いでしょう。

模擬試験を受けてみる

模擬試験を受けることができるサイトもあります。模擬試験は、本番さながらの雰囲気を感じながら問題を解くことができるのが良いところです。 問題集でSPIに慣れ、自信がついたら模擬試験でどのような結果が出るのかをチェックすると、自分の進歩具合がわかりやすいでしょう。SPIの問題を慎重に解いていたことが原因で、全問を解く前に時間切れになってしまった人もいます。 特に、テストセンターやWEBテスティングは1問あたりの時間制限があるので焦ってしまい、うまく回答できなかったという声もあります。時間配分を把握するためにも、模擬試験を受けておくのは有効です。

SPIに英語科目がある場合はTOEICの勉強もおすすめ

企業によっては、英語が試験科目として出題される場合があります。その対策として、ビジネス英語にも役立つTOEICを勉強しておくのがおすすめです。 TOEICに出てくる問題はSPIの英語問題と似ている部分もあるといわれており、あらかじめ勉強しておけば精神的な余裕をもつことができます。 しかも、TOEICで高得点を取得していれば、英語が必須の企業に応募する際にもメリットがあります。入社後の対応で優遇されたり、試験においても有利になったりすることが期待できるからです。

性格検査は正直に答えよう

勉強で対応できるものであれば事前に対策できますが、性格検査については答えの正解がありません。 そのため、当日は出題される問題に正直に答えるのが最も良い方法だといえます。性格検査は嘘の回答をしてもバレてしまう仕組みになっているので、自分を良く見せようと偽りの回答をしても意味がないのです。 逆に、企業側がネガティブな印象を抱くことにつながります。企業側に自分のことを知ってもらうチャンスだと考え、正直に答えるようにしましょう。

SPIはさまざまな種類がある

就職や転職をする際にSPIは必須となっています。しかし、SPIといっても1種類のみというわけではありません。「SPI-H」「SPI-U」「SPI-G」という3種類が用意されています。 SPI-Hは高卒の人向け、SPI-Uは大学新卒向け、SPI-Gは中途採用者向けです。それぞれ出題内容や難易度のレベルが違いますが、検査項目は変わりません。

SPI-Uの出題傾向

こちらは難易度の幅が広く、やさしいものから難しいものまで出題され、問題数もほかの2つと比較すると多めです。領域や漸化式が出題されることが多いので、復習をしておくようにしましょう。 N進法・植木算については出題されません。非言語の難易度は言語より高めですが、どちらもバランスよく勉強するほうが無難です。

SPI-Gの出題傾向

転職の場合は、この中でSPI-Gを受検することになります。傾向としては言語問題が難しく、資料の解釈について出題されることも多いです。 資料となる表を参考にしながら回答していかなければならず、表から正確な情報を読み取る能力が必要になります。問題集でしっかりと対策をする必要がある項目でしょう。 このようにSPIは種類によって出題傾向が違うため、特徴をチェックしたうえで勉強をしっかりすれば、自信をもって受検することができます。専用会場や企業が用意した会場で受検するのか、自宅で受検するのかでは緊張度も違うため、当日の雰囲気をイメージトレーニングしながら模擬試験を受けるのも良いでしょう。

SPIは自分を企業にアピールできる手段の1つ

転職や就職の際にSPIが必須だといっても過言ではなく、あらかじめ対策をしておくことで当日も落ち着いて受検することができます。 SPIの種類によって難易度が変わるため、その点も重視した勉強をするのがおすすめです。性格検査は独自のシステムによって偽りの回答はバレてしまうので、正直に回答するほうが良いです。 問題集や模擬試験を活用しながら、希望する企業で働く夢を叶えましょう。

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