入社したものの人間関係や業務などさまざまな原因によって、短期離職を選択する人がいます。
次の仕事を探すにあたり「そもそも短期離職とはどのくらいの期間をいうのだろうか」「転職活動に影響はあるのだろうか」と不安を抱く人も多いのではないでしょうか。
そこで、この記事では短期離職とみなされる期間の目安や、転職活動を成功させるためのポイントを紹介します。
短期離職とはどのくらいの期間のこと?
そもそも、短期離職とみなされる期間はどのくらいなのでしょうか。ここでは、短期離職とみなされる期間の一般的な目安や、転職においてどの程度不利になるのかという点を解説します。
短期離職とみなされる期間の目安
短期離職とみなされる期間は「2~3年以内の離職」を指すことが一般的です。
ただし、これはあくまでも目安であり、企業や業種によっても捉え方は異なります。たとえば、1年以内に十分な業務経験やスキルを積める業界であれば、短期離職は特に問題視されない可能性があります。
特に、IT・飲食などの業界は人の出入りが激しいため、同業界に転職する場合は大きなデメリットとまでは捉えられないかもしれません。
反対に、一つの企業で長く働くことが一般的な業界であれば、3~5年ほど働いても短期離職とみなされる可能性があります。具体的には、インフラ関連の業界や工場などの製造業などです。
これらの業界は長く働く人が多く、短期離職の線引きや捉え方が厳しい傾向にあります。
短期離職は転職活動で不利になる?
短期離職をした人にとって「次の仕事探しに影響はあるのか」という点は気になるものです。結論からいうと、1社程度の短期離職であれば、そこまで大きな悪影響にはならない可能性が高いでしょう。
2社程度の短期離職となる場合も、何らかの企業で長く勤めた経験があれば問題視されない可能性があります。
その理由は、現代では転職が一般化しつつあるためです。スキルアップを目的とするなど、転職に対してポジティブなイメージを持つ人も増えています。
また、特殊なスキルや経験を持つ人であれば、短期離職を繰り返していても転職で引く手あまたとなるケースもあります。
企業によっても考え方は異なりますが、致命的なデメリットとまではいかない可能性が高いため、悲観的にならず前向きに転職活動をすることが重要です。
短期離職する人はどのくらいいるのか?
周りに短期離職者がいないと「自分だけ仕事を辞めてしまった」と不安になる人も少なくありません。
特に、新卒で短期離職をした場合は、今後の転職活動に不安を抱くものでしょう。実際に新卒者で短期離職をする人はどのくらいいるのでしょうか。
そこで、ここでは厚生労働省が発表した「新規学卒就職者の離職状況(平成29年3月卒業者の状況)」のデータをもとに、新卒3年以内の離職率について解説します。
学歴別の離職率
厚生労働省のデータによると、新卒3年以内の離職率は「大学32.8%」「短大など43%」、「高校39.5%」「中学59.8%」となっています。データを踏まえると、学歴では大卒者の割合が最も低いことがわかります。
反対に、離職率が最も高いのは中卒者です。短大や高校なども一定の割合で離職している人がいます。
事業所規模別の離職率
厚生労働省のデータを参照すると、1000人以上の大企業の場合、大卒者・高卒者の新卒離職質はいずれも30%以下となっています。
一方、事業規模が100人未満の中小企業の場合、離職率は大卒者でも40%以上です。基本的に企業規模が小さいほど、学歴にかかわらず離職率が高くなっています。
中小企業と比較し、大手企業は福利厚生や教育制度が充実している傾向です。このような要素が、離職率に関係している可能性があります。
短期離職を不利にしない!転職活動のコツ①:退職理由の伝え方
短期離職に後ろめたさを感じて「転職活動をどう進めればいいのだろうか」と悩む人も少なくありません。
しかし、きちんと退職理由を説明すれば、理解を示してくれる面接官もいます。退職理由は転職の可否を左右する重要な要素となるため、伝え方を工夫することが重要です。
そこで、ここでは転職活動を成功させるための退職理由の上手な伝え方とそのポイントを紹介します。
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- 退職理由はポジティブに伝える
- 短期離職における退職理由は、なるべくポジティブな内容を意識することが重要です。
退職理由として前職の不満ばかりを挙げると「嫌なことから逃げ出した」「言い訳がましい」など、ネガティブな印象を与えてしまうおそれがあります。
後ろ向きな理由で退職をした場合でも、なるべくポジティブな印象を与えられるよう、上手に言い換える工夫をしてみましょう。
たとえば、「休みが少ない」という退職理由であれば「仕事以外にも人間的な成長やスキルアップに使う時間を確保するため」という退職理由に置き換えることができます。
また「職場の人間関係に不満があった」という退職理由は「前職は個人プレーが基本だったがチームワークを重視した働き方を希望しているため」と言い換えるのも良いでしょう。
スキルアップや自分の強みを生かすため、という前向きな退職理由にすることで、好印象を与えられます。
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- 退職理由は志望動機につなげる
- 退職理由はできる限り志望動機につなげるようにしましょう。
たとえば「前職では希望する仕事ができず、御社でその業務を経験したい」というような流れで、志望動機につなげると自然です。
その際、「自社ではなくほかの企業でもいいのでは」と思わせないために、その企業の特色を盛り込み説明することがおすすめです。
これにより、志望動機に具体性が増し、企業研究をきちんと行っているアピールにもなります。
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- 明るく自信を持って面接を受ける
- 面接では第一印象が重要になります。短期離職に後ろめたさを感じている場合、どうしてもうつむいたり声が小さくなったりするなど、自信のない態度になりがちです。
しかし、このような態度では不信感を抱かせる原因につながります。面接官に信頼してもらうためにも、明るくハキハキとした対応を心がけましょう。
胸を張り自信を持って話すことで、ポジティブなイメージを与えられます。
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- 嘘をつかないようにする
- 退職理由は嘘を交えずに伝えるよう心がけましょう。
嘘をついたりあいまいな表現をしたりすると、面接官に怪しまれてしまいます。面接官は採用のプロであり、下手な嘘は見抜かれてしまうでしょう。
面接はお互いの相性を探り、信頼関係を築くための貴重な場です。このような重要なシーンで嘘をつく人材は、採用を見送られるおそれがあります。
事実を伝え、誠実な対応を意識しましょう。
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- 退職を周りのせいにしすぎない
- 過去の仕事に大きな不満を持っていた場合、転職理由をつい周囲や環境のせいにしてしまいがちです。
しかし、周りのせいにして「自分は悪くない」という姿勢で退職理由を説明すると、「次の仕事でも嫌なことがあればすぐに辞めてしまいそう」という印象を与えかねません。
退職理由を聞かれた際は、なるべく他責となるような表現は避けることが無難です。たとえば、「職場の人間と相性が悪かった」という表現は「社風の下調べが不足していた」などに置き換えられます。
面接前に退職理由を整理し、面接官の理解を得られるような表現を考えておきましょう。
短期離職を不利にしない!転職活動のコツ②:求人の選び方や考え方
短期離職者が転職活動をする際は、求人の選び方や探し方にもコツがあります。どのようなことを意識すれば良いのか、求人の選び方や考え方のポイントをいくつか紹介します。
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- 情報収集を徹底する
- 後悔のない転職活動を目指すためには、情報収集を徹底することが重要です。なぜなら、企業の情報が不十分なまま転職すると、入社後のミスマッチが発生するおそれがあるためです。
その場合、せっかく短期離職から転職を実現したにもかかわらず、またすぐに仕事を辞めてしまうリスクが生じます。ミスマッチを防止するためにも、入社前にしっかりと企業の情報を集めておきましょう。
具体的には、企業で働いている人から直接話を聞いたり、残業の有無を確認するため夜に会社へと出向いてみたりする方法があります。
十分な情報の収集・分析を行うことで、入社後にギャップが発生するリスクを軽減できるでしょう。
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- 採用の可能性がある求人を絞り込む
- 転職活動をスムーズに進めるためには、採用の可能性がある求人に的を絞ることが大切です。求人要項を確認すると、さまざまな情報が記載されています。
たとえば「勤務経験○年以上」「年収○円」という具合です。企業側と転職者側の条件がマッチしていなければ、なかなか採用に結びつきません。
応募前に企業が求めるスキルや提示する条件などをよく確認する必要があります。そのうえで、自分が希望する働き方や年収などを照らし合わせ、納得がいく求人に応募することが望ましいでしょう。
焦りから転職先を妥協して「また退職してしまった」という事態を招かないよう、注意が必要です。
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- 転職サイトで自分に合う仕事を見極める
- なかなか転職先を絞り込めない、自分に合う仕事がわからないという場合は、転職サイトでさまざまな求人に目を通してみることがおすすめです。世の中には多種多様な仕事があります。
求人情報に掲載された職場の写真や業務内容などを見るうちに、自分に合いそうな仕事の傾向をつかむことができるでしょう。
また、転職サイトのなかには適職診断が用意されているところもあります。自分に向いている仕事を知りたい人は、積極的に活用してみると良いでしょう。
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- 一人で悩まず転職エージェントに相談する
- なかには「転職がうまくいかない」「再び仕事に就く自信がない」など、一人で悩みを抱えてしまう短期離職者もいます。このような転職の悩みは、転職エージェントに相談してみることも一案です。
プロの視点からアドバイスしてくれるため、転職に失敗するリスクを軽減できます。自分に合う転職先を紹介してもらえるため、一人で仕事探しに悩むこともありません。
前職を辞めた原因をきちんと分析し、転職をサポートしてくれます。無料相談を実施しているところが多いため、気軽に利用してみると良いでしょう。
明るくポジティブな姿勢を意識して自分に合う転職先を探そう!
短期離職を経験すると、気分が落ち込んだり今後の転職活動に不安を抱いたりするものです。
しかし、世の中には短期離職をした人も数多くいます。悲観的にならず、過去の退職経験を踏まえて自分に合う仕事を見つけることが大切です。
なお、面接では明るい対応を心がけ、退職理由をポジティブに言い換えることがポイントとなります。
転職サイトや転職エージェントなどをうまく活用し、自分らしく働ける職場を探しましょう。