ベンダーとは何? 用語の意味からIT業界における立ち位置まで解説!

作成日:2021.11.19 更新日:2024.04.19

ビジネスシーンでは「ベンダー」という言葉が頻繁に使われます。特に、IT業界では耳にする機会も多いのではないでしょうか。 ベンダーは日本でも一般化しつつある言葉なので、社会人なら正しく意味を押さえておきたいところです。この記事では、IT業界を中心にベンダーの意味や由来、関連する語句などについて解説していきます。 

ベンダーの基本情報! IT業界以外でも使われている?

何気なくベンダーという言葉を使ってきた人にとって、改めて定義付けするのは難しいのではないでしょうか。この段落では、ベンダーとは何かの定義、基本情報について説明します。
  • ◯おおまかには販売会社のこと

    製品を消費者やユーザーに届ける、「販売会社」を指す言葉がベンダーです。たとえば、家電や家具を仕入れて販売している店舗は消費者にとってのベンダーだと考えることができるでしょう。 そのほか、衣類や日用品を販売している店舗もまたベンダーの一種です。企業や店舗が消費者に商品・サービスを販売しているのなら、広義のベンダーに該当します。 一方でベンダーは、IT業界用語のように使われているケースも少なくありません。しかし、実際は業界特有の言葉ではありません。

  • ◯IT業界におけるベンダーって何?

    他業種とIT業界で、ベンダーの意味が少し違うことも知っておきましょう。 IT製品を専門的に販売している企業もまた、ベンダーの一種です。ただし、IT業界はハードウェアからソフトウェア、周辺機器にいたるまで関連製品が非常に多くなっています。 企業ごとに活動のあり方もさまざまです。そのため、業界内ではベンダーが「メーカー」や「サプライヤー」といった類語と混同されてしまうケースも珍しくないのです。IT業界でベンダーといえば、他の業界とニュアンスが異なってきます。 IT業界のベンダーとしては「ハードウェア・ベンダー」と「ソフトウェア・ベンダー」などがあります。ハードウェア・ベンダーはパソコンやサーバーなど、ハードの部分を担っているベンダーのことです。そして、ソフトウェア・ベンダーは、さまざまなソフト類を販売しているベンダーのことです。 皆さんもご存じのように、ソフトウェアといってもさまざまで、生産管理や会計、アンチウイルスなど多岐にわたります。その中でも法人向け、一般向けといった住み分けはあるものの、エンドユーザーにIT製品を提供している販売元はまとめてベンダーと定義できます。

  • ◯ビジネスにはベンダーとの関係が大切

    年々、ベンダーが注目されるようになってきたのはビジネスシーンで重要な役割を占める存在だからです。 現代のビジネスでは、ある企業が別の企業のスキルや経験を借りて、製品を開発してもらうパターンも少なくないでしょう。しかし、そのときに開発だけしか任せられず、保守や調整を担当してもらえないのであれば顧客からのクレームにつながりかねません。 さらに、作りたい製品があったとしても具体的な依頼方法については、ベンダー側とのコミュニケーションが重要になってきます。注文者の意図をくみ取り、建設的な提案をしてくれるベンダーとの絆が必要です。 特に、IT業界は専門性が求められる分野だけに、ベンダーに頼る領域は広くなるでしょう。良好な関係を築きつつ、製品の開発や保守についても信頼できるベンダーを見つけることはビジネスの根幹をなすテーマのひとつなのです。

ベンダーは英語で何というの? 単語の由来を解説!

もともとベンダーは英単語から派生した言葉です。また、ビジネス用語と違った意味で使われることもあるので注意しましょう。この段落では、ベンダーの由来について解説します。

語源は「vendor」

英語で書くと、ベンダーは「vendor」となります。vendorは「売る」を意味する単語、「vend」の名詞形です。直訳すれば、「売人」や「行商人」で、かつてはそのような意味で使われていました。そこから問屋や供給会社もベンダーと呼ぶようになり、現在の意味へと近づいていったのです。

自動販売機もベンダー?

正確な英語だと、自動販売機は「vending machine」です。しかし、日本では自動販売機をベンダーと呼ぶことも少なくありません。さらに、自動販売機を運営したり設置したりする企業もベンダーと表現されてきました。 ただ、ここでの意味は販売会社として使われているベンダーと別物なので、混同しないようにしましょう。

ビジネスではよく使われる! ベンダーがつく単語もチェック

ベンダーの前後に別の単語をつけた言葉もビジネスではよく使われています。ここからは、ベンダーがつく言葉の代表例について意味を説明します。

ITベンダー

主にIT業界で活動し、ベンダーの役割を担っている企業の呼び名です。 ただし、その意味する範囲は広く、ITに関する製品、サービスを売っている企業全般に用いられている言葉だといえるでしょう。たとえば、ハードウェアやソフトウェアの販売を行っている企業はITベンダーの代表例です。一方で、システムやサポートを商売にしている企業もITベンダーの一種です。 そのほかでは、商品やサービスのアフターケアを担っているところもITベンダーと呼ばれています。

開発ベンダー

販売と同時に、製品やシステムの開発も行っているベンダーのことです。 IT業界ではハードウェアやソフトウェア、システムを自社開発できる企業も少なくありません。こうした企業が開発ベンダーと呼ばれています。開発段階からクライアントの要望をヒアリングし、オリジナルの商品を作り上げていくことが大きな特徴です。 ITベンダーに近い意味ではあるものの、開発まで可能かどうかで区別されています。

ベンダーロックイン

情報システムなどでは中核部分を特定企業に依存していることが少なくありません。この場合は、その企業にメンテナンスからサポートまで気軽に頼めるメリットが得られます。 そのかわり、他の企業に切り替えたくても引継ぎができず、結局は同じところに頼み続けるしかない状況へと陥ってしまうことがあります。この状態を「ベンダーロックイン」といいます。 ベンダーロックインが起こると、後継機種も同じ企業から探さなくてはなりません。無理に乗り換えを行おうとすると、莫大な費用と時間がかかってしまう恐れも出てきます。

ベンダーマネジメント

IT分野で使用されてきた言葉のひとつです。システム開発を始めるにあたって、依頼先をまとめていくことを意味します。多くの場合、クライアント側の企業で担当者を決め、ベンダーマネジメントを進めていく流れとなります。 ただし、ベンダーマネジメントには「選定の候補が多すぎる」「依頼先との関係を築くのが難しい」といった課題も少なくありません。そこで、ベンダーマネジメント組織である「VMO(Vender Management Office)」を利用することも増えてきました。 VMOは企業とベンダーの間に入り、交渉を担ってくれます。また、ベンダーの実態を深く分析、評価してくれるので企業とのミスマッチも防げます。

ベンダーコントロール

システム開発を外注するとき、依頼先と交渉することがベンダーコントロールです。ベンダーコントロールはベンダーマネジメントと意味が似ています。 ただ、ベンダーコントロールは依頼先を選定した後、社内の要望を伝え、それがしっかり反映されるかを監視するところまで業務に含まれます。もしも要望が無視されていると感じたらすぐにベンダーへと伝え、軌道修正してもらわなくてはなりません。 主に社内のシステムエンジニアが抜擢される傾向にあり、問題解決能力や柔軟な判断力が求められるポジションです。

シングルベンダー

ある企業が、特定のベンダー1社から製品、サービスを調達している状態です。発注が簡単なうえに、機材の互換性を心配することもほとんどありません。 ただし、依頼先を切り替えようとしたときに手間がかかるのはデメリットです。なお、1社の商品のみ販売している企業をシングルベンダーと呼ぶこともあります。

マルチベンダー

シングルベンダーの対義語です。複数の企業の商品・サービスを組み合わせながら自社の環境を整えていくことです。機材同士の互換性に困るケースが出やすい一方で、特定のベンダーへの依存性を弱められるのがメリットです。 万が一、ベンダーを切り替えたくなった際にも引継ぎは比較的スムーズに進むでしょう。そのほかでは、複数社の商品を販売している企業もマルチベンダーと表現します。

ベンダーに関連する用語には何がある? メーカーやサプライヤーとの違いとは

メーカーやサプライヤーといった言葉は、ベンダーと似て非なる意味を持っています。ここからは、ベンダーの関連用語について解説していきます。

メーカーとは「製造元」

商品を販売する企業がベンダーなら、メーカーは「製造元」を意味する単語です。家電を例に出すなら、工場で機器を製造している企業がメーカーです。そして、製品を仕入れて消費者やユーザーに販売している企業、店舗がベンダーです。 ただし、IT業界においてはメーカーとベンダーを同じ意味で使っていることも少なくありません。なぜなら、ある企業がIT製品を開発から販売まで一貫して担当しているケースは少なくないからです。 大手企業ほど、1社でベンダーとメーカーの役割を兼ねているといえるでしょう。そのため、「IT業界で製品やサービスを提供している企業」という意味で、ベンダーと呼ばれる機会が多くなってきました。

サプライヤーとは

「供給元」を表す言葉がサプライヤーです。ある商品が市場に出回るとき、製造元と販売元をつなぐ役割だといえるでしょう。 引き続き家電を例にすれば、製造会社が直接店舗に機器を卸すとき、「製造会社がサプライヤーを兼ねている状態」となります。そのかわり、製造会社と店舗の間に別の企業が入り、卸売りをしているなら関係が変わってきます。 卸売業者には製造会社が、店舗には卸売業者がサプライヤーになるのです。 サプライヤーとベンダーの違いは、「誰に対して製品を供給するか」で定義できます。製品を企業に向けて供給している場合、そこはサプライヤーに該当します。それに対して、消費者に向けて製品を販売している企業はベンダーだといえるでしょう。 ただし、IT業界においては企業向けの商品が非常に多いので、サプライヤーとベンダーの意味が同じになっていることもあります。

ベンダーへの転職を目指すなら幅広い視野を持とう!

IT業界でベンダーという役割は一般的になりました。しかし、ほかの業界でベンダーがないわけではありません。エンドユーザーを相手にしている企業や店舗はベンダーと表現できます。 もしベンダーへの転職を考えているなら、さまざまな業界に注目してみましょう。その中で、自分の経験や専門性を生かせる企業に応募することが重要です。

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