転職活動や就職活動をしていると、しばしば「三交代勤務」の求人を目にすることがあるのではないでしょうか。一体どのような働き方なのか、気になる人も多いでしょう。
この記事では、この三交代勤務の働き方について解説します。採用していることの多い業界・職種や、三交代勤務を選ぶことによるメリット・デメリットなどにも触れていきます。
転職・就職先の選択肢を広げたり絞り込んだりするための参考にしてください。
三交代勤務の働き方とは?
三交代勤務とは、そもそもどのような働き方を指すのでしょうか。
概要を整理しながら、シフト例や採用される理由もみていきましょう。
三交代勤務とは
1日は24時間ありますが、これを3分割し、それぞれの時間帯で勤務する働き方が「三交代勤務」です。
時間の区切り方は企業や勤務先によりまちまちですが、同じ企業や勤務先であればあらかじめ固定されているところが多いでしょう。
3つに分割された時間帯はそれぞれ日勤・準夜勤(前夜勤)・夜勤(深夜勤)や1直・2直・3直などと呼ばれることが多いようです。
働き方が均等になるよう在籍している従業員たちの勤務時間帯を定期的に入れ替えるケースもあれば、従業員の都合や希望等に合わせて勤務時間帯を固定するケースもあるなど、運用方法も企業や勤務先によってまちまちです。
三交代勤務のシフト例
24時間は8時間ごとに3分割できるため、7:00〜15:00、15:00〜23:00、23:00〜翌7:00という分け方が三交代勤務のシフト例として考えられます。このケースであれば実働は7時間となるでしょう。
実働時間を8時間確保するために、8:00〜17:00、16:00〜翌1:00、0:00〜9:00など、9時間拘束の1時間休憩となるシフトを組んでいる企業も少なくありません。
三交代勤務を取り入れている企業や職種の一部では、出勤している従業員の休憩時間が重ならないよう少しずつ時間をずらして食事をとるなどするケースもみられます。
三交代勤務を採用する理由
三交代勤務を取り入れている企業には、時間やエネルギーを有効に使うことで無駄を省き、あるいは業務を効率化することで売上や利益率を上げるなどの狙いがあります。
例えば、製品を製造する際に使用する機器の中には、稼働や停止を繰り返す際に電力など大きなエネルギーが必要になるものや機器に負担をかけてしまうケースがあります。
そのような製造ラインや機器では稼働と停止を繰り返すことが節約にはならず、逆にコストがかかってしまうことがあるのです。常に従業員を配置し稼働し続けることで、そのような機器のコストや負担を減らすことができます。
三交代勤務制度を採用し製造ラインを常時稼働させておけば生産性も高めることができるため、企業の売上や利益率の向上へとつなげることもできるのです。
企業の売上や利益率とは関係なく人の安全や生命、あるいは利便性等を守るために常に人員を配置しておかなければならない業態や職種もあります。
そのような業界や職種でも三交代勤務制度を導入し、世の中の動きや人々の生活などに支障が生じないようにしているのです。
業界や職種、企業等により思惑は異なりますが、三交代勤務で働く人たちが非常に重要な役割を果たしていることは間違いないでしょう。
三交代勤務を採用している業界や職種
では、三交代勤務は具体的にどのような業界や職種に採用されているのでしょうか。
主な業界や職種をみていきましょう。
24時間稼働の工場
三交代勤務で代表的な業態といえば工場勤務ではないでしょうか。工場では製造ラインなどを稼動するための機器やシステムを度々停止させることができません。
そのために三交代勤務制度を取り入れ、常に製品を製造できる状態を保ち、コスト削減を図るとともに生産性を高めているのです。
コンビニや飲食店などの24時間営業店舗
コンビニエンスストアや漫画喫茶・ネットカフェ、24時間営業のスーパーやファミリーレストランなどの中にも三交代勤務を取り入れている企業や店舗があります。
これらの業界では三交代勤務のみで回している店舗はそこまで多くなく、正社員やそれに準ずる従業員のみ三交代で勤務し、そうした人たちを補う目的でアルバイトやパートを雇用しているケースがほとんどでしょう。
病院や介護施設
入院施設や救急科のある病院や老人ホームなどの介護施設では、医師や介護士、看護師などの職員がいない状態を作ることができません。
何かあった際には即座に対応できるよう24時間体制で勤務・待機している必要があります。これらは三交代勤務を取り入れている代表的な業界や職種といえるでしょう。
一部の工場や飲食店などとは異なり、日勤・準夜勤・夜勤を定期的に入れ替える三交代勤務制度を取り入れているケースが大半です。
消防署・警察署・自衛隊など
消防署や警察署で働く人たちなど一部公務員も三交代勤務で仕事をしています。
病院や介護施設と同様に、何かあった際に即対応できるよう昼夜問わずに待機しておく必要があるためです。日勤・準夜勤・夜勤を順番に担当する点も、病院や介護施設と同様です。
また、緊急事態が生じれば自宅にいる職員が曜日や時間帯にかかわらず呼び出されるケースもあるでしょう。
ホテルなどの宿泊施設
一部の宿泊施設では常にコンシェルジュや受付、管理人等を配置しておく必要があるため、三交代勤務制度を取り入れているところがあります。
宿泊客や利用客が起こすトラブルなどにも対応しなければならないので、夜でもまったく人がいない状態を作ることはできません。
病院や警察署などと比較すると緊急事態に出くわすケースは少ないかもしれませんが、三交代勤務が避けられない業態の一つといえるでしょう。
警備員
ビルや商業施設に常駐する警備員も、日勤・準夜勤・夜勤と交代制で勤務しているケースが多々みられます。
24時間営業していない施設などでも、深夜や早朝の不法侵入等を防ぐ目的で警備員が監視や見回りなどをしなければいけません。
規模の大きな駐車場や工事現場などでも同様に、警備員が三交代勤務で監視等を行っているところがあります。
水道・電気・ガスなどインフラ関係
インフラの工事や整備などを行う専門職でも三交代勤務制度が採用されています。
特に水道や電気、ガスは人の命や安全に関わる重要なインフラです。トラブルがあれば即座に対応しなければならないため、エンジニアなどは常に待機している必要があるのです。
日本では地震や台風などの自然災害が頻発することもあり、万が一に備えインフラ業界の三交代勤務は避けられないでしょう。
三交代勤務の仕事を選ぶメリット
三交代勤務制度は、業界や職種によっては人々の生活に密接に関わり社会にとって重要な存在となっていることが理解できたのではないでしょうか。
では、人や世の中の役に立つこと以外に三交代勤務の仕事を選ぶメリットはあるのでしょうか。いくつかピックアップして解説していきます。
給与が高くなる可能性がある
早朝手当や夜勤手当などにより、昼間に同じ職種で同じ時間労働するよりも高い給与を受け取れる可能性があります。
三交代勤務制度を導入している職場であっても昼間のみの勤務であれば時間帯に関する手当は付きません。
しかし、担当する勤務時間帯が定期的に変わる職場で働くか、もしくは自ら積極的に夜勤を選択することで基本給に手当を加算してもらい収入を上げることができるのです。
勤務時間が明確であり残業が少ない
三交代勤務は残業が発生しづらい制度ともいえるでしょう。
勤務時間帯が3分割されており、それぞれの時間帯を担当する人が常にいるシフト制のため、あらかじめ決まった時間で出退勤できるケースが多いのです。
病院や警察署、インフラ関係では状況により必ずしも残業を避けられるわけではありません。
しかし、工場や飲食店での勤務、警備職などでは次のシフトの従業員がこないなど特段のトラブルや事情に見舞われない限り時間通りに退勤することができるでしょう。
勤務時間が明確であり残業が少なければ、プライベートな時間を確保しやすいといったメリットもうまれます。
平日の昼間に時間的余裕ができる
夜勤を積極的に選択することで、平日の昼間に時間的な余裕を確保することが可能です。
前後の勤務状況によっては昼間に睡眠をとらなければいけませんが、上手に調整することで昼間にしかできないことをしやすくなるでしょう。
例えば、役所での手続きや医療機関の利用、飲食店の利用や商業施設での買い物などが挙げられます。パートナーと交代で子供の面倒をみることなどもしやすくなるのではないでしょうか。
通勤ラッシュを回避できる
三交代勤務の中でも夜勤を選択することで、通勤ラッシュを避けて出退勤することが可能です。
定期的に勤務する時間帯が変わる職場だったとしても、常に通勤ラッシュに悩まされることはなくなるでしょう。
もちろん出退勤する時間帯や利用している交通機関などにより、このメリットの有無や程度は変化します。自動車通勤の人でも勤務時間帯によっては渋滞などを避けることができるでしょう。
三交代勤務のデメリット
続いて、三交代勤務のデメリットについて考えます。人により感じるデメリットは異なるでしょう。
しかし、参考にしながら就職先や転職先を選択していくことで、より自分に合った働き方が見つかるのではないでしょうか。
生活サイクルが不規則になる
日勤・準夜勤・夜勤を定期的に入れ替えて働く三交代勤務の場合、当然ながら働く時間帯が一定に定まることはありません。
早朝出勤の期間もあれば、日が落ちてから出勤する期間もあります。食事や就寝のタイミングを定めることが難しいため、時間や曜日の感覚が狂ってしまう人も出てくるでしょう。
このように生活サイクルが不規則になることは避けられないのです。もし生活サイクルを崩したくないのであれば、三交代勤務の体制であっても特定の時間帯のみ働けるような企業や勤務先を選択する必要があります。
健康や体力面で負担が大きくなる
生活サイクルが乱れると、健康面や体力面に支障が出てきてしまう人もいるでしょう。
健康維持のために必要な睡眠の質が低下したり、時差ぼけのような感覚が続いたりすれば集中力が保たれず、精神的な負担となってしまうこともあるかもしれません。
常に体調不良を感じてしまい、最悪の場合、仕事を続けられなくなる人も出てくるのではないでしょうか。
すべての人に当てはまることではありませんが、年齢や体力などと相談しながら三交代勤務を選択するか否かを決める必要がありそうです。
家族や友人と予定や時間を合わせづらい
社会人の多くは、朝から夕方・夜にかけて働くスタイルを選んでいるのではないでしょうか。
三交代勤務の仕事を選択し日勤や夜勤が入れ替わるスタイルで働くと、昼間活動している家族や日中働いている友人と一緒に過ごす機会が減ってしまうことが懸念されます。
少なくとも準夜勤や夜勤の日は、家族や友人と日が暮れてから食事やお酒を楽しんだり外出したりすることはできません。
三交代勤務を採用している企業や職場は土日休みではないケースも多いので、週末に予定を合わせることもしづらくなるでしょう。