面接の時に使うのは「御社」か「貴社」か?使い分けを徹底解説

作成日:2022.10.14 更新日:2024.04.19

転職活動中は、応募先の企業に対して「御社」や「貴社」という言葉を使用します。しかし、両者はシーンによって使い方が異なる言葉です。 転職活動時に正しい使い方ができるよう、本記事では「御社」と「貴社」の意味をはじめ、使い分け方法などを解説していきます。

御社と貴社の意味とは?

「御社」と「貴社」は、どちらも「相手の会社」という意味の尊敬語です。読み方は、以下のように読みます。
・御社:おんしゃ ・貴社:きしゃ
転職活動中、応募先の企業に対して「あなたの会社」「こちらの会社」「おたくの会社」などといった言葉を使うのは、失礼に当たります。 社会人のマナーとして、相手の企業を立てる言葉となる「御社」「貴社」を使うようにしましょう。また、「御社」「貴社」を使う際は、二重敬語に注意が必要です。 例えば、「御社様」「貴社殿」といった具合に、うしろに「様」「殿」をつけてはいけません。なぜなら、「様」「殿」は敬語だからです。 すでに、頭に敬語の「御」「貴」がついているため、二重敬語を使っていることになります。 日本語において、敬語を重複して使うことはマナー違反です。 自分では丁寧に接しているつもりでも、相手の企業の人事担当者からは「きちんとした敬語が使えない」「ビジネスマナーを知らない」といったマイナス評価を下されてしまう可能性があるため、注意しましょう。 ちなみに、相手の会社がクライアントで自分の会社のことを謙遜して伝える場合は「弊社」という言葉を使用します。相手の会社と上下関係がない場合、自分の会社を表す言葉は「自社」です。 「弊社」も「自社」も、ビジネスマナーとして使います。 しかし、転職活動中、面接などで現在自身が勤めている会社のことを「弊社」「自社」といった言葉で表現するのはよくありません。 転職中は、「現職」「現在の勤め先」「今の在籍企業」という言葉を使用するようにしましょう。もし、退職後に転職活動を始めた場合は「前職」「先日退職した企業」「以前の勤め先」といった言葉を使うようにします。

御社と貴社の使い分け方とは?

「御社」と「貴社」は、同じ意味を持つ言葉ですが、「御社」は話し言葉で「貴社」は書き言葉という違いがあります。そのため、転職活動中でも使うシーンが異なるのです。 では、転職活動中に「御社」と「貴社」をどのように使い分ければよいのでしょうか。

話し言葉の場合は「御社」

まず、話し言葉の「御社」は面接や面談、会社説明会など、相手の会社の面接官と直接話すときに使います。ケース別の使用例は、以下の通りです。
 

【面接で意気込みを聞かれたとき】

「ぜひ御社で、自分の〇〇〇〇〇という経験を活かしたいと考えております」

【志望動機を聞かれたとき】

「御社の〇〇〇〇〇という企業理念に深く共感し、今回、応募いたしました」

【何かを質問するとき】

「御社の〇〇〇〇〇について、詳しくお教えいただけますか」

【電話で面接日時を確認するとき】

「それでは、〇月〇日〇時に御社に伺ってもよろしいでしょうか」
「御社」は、転職活動中も使えますが、転職先の企業で働き始めてからも有効です。

書き言葉の場合は「貴社」

次に、書き言葉の「貴社」は応募書類やメールなど文字にするときに使います。
 

【履歴書やエントリーシートなどの応募書類を送るとき】

一緒に送付状をつけるのがマナーです。その際は、「拝啓○○の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」というように時候のあいさつとともに「貴社」という言葉を使用しましょう。

【メールで面接の日時を確認するとき】

「〇月〇日〇時に貴社にお伺いします」と書きましょう。
「貴社」という言葉も転職活動中だけでなく、転職先の企業で働き始めてからも使える言葉です。とはいえ、緊張のあまり、ついうっかり面接中に「貴社」と言ってしまうこともあるでしょう。 そのようなとき、面接官との会話を遮って「申し訳ございません。貴社ではなく、御社でした」という謝罪は不要です。面接官とそのまま会話を続けることを優先し、次から言い間違えないようにすれば問題ありません。 企業宛のメールに「御社」と書いてしまったときも同様です。「すぐに謝罪メールを送ったほうがよいのでは?」と思ってしまう人もいるでしょうが、それだけのためにメールする必要はありません。 次回、送信時に気をつけるようにしましょう。ただし、公的な書類に誤って話し言葉の「御社」と書いてしまった場合は、「貴社」と書き直した書類を再提出したほうがよいケースもあります。 基本的に、御社と貴社の使い方を間違ったからといって、即不採用になるわけではありません。「御社」と「貴社」をはじめ、言葉の使い方はビジネスパーソンのマナーとして大切といえます。 しかし、それ以上に転職活動では自分の意気込みや志望動機を伝えることのほうが重要です。使い分けを意識するあまり、「自分を上手にアピールすることができなかった」ということがないように気をつけましょう。 ただし、何度も間違いが続くと「ビジネスマナーを心得ていない」「うっかりミスが多い」などと面接官にマイナスの評価を下されてしまう可能性がある点は心得ておきたいポイントです。 ちなみに、昔は「御社」という言葉は使われず、話すときも書くときも「貴社」という言葉で統一されていました。 のちに、「御社」という言葉が生まれ、「御社」と「貴社」を使い分けるようになったのです。これは、「貴社」という言葉に同音異義語が多いからといわれています。 例えば、「貴社」の同音異義語としては「記者」「汽車」「帰社」といった言葉があり、話している最中、これらの言葉と「貴社」を混同してしまう可能性がありました。 そのため、話すときのみ「御社」という言葉を使うようになったのです。しかし、文字にしたときはこれらの言葉と混同してしまう心配がないため、そのまま「貴社」という言葉を使い続けています。

ビジネスメールで「貴社」を使うときの例文

ビジネスメールでは、書き言葉である「貴社」で相手の企業を表現します。「貴社」の使い方に迷っているときは、以下に紹介するビジネスメールの例文を参考にするとよいでしょう。
○○株式会社 ××様 本日はご多忙の中、面接のお時間を割いていただき、誠にありがとうございました。貴社の業務内容やビジョンを伺い、貴社で働かせていただきたいという気持ちが一層強くなりました。 本日の面接でお話ししたように、私の強みを活かして貴社のご発展に貢献できればと考えております。 (中略) それでは、末筆ながら貴社のますますのご発展を祈念いたします。

銀行や学校の使い方には要注意!

応募先が企業ではなく、学校や銀行の場合には「御社」「貴社」という言葉は使いません。それぞれに別の言葉を使って表現することが必要です。

学校の場合

学校の場合は、「御校」「貴校」になります。学校の「学」の代わりに「御」「貴」という敬語をつけて、尊敬の気持ちを表現するのです。 学校であれば、小学校・中学校・高校・大学・専門学校なども、すべて「御校」「貴校」となります。読み方は、以下の通りです。
・御校:おんこう ・貴校:きこう
面接や面談、会社説明会などで話し言葉として使う場合は「御校」、履歴書やエントリーシートなど書き言葉で使うのであれば「貴校」など使い分けましょう。

学園や学院などの場合

学校が「○○学園」や「○○学院」という名称の場合は、「御校」「貴校」という言葉を使いません。「学園」の場合、話し言葉では「御学園」、書き言葉では「貴学園」となります。読み方は、以下の通りです。
・御学園:おんがくえん ・貴学園:きがくえん
同じように「学院」の場合、話し言葉では「御学院」、書き言葉では「貴学院」です。読み方は、以下のようになります。
・御学院:おんがくいん ・貴学院:きがくいん
学校なのか、学園なのか、それとも学院なのか、転職を希望する先の学校名に合わせて使い分けるとよいでしょう。転職活動以外のビジネスシーンでも「御校」「貴校」「御学園」「貴学園」「御学院」「貴学院」といった言葉は使うことができます。

銀行の場合

銀行の場合は、「御行」「貴行」になります。他の例と同様に、話し言葉では「御行」、書き言葉では「貴行」です。読み方は、以下のように読みます。
・御行:おんこう ・貴行:きこう
ただし、「御行」の場合、声に出すと「御校」との違いが分かりにくいため、話し言葉の場合は「〇〇銀行様」と呼ぶケースもあります。 「貴行」の場合も、声を出すと「貴校」と同じですが、こちらは書き言葉のため、「〇〇銀行様」とする必要はありません。しかし、「貴行」と「貴校」は書き間違いをしやすいため、注意するようにしましょう。

信用金庫の場合

希望する転職先が銀行ではなく、信用金庫の場合もあるでしょう。信用金庫の場合は、話し言葉では「御庫」、書き言葉では「貴庫」になります。読み方は、以下の通りです。
・御庫:おんこ ・貴庫:きこ
ただし、関係者以外、あまり一般的に広く浸透していない言葉となるため、転職活動以外では「○○信用金庫様」としても問題ありません。

病院の場合

病院は、「御院」「貴院」を使います。話し言葉では「御院」、書き言葉では「貴院」です。読み方は、以下のように読みます。
・御院:おんいん ・貴院:きいん

市役所や区役所、県庁などの場合

それぞれに、「御庁」「貴庁」を使います。話し言葉では「御庁」、書き言葉では「貴庁」です。読み方は、以下のように読みます。
・御庁:おんちょう ・貴庁:きちょう
ただし、これらの言葉は転職活動以外では役所間で使う言葉です。そのため、一般的なビジネスシーンでは「○○区役所」「○○県庁」としても問題ありません。

宛名書きの「御中」と「様」の使い分け方

履歴書を郵送するときやメールを送るときは宛名書きが必要ですが、こうした場面で間違えやすいポイントに、「御中」と「様」の使い分けがあります。御中と様を正しく使い分けることで、ビジネスマナーが身に付いていることをさりげなくアピールできるでしょう。 基本的に、御中は組織の中に誰かに、様は特定の個人に対して使用するものです。「御中は組織に対して使うもの」とよく勘違いされますが、正確には組織ではなく、組織の中の任意の誰かに対して使われます。 宛名を書く際、相手の名前が明らかなら様を、わからない場合は御中を使うとよいでしょう。 なお、役職には様を付ける必要はありません。というのも、社長や部長といった役職には敬称の意味も含まれており、さらに様を付けると二重敬語となってしまうのです。 その他、丁寧語である「了解しました」と、謙譲語である「承知しました」の違いなども理解しておきましょう。

「御社」と「貴社」を正しく使い分けて転職を成功させよう!

「御社」も「貴社」も「相手の会社」を意味する尊敬語です。転職活動中は、社会人のマナーの一つとなるため、上手に使い分けるようにしましょう。 例えば、面接や面談、会社説明会など、応募先の企業の担当者と話すときに使用するのは「御社」です。一方、履歴者や問い合わせメールなど文字にして、相手に伝えるときは「貴社」を使用します。 その際に、二重敬語となるため「御社様」「貴社様」と「様」をつけてはいけません。また、学校や銀行に転職する場合は、「御社」も「貴社」ではなく、学校は「御校」「貴校」、銀行は「御行」「貴行」を使用します。 面接中に「御社」というところを「貴社」と言ってしまっても、それだけで即不採用になるわけではありません。しかし、きちんとした言葉を使うことで、「ビジネスマナーがきちんとしている」と応募先の面接官に良い印象を持ってもらうことが期待できます。 本記事で説明した「御社」と「貴社」を場面ごとに正しく使い分けて、転職活動を成功に導きましょう。

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