雇用保険被保険者証を詳しく解説!離職票との違いや再発行方法を覚えておこう

作成日:2019.12.27 更新日:2024.04.19

会社を辞めると、失業保険をもらったり職業訓練を受けたりするために、さまざまな手続きが必要になることもあります。そのような場合、雇用保険被保険者証がないと手続きを進められない危険が出てきます。再就職までの時期をトラブルなく乗り切れるよう、雇用保険被保険者証の扱いを覚えておきましょう。この記事では、雇用保険被保険者証の意味や必要になるタイミング、再発行の方法を解説します。

雇用保険被保険者証の目的は?離職票との違いも説明

就職をすると、ほとんどの会社は従業員を「雇用保険」に加入させてくれます。雇用保険とは、従業員が失職したときにさまざまなサポートをしてくれる制度です。そのため、普通に会社で働いている間は雇用保険の存在を意識することはあまりありません。そして、保険に加入している証の「雇用保険被保険者証」も会社側が保管してくれていて、従業員が会社を辞める時に、初めて雇用保険被保険者証が本人に手渡されるのが一般的です。

雇用保険被保険者証があることで、失職者はハローワークをはじめとするさまざまな機関や制度のサービスを利用できます。そして、雇用保険被保険者証は次の職場でも引き継がれていきます。再就職が決まった時点で本人は雇用保険被保険者証を就職した会社に預け直し、管理してもらうことになるのです。なお、証明書の「資格取得等確認通知書」には前職の会社名が書かれているため、転職先に提出するときには切り離す決まりです。

雇用保険被保険者証

雇用保険被保険者証に書かれている内容はシンプルです。発行元と本人の氏名、生年月日が記載されているほか、11桁の被保険者番号が印刷されています。ただ、企業や書式によってはより多くの情報が載ることもあるでしょう。
すべての従業員が無条件で雇用保険被保険者証をもらえるわけではなく、主な2つの条件を満たさなくてはいけません。
  • 1週間で20時間以上労働していること
  • 31日以上継続して雇用される見込みがある
たとえば、31日未満の短期アルバイトでは雇用保険の対象にはなりません。シフトにそれほど入っていなくて、労働時間が1週間で20時間に満たないパートなども雇用保険の対象外です。逆に、この2つを満たしている従業員はキャリアや年齢に限らず雇用保険の適用対象です。雇用保険は失職時に役立つサービスなので、退職する前に自分が加入しているかどうかをしっかりと確かめておくことが大事です。
なお、雇用保険被保険者証のほか、失職時に会社から渡してもらえる書類として「雇用保険被保険者離職票」があります。名称も渡されるタイミングも似ているので両者を混同している人は少なくありません。ただ、実際にはまったく別の用途を持っているので注意しましょう。被保険者証とはあくまで「保険に加入していることを証明する書類」です。それに対して、離職票は「離職したことを証明する書類」です。被保険者証は入社後まもなく発行されて保管されるものだといえます。一方、離職票は本人の離職が決まるまで発行されません。 離職が行われてから10日ほどしてから、離職票は作成されます。ただ、この期間は会社によってさまざまです。離職票の目的は、ハローワークでの失業保険給付にあります。離職票によって離職が証明され、失職者は保険金を受け取ることができるのです。被保険者証だけがあってもハローワークで失業保険を申請できないため、離職時には必要書類をしっかり準備しなくてはいけません。ちなみに、離職票は次の会社に提出する義務がなく、再就職が決まると必要がなくなります。

雇用保険被保険者証はいつ必要?もらえるタイミングとは

会社を辞めてから、いろいろな手続きをするために雇用保険被保険者証は必要です。そのため、離職と同時に会社から被保険者証を返却してもらうのが通常の流れです。万が一、被保険者証を返してもらえなかったとしたら総務の担当者が失念している恐れもあります。必ず自分でチェックして、指摘できるようにしておきましょう。

雇用保険被保険者証を利用する手続きとして、まずは「失業給付の申請」が挙げられます。失業給付はハローワークで申請手続きを行います。このとき、被保険者証の提出までは求められませんが、書類には被保険者番号を記入する欄があるので、証明書が手元にないと確認ができなくなるため、雇用保険被保険者証も持参していくのがよいでしょう。 教育訓練給付金を申請する際にも、被保険者証を求められます。国の定めた教育訓練を受けた場合、雇用保険によって一部の費用を負担してもらえる制度があります。ただ、給付金の手続きには被保険者証がなければいけません。収入がない状態で教育訓練を受けるのは経済的な負担が大きいため、できるだけ給付金をしっかりと受け取りたいところです。 これらの手続きに被保険者証を利用した後、再就職が決まったら新しい会社に渡して保管をお願いするケースがほとんどです。雇用保険に入り直す際には再び保険者番号のチェックが入ります。そのタイミングで、総務に被保険者証を渡すことが珍しくありません。そのまま会社が被保険者証を預かるのはあくまでも事務作業の効率性を高めるためです。また、日常の業務の中では使用する場面がないため、従業員が自分で持っていても紛失する恐れが高まります。ごくまれに、個人での保管を従業員に求めてくるなどの例外もあるので入社時にしっかり説明を聞きましょう。入社時に渡される書類として、被保険者証が紛れていることもありえます。 気をつけたいのは、離職してから再就職するまでの間に時間が空いたケースです。ハローワークでは離職してから7年が経過したにもかかわらず、雇用保険適用下で働いている形跡のない求職者のデータを抹消します。つまり、再就職に7年以上かかった場合はかつての保険者番号を利用できません。会社を辞めてしばらくフリーランスで活動し、再び会社で働くことになったパターンなどにあてはまります。介護や育児で長い間仕事をできていなかった人も、再就職までに時間がかかることはありえるでしょう。 このような場合には、再就職先に新しく雇用保険被保険者証の発行手続きをしてもらわなくてはいけません。事業主が従業員を雇用保険に加入されるのは義務なので、多くの総務担当者は自動的に手続きをしてくれます。それでも、念のために自分から申告しておくのが安心でしょう。

紛失してしまった場合に雇用保険被保険者証を再発行できるか

もし、雇用保険被保険者証を紛失してしまうと失業給付の申請をはじめとした手続きが進められなくなってしまいます。よくあるのは、離職から再就職までに時間が経って保管場所を忘れてしまうパターンです。そもそも雇用保険被保険者証はコンパクトなサイズでできているので、不用意に取り扱っていると紛失しやすいといえます。

万が一、雇用保険被保険者証が紛失しても再発行は可能です。ハローワークに行って再発行の申請を行いましょう。その日のうちに対応してもらえるため、失った被保険者証を長時間探し続けるよりは効率的です。注意点として、ハローワークは土日と祝日には開いていません。手続きができるのは平日のみとなります。また、再発行の手続きには運転免許証などの本人確認が可能な書類、前職の会社情報がわかるもの、そして、本人の印鑑が必要です。 ハローワークで雇用保険被保険者証を失くした旨を伝えると、再交付申請書を渡されます。項目に合わせて氏名や住所、前職の会社名などを書き込んで提出しましょう。これらの手続きは再就職後、新しい雇用主が行ってくれることもあります。ただ、失職中にはどのタイミングで雇用保険被保険者証が必要になるか予測できません。紛失に気付いた時点ですぐに再発行してもらうのが安全です。 また、即日発行してもらえるとはいえ、その申請のためだけにハローワークまで行くのも面倒に感じる人はいるでしょう。そのような場合には、インターネットでの電子申請を行うのが便利です。ハローワークのホームページからは再交付申請書もダウンロードできます。電子申請であれば24時間常に受け付けてもらえます。なお、電子政府の総合窓口「e-Gov」からでも再発行の申請を行えます。 電子申請の注意点は、認証局が発行しているICカード型電子証明書と、カードリーダーを用意しておかなくてはいけないことです。インターネットからの手続きはハローワークの窓口よりも不正を行いやすいので、個人情報の取り扱いが厳重になっています。 あるいは、代理申請も検討してみましょう。委任状を作成したうえで本人と代理人の身分証を持っていけば雇用保険被保険者証を窓口で再発行してもらえます。ただ、再交付申請書に記入するのは代理人であるため、本人情報をしっかり伝えておかなくてはいけません。そのほか、雇用保険被保険者証は郵送による申請もできます。ただし、郵送では発送と返送に時間がかかってしまうので、手元に被保険者証が届くまでが遅くなることを念頭に置いておきましょう。 雇用保険被保険者証をなくしたと思ったときは、「本当に加入していたのか」をチェックしておくことも大切です。事業主にとって従業員を雇用保険に加入させるのは無視できない義務です。それでも、手続きを忘れていたり、意図的に怠っていたりする確率はゼロと断定できません。最初から雇用保険に加入していなかった人は、再発行ではなく新規発行となります。

雇用保険被保険者証は大切な書類!なくしたら即時発行手続きを

失業に関するサービスを受けたり、再就職時に企業へ提出したりと、雇用保険被保険者証は転職者にとって大切な書類です。一方で、紛失しやすい特徴もあります。紛失して見つからない場合には、教育訓練の給付金を受けられないなどのデメリットが生じるので、被保険者証はすぐに再発行してもらいましょう。そもそも、離職時に前職の会社からしっかり渡してもらえるのかを確認することが重要です。

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